私達は、普段何気なく「正社員」や「正規社員」といった言葉を使いますが、そもそも「正社員」や「正規社員」とは、どのような定義なのでしょうか?実は、「正社員」や「正規社員」は、法律用語ではありません。「パートタイマー」や「アルバイト」も法律用語にはない労働者の区分です。ただし行政手続や助成金の活用には便宜上使用する機会があるため、ぼんやりとイメージできるようにしておきましょう。
解答できない「正社員」という言葉の定義
今回は、「正社員」の定義についてお話ししたいと思います。
私達は、普段何気なく「正社員」や「正規社員」といった言葉を使いますが、そもそも「正社員」や「正規社員」とは、どのような定義なのでしょうか?
パートタイマーやアルバイトといった、いわゆる非正規社員とは、法律的に何が違うのでしょうか?
答えに窮する方が殆どだと思います。
正社員や正規社員は正式な法律用語ではない
ここで驚愕の事実をお伝えしたいと思います。実は、「正社員」や「正規社員」は、法律用語ではありません。
普段、私達は何気なく「正社員」「パートタイマー」「アルバイト」といった言葉を使いますが、これらの言葉は労働基準法の中に出てくることはありません。
従って、労働基準法で使われている彼らを表す言葉は一即多に「労働者」です。
法律上、労働者を正社員・パートタイマーと区分する明文はありません。
正社員やパートタイマー、アルバイトといった言葉は、労働者を区分するのに便宜が良いため、慣習として用いられているに過ぎないのです。
政治家の答弁やTVでの発言をよく聞いていると、「パートタイマー」と言い切ることはせずに、「いわゆる、パートタイマーと呼ばれる労働者」というような言い方をする根拠もここにあります。
「パートタイマー」という言葉が明確な定義を持たないため、発言に含みを持たせやすくなるのです。
どのような労働者を正社員やパートタイマーと呼称するかは、各企業の自由なのです。
極端な話、ある会社でパートタイマーと呼ばれる従業員が、別の会社ではアルバイトや準社員と呼ばれる可能性もありますし、それ自体が法律的に問題となることはありません。
正規社員の定義は行政や助成金で使用される
次に、労働者の区分はどこでなされるかというと、通常は労働時間の長さや雇用期間に関する定めの有無で判断されます。
法律的な考え方はこれで良いのですが、実際には「正社員と非正社員との格差」「非正社員問題」というように使われます。(正式には、正規社員・非正規社員という言い方をします。)
助成金でもパートタイマーを正社員へ転換した場合に、助成金を支給する制度がありますので、行政官庁や助成金においては、「正社員の定義」というものが存在します。
行政官庁や助成金においては、正社員は会社が定める所定労働時間労働し、雇用期間の定めが無い労働を言います。
正社員・非正社員という区分で言えば、上記に当てはまらない労働者は非正社員となります。
ただし最近では、短時間正社員・地域限定正社員といった新しい概念の区分が生まれています。ユニクロなどが取り入れている区分ですね。
労働者の区分は結局便宜上使われているだけ
上記を基に労働者を区分してみますと、
- 正社員:雇用期間の定めがなく、所定労働時間をフルに働く労働者
- パートタイマー・アルバイト:正社員より短い所定労働時間をフルに働き、雇用期間に定めが有る労働者
となります。
では、パートタイマーとアルバイトの違いは?と言われると、それこそ曖昧なものです。
業務内容なのか、労働時間の長さで区分するのか、それは各会社で任意に定めれば良いこととなります。
このように正社員に限らず、普段使っているパートタイマーやアルバイトといった言葉も、本来において明確な定義というものは無く、便宜的に使われているだけなのです。
もはや自分の肩書が何かは、さほど重要ではない時代でもありますし、何となく区分をイメージできれば良いと思います。