米アップル社が9月に発売開始したiPhone6が大ヒットしている。利益率の観点で、今回のiPhone6ヒットでアップル以上に恩恵を受け、笑いの止まらぬ日本企業がある。山梨県忍野村に本社を置く工作機械メーカー「ファナック」だ。コツコツ節約しながら、確固たる技術力で圧倒的な利益を出す企業に迫る。
iPhone6大ヒット 笑い止らぬファナック
iPhone6が大ヒットし、米アップル社が先週発表した第4四半期の決算は増収増益となった。
販売台数は前年同期に比べて16%増加しており、空前の大ヒット商品である。
この話になると我々はどうしてもアップルに注目しがちであるが、影でアップル以上に笑いの止まらない日本企業があることをご存知だろうか?
しかもその会社は、人口わずか8,000人強しかいない山梨県忍野村の山奥にある本社・工場を本拠地として、世界に羽ばたいている。
産業用ロボットメーカー「ファナック」である。
iPhone6の金属ケース加工にファナック製のロボドリルが使われており、中国や台湾などのファブレス企業(組み立て企業)からの受注が増え、ファナックはこのロボドリル部門だけで昨年から売上を約3.8倍伸ばしている。
そして驚くべきはその驚異的な利益率である。
アップルの2014年第四四半期売上高営業利益率が38%に対して、ファナックの2014年第二四半期は40.3%とアップルを凌ぐ本業の儲けをたたき出している。
電気機器業界の営業利益率が3.8%程度であることから考えても、ファナックの笑いが止まらない理由は、推して図れる。
ファナックのユニークな節約取り組みから効率よく利益を稼ぐヒントを得よう
なぜ儲かるのか ファナックの節約術
1)広報で節約
東証一部上場企業にも関わらずIR(広報)部門が設置されておらず、機関投資家向けの個別訪問も一切受け付けていない。技術の外部流出を防ぐとともに、年間で数億円の広報費用がコストカットできている。
2)ロボットを作るロボットを作って節約
ファナックの看板である産業用ロボットを作っているのは自社内製の知能ロボットである。工場に割く人員は極端に少ない。無人の工場もある。※1コスト削減につながり、研究開発や営業など、マンパワーが必要な部門に人的リソースを手厚く配置することが可能となっている。
3)自社基準が世界基準 学校を作って有料授業で節約
工作機械用NC(自動車やコンピュータなどを構成する部品・金型の製造や加工を行う産業用機械の総称)のシェアは世界で約50%、日本では約70%に到達する。そのため産業用ロボットの規格基準はファナックの製品がデファクト・スタンダード(事実上の基準)となる。創業以来50年この立場を守り続けているため、自社製品を使う顧客がロボットを使いこなせるように「ファナック学校」を作っている。山梨の山奥に世界中からユーザーが来て、有料で機械を使いこなす訓練を受けている。授業料を払ってもらい、商品も買ってもらえる稀有なメーカーだ。
製品の圧倒的品質 利益の源泉として不可欠
「利は元にあり」という言葉があるように、ファナックの利益が大きいのは、自社以外に選択肢がないニッチな業界で、最高の製品を提供し続けていることが最大の要因となる。
最高のサービスを提供し続けていることに加えて、節約や効率化に対する施策を打ち続け、利益を最大化する企業姿勢から学ぶことは多い。
※1ファナックHP
http://www.fanuc.co.jp/ja/profile/production/factory1.html