衆議院の解散と総選挙の発動がにわかに迫っている。今回の総選挙でかかる費用は7〜800億円と言われており、これは全て国民の負担で行われるものである。今回の選挙では増税の是非も大きな争点となるが、その前に選挙であまりにも無駄で節約しなければいけない制度を4つ上げる。転じてそれらを撤廃する意思を持って選挙に臨みたい。
国民1人6千円負担 選挙の費用は血税から
安倍政権が年内の衆院解散に踏み切る可能性が強まっており、永田町がにわかに騒ぎ始めている。12月上旬もしくは中旬にかけての選挙が行われるのではないかと新聞各社も観測している。
直近の衆議院議員選挙は2012年に行われたが、官庁の発表によると650億円の費用がかかったようである。今回の選挙では総額800億円の費用がつぎ込まれるという予測もあるが、これは全て国民の税金から賄われるお金である。
単純計算すると日本国民1億2,700万人がおしなべて、この選挙に6,000円強の費用を税金として収めなければいけない計算だ。国民1人1人の手金がつぎ込まれる以上、ぜひとも読者の皆様においては選挙に参加されたい。
さて、この選挙という制度、極めて非効率で時代に遅れをとった無駄な慣習に溢れている。「政治はそういうものだから」「特殊な世界だから止むを得ない」と言ってしまえばそれまでだが、国民の義務という大義の元で自分たちのお金を払う以上、無駄な慣習に意義を唱える権利も生まれる。
どんな無駄があるか知ることで選挙が他人ごとではなくなり、投票に対する意識も変わるかもしれない。
非効率で無駄 今すぐ変えるべき選挙慣習
選挙カーはセルフスタンドを使えない
選挙カーのガソリン代は事後精算されることが公職選挙法で原則として定められている。従って現金やクレジットカード払いのセルフ式スタンドを利用することができない。原油高騰によりガソリンスタンドもセルフ式に切り替えるところが多くなっており、人員配置型スタンドより割安であるため現状の制度は不効率である。
選挙ビラ 一枚一枚証紙が必要
選挙期間中に配られる選挙ビラをよく見てもらいたい。右下に小さな「証紙」が貼られているはずだ。これは有権者に配布するビラに貼らなければいけないと公職選挙法で定められ総務省が管理するものだ。上限とされる個人ビラ7万枚、政党ビラ4万枚に選挙ボランティアが何日もかけて証紙をはりつけること自体、人材リソースの無駄である。またこの証紙を作成する枠も毎回同じ会社の特定権益、天下りの温床となっている。
ネット投票ができない
インターネットによる選挙運動は2013年より解禁になったが、インターネットによる投票はシステムの煩雑性などを理由に未だ行われていない。もはや若者にとって選挙投票用紙や選挙ビラといった媒体は折込チラシ程度の価値しかなく、投票されなければ税金無駄使いとなる。
むしろこのタイミングで解散という無駄
なぜ息詰まると解散という手段に訴えるのか?衆議院議員選挙は4年に一度のペースで行われるため、通常通り行けば2016年の解散であった。今回の選挙を直前にして安倍政権は最大の争点であった消費税の2%引き上げを一年半先延ばしにする方針を示した。争点がぼやけた上に、800億円のキャッシュを前倒しで出費することの費用対効果が試算されて公開されるべきだが、そのようなことは絶対に起きない。確かに政治はビジネスではない。しかしお金がつぎ込まれる以上、費用対効果の高い選挙以外の施策も提示があってよかったはずだ。
塵積り山となる 選挙に行こう
今回選挙が行われれば、衆議院議員選挙は戦後47回目となる。時代が移り変わっても旧態依然とした選挙慣習に辟易とした感はあるが、国民1人1人の投票の積み重ねでしか変化を起こすことはできない。
現在当たり前となっている無駄な慣習を自分が変える意識で、選挙に積極的に参加したい。