「抱かれたい男ランキング」No.1俳優である斎藤工が主演を演じる新ドラマ「医師たちの恋愛事情」の舞台となる病院では、職場恋愛が禁止され、判明したら退職しなければならない設定だ。しかし、憲法第13条で定められている”基本的人権の尊重”により、自由及び幸福追求に対する「私的行動権」として、社内恋愛を禁止することはできないのが現実である。
職場恋愛が企業へもたらすリスクとはなに?
アラサー女性の「抱かれたい男ランキング」No.1俳優と言えば斎藤工(たくみ)だ。
ドラマ「昼顔」で世の女性を虜にした彼の新ドラマ「医師たちの恋愛事情」が、4月からスタートした。
ドラマのキャッチフレーズは『命を救う人間が、恋に落ちてはいけませんか』というもの。ヒロインに石田ゆり子を据え、医者の職場恋愛をテーマにストーリーは展開していく。
彼らが勤務する病院は、「職場恋愛禁止。判明したら退職」と経営部長が高らかに宣言している厳しい職場である。
確かに職場恋愛・社内恋愛は、情報漏えい・秩序維持など業務に悪影響を及ぼす可能性がある。
実際のところ、企業は社内恋愛を就業規則等で禁止できるのだろうか?
社内恋愛を禁止しても効力は全く発生しない
結論から言うと、企業が社内恋愛を禁止することはできない。
憲法第13条で定められている”基本的人権の尊重”により、自由及び幸福追求に対する「私的行動権」として、恋愛は尊重されるべきだからだ。
実際にこの憲法に基づいて、社内恋愛に関する裁判の判例が出ているのでご紹介しよう。
1988年に判決が下った「繁機工設備事件」では、社内恋愛により会社の風紀や秩序を乱したという理由で、企業が女性を解雇し、これを不服とした女性が解雇の無効を訴えた。
企業側は、原告の恋愛が妻子ある男性との不倫であったこと、社内のみならず取引先に知れ渡り、会社運営に悪影響を及ぼしたため、解雇は正当と抗弁した。
これに対し判決は「解雇の無効を命じる」という訴えを認めるものとなった。
判決理由は「不倫による恋愛は、就業規則にある”職場の風紀・秩序を乱した場合には懲戒をなし得る”に該当するが(中略)その企業運営に具体的な影響を与えたと認めるに足りる疎明はない」というものであり、不倫ですら社内恋愛を保護する判決となったのだ。
しかもこの企業は、万が一のことを考え、社内規定に社内恋愛について懲戒解雇の可能性があることを明記していたにも関わらず、裁判にて敗訴してしまったのだ。
社内規定に「恋愛を禁止」する規定を入れても、恋愛禁止の効力はなく、懲戒解雇の条文を入れると、それが人権の侵害とみなされるケースすら考えられる。
社内恋愛を悪用した違法行為は完全にアウト
”幸福追求権”や”個人の尊重”以前に、我々は法律を遵守する必要があるため、犯罪などの法に触れる行為は社内恋愛以前に行っていけない。例えば、同業他社やライバル会社への情報漏えいや、詐欺に加担する、と言った行為だ。
企業としては結局のところ、何か問題が起きたらケースバイケースで判断し対応するほかないのが現実だ。
また、社内恋愛が悪い方向にばかり進むわけではなく、企業という縁を通じて知り合った二人が結婚した場合、よりモチベーション高く働いてくれるケースも多い。
部下から社内恋愛の相談を受けた場合には、仕事もプライベートも男女双方が良い方向へ昇華できるように、アドバイスを与えてあげよう。