ブランドデータバンクの2015年6月調査で、キャラクター人気ナンバーワンに男性、女性とも「ふなっしー」が堂々の1位に輝きました。船橋市からは当初公認されず、プロがデザインしたキャラクターでもないのに、ふなっしーはなぜ人気キャラクターの頂点に上り詰めたのか?それはふなっしーが究極の「顧客志向」を実践しているからです。マーケティングのプロフェッショナルが解説してくださいます。
ふなっしーが15年キャラクター人気NO1となる
「一般消費者に人気のキャラクターは誰(何)でしょう?」と聞かれたら、あなたは誰(何)を挙げますか?
たぶん、「ミッキーマウス」、「ハローキティ」、「ドラえもん」、「くまのプーさん」、「スヌーピー」といったところになるんじゃないでしょうか?
「ふなっしー」と答えた方もいますかね?
ブランドデータバンクの2010年6月の調査によれば、当時のキャラクター人気ナンバーワンは男性は「ミッキーマウス」。次いで「ドラえもん」「スヌーピー」でした。
一方、女性は「ハローキティ」がトップで、「ミッキーマウス」、「スヌーピー」と続いていました。
ところが、5年後の2015年6月調査では、男性、女性とも「ふなっしー」が堂々の1位です。
すなわち、ミッキーやドラえもん、ハローキティ、スヌーピーなどベテランキャラクターを抑えて、今最も人気が高いのは「ふなっしー」なんですね。
ふなっしーはテレビにも出まくっていますし、ふなっしーのゲームアプリもあったりして、近年、人気が急上昇していることを皆さん感じていたと思いますが、「まさか一番人気とは!」と驚いた方が多いのではないでしょうか?
ふなっしーの言動は全て顧客の要望に起因する
ご存知の方も多いと思いますが、ふなっしーは船橋市‘非公認’のキャラクターです。
船橋市特産の「梨」を模したコスチュームも、「中の人」がパソコンでちゃちゃっと描いたもの。
率直に言うと「ダサいデザイン」ですね。プロが作った熊本県公認キャラクター、「クマもん」などとは雲泥の差です。
それでも、ふなっしーは圧倒的な人気を獲得することに成功しました。
実は私もふなっしーは嫌いではありません。キャラクターに夢中になるような年頃ではないので、好き・嫌いの対象というより、私にとっては尊敬の対象です。
というのも、ふなっしー(の中の人)の話を聞いていると、究極の「顧客志向」を実践しているからです。
ふなっしーは、常に目の前の人が楽しんでくれること、喜んでくれることに全力投球しています。
そして、どうやったらお客さんが楽しんでくれるかをしっかり観察しつつ、自分の行動を修正させてきたのです。
本来、「話さないこと」が原則のキャラクターなのに、ふなっしーの場合、あの甲高い声でしゃべること自体異例のことですが、それも初期のお客さんが珍しがってくれたことに起因しています。
また、細かに体を震わせたり、激しく飛び跳ねる独特の動作も、そうすることでお客さんが大喜びしてくれたからなんですね。
ふなっしーは顧客志向・CRMの体現者だ!
私は長年、「CRM(Customer Relationship Management:顧客関係性管理)」を専門としてきました。
CRMとは、お客様と良好な関係を形成し、取引を長期的に継続することを目指す考え方や仕組みのことです。
このCRMが成功するために欠かせない基本思想が「顧客志向」、すなわち、お客様を楽しませたい、喜ばせたい、ハッピーにしたいという強い思いなんですね。
ですから、「ふなっしーは本当にすごい、しっかり考えてCRMを実践しているじゃないか!」と、私は心から敬意を抱いているというわけです。
ビジネスがなかなかうまく回らないとお感じのあなた、それは自社がどうやったら儲かるかという「自分志向」の考え方しかできていないからです。
売上は、目の前のお客様を喜ばせ、ハッピーにした結果としていただくご褒美なのです。ぜひ「ふなっしー」を研究してみてください。顧客志向の真髄が学べることでしょう。