5月はOJTや研修を終えた新卒社員達が、本格的に実務へ導入される時期である。今年の新卒社員世代(満23歳/満19歳)の特徴を一言で捉えると、「ゆとり過渡期」世代という言葉がぴったり当てはまる。彼らは「ゆとり教育」と「脱ゆとり」を同時に経験してきた。更にデジタルネイティブにも該当することから、活躍の場が与えられれば輝くはずだ。
そろそろ新卒社員達が現場に入り始める時期
5月はOJTや研修を終えた新卒社員達が、本格的に実務へ導入される時期である。
職場では「新しく配属されたあの子、世代が違うからやっぱり考え方も全く違う」という会話も聞こえ始めることだろう。
これまでも新卒社員達は、時代の特性を反映して様々な「世代」という言葉でくくられて評価されてきた。
古くは「団塊の世代」から始まり、「バブル世代」、「就職氷河期世代」、「ゆとり世代」といった世代のくくりが、その代表例である。
今年の新入社員たちはどのような世代としてくくられているのだろうか?
大学卒業はゆとり後世代で高卒は脱ゆとり
今年の新卒社員世代(満23歳/満19歳)の特徴を一言で捉えると、「ゆとり過渡期」世代という言葉がぴったり来る。
まず4年制大学卒の新入社員の場合は、バブル崩壊前後の1992年に生まれ、小学校高学年から”ゆとり教育”が始まったため、円周率は「3.14」ではなく「3」で習っている。
高校卒業とともにゆとり教育が終了したため、教育期間中しっかりと「ゆとり教育」を体感している世代である。また彼らは新入社員として最後のゆとり世代となる。
一方、高卒の新入社員の場合は、脱ゆとり世代となり始める。
詰め込み教育を問題視したことにより始まったゆとり教育は、2002年から始まり、2012年頃にはほぼ全国的に終焉を迎えた。
1996年生まれの高卒新入社員は、小学校1年生からゆとり教育を受けたが、高校へ上がった頃には「脱ゆとり」の教育施策の元、教育を受け始めている。
高卒の世代は脱ゆとりにより、教科書のページ数や授業時間が飛躍的に増える経験をしており、学力の低下も一部改善がみられる結果を見ている。1月に行われた大学入試センター試験も、初めて脱ゆとり教育に即した内容で受験している。
同じ新卒でも受けた教育は全く違ったカリキュラムになっているのが、「ゆとり過渡期」を過ごした今年の新卒社員達が有する特徴である。
デジタルネイティブ世代が職場へ入り始める
「ゆとり過渡期」を過ごした新卒社員達には、もう一つの大きな特徴がある。
デジタルネイティブ世代(1990年台半ば頃〜)に生まれたことだ。
彼らは生まれて物心がついた頃には、インターネットやパソコンが当たり前のようにある生活環境で育ってきた。人との出会いやコミュニケーションを、コンピュータや携帯電話とリアルで境目を付けずに行える。
私達が持っていない柔らかな感性で、インターネットを駆使したビジネスチャンスをもたらしてくれるのも、この世代かもしれない。
社会の先輩として、人材の宝庫である「ゆとり過渡期」世代が存分に活躍する舞台を作りたいものだ。