11日付の英紙タイムズは、日本経済新聞社が買収を決めた英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の記者らが、日経側が提案した年金制度の見直し案に猛反発し、ストライキを検討していることを報じました。経営陣が良かれと思っていても従業員は待遇に不満を抱いているケースは数多く、両思いであるためには労使交渉でコミュニケーションを常に取り続ける必要があります。
FT記者が日経新聞社に反旗・ストも辞さず
11日付の英紙タイムズは、日本経済新聞社が買収を決めた英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の記者らが、日経側が提案した年金制度の見直し案に猛反発し、ストライキを検討していることを報じました。
労働組合は既にスト実施の是非を問う投票用紙を配布しており、19日に締め切る予定とのこと。早ければ11月中にもFTの記者による反旗の狼煙が上がります。
親会社である日経は、従業員の年金基金に対するFTの拠出額を年400万ポンド(約7億4000万円)減らして現在の7割に圧縮し、浮いた資金をFT社屋の家賃支払いに充てる意向のようです。
その分、従業員の負担額は増える見込みであり、日経新聞社は良かれと思ってやったことかもしれませんが、記者からそっぽを向かれているというのが現状になります。
経営陣と従業員の間で生じる労使意識の差
労使関係を「安定的」と認識する企業は86.9%、「良好」とする労働者は55.1%。
このようなデータが全国の約3200事業所とそこで働く約3500人を対象に行った厚生労働省の調査で判明しました。
非常に興味深いデータです。
大多数の企業が“いい関係”と判断しているのに、労働者は過半数程度しかそう思っていない。
この労使の認識のズレが労働者の不満の火種を大きくし、やがて労使紛争に発展させます。
うちの会社は大丈夫と思っている会社に限って、泥仕合の労使紛争が起きるものです。労働者は何らかの不満を内に秘めているのです。
例えば、繁忙期に有休申請があった場合、有休を与えられない理由を労働者に説明し他の日に変更してもらいます。
この時点で会社は“解決した”と理解します。
しかし、しぶしぶ了承した労働者の不満の火種は消えておらず、後日、「有休を取らせてもらえなかった」と労働基準監督署に駆け込むことがあるのです。
この場合、労使関係を会社が「安定的」と判断しても、労働者は「不良」と判断していたのです。
良好な関係を築くために必要なのはガス抜き
労使双方が本当の意味での良好な関係を築き上げるには、“不満のガス抜き”は大変重要です。
日経新聞社の場合もコスト削減の提案をするのであれば、従業員にとってのガス抜き提案を同時並行で行う必要があったかもしれません。
両想いで居続けるためにも日々のコミュニケーションは欠かせません。