草津白根山の噴火に改めて思う、火山大国・日本
1月23日に草津白根山が噴火しました。近くのスキー場では、1名の死亡者を含む多数のけが人が出ました。その後も蔵王や霧島連山で、活発な火山活動が観測されています。
2018年に入って早々、改めて日本は「火山大国」なのだという思いを強くした方も多いのではないでしょうか。58名が死亡し、戦後最大の火山被害といわれた2014年の御嶽山の噴火も記憶に新しいところです。
自然災害で被害にあった時に、役に立つのは保険です。台風の影響で窓ガラスが割れた、洪水で床上浸水したという被害は「火災保険」の給付対象です。また土砂崩れや落雷の被害で亡くなった、圧雪で転んで骨折入院した、などの場合には「生命保険」「医療保険」が給付されます。
では「噴火」はどうでしょうか。台風や雪、大雨と同じように保険が下りるのでしょうか。
噴火は自然災害だが、通常の火災保険は対象外
前述のとおり、自然災害による家屋や家財の被害を補てんするために役に立つのは火災保険です。
しかし噴石や火山灰など、噴火の影響による被害は、一般的な火災保険だけでは補償しません。
実は「地震」「津波」「噴火」は、火災保険では「免責」となるからです。
これらの災害被害を補償するためには別途「地震保険」に加入する必要があります。
東日本大震災後は改めて注目され、加入率も年々上がっている地震保険ですが、地震や津波だけでなく噴火の被害も対象となることは、意外と知られていません。
地震保険は火災保険とセットで加入するもので、保険金額は火災保険金の50%が上限です。つまり大きな被害の時には全額補償されない可能性もありますが、火山の噴火が心配なエリアは加入を検討しても良いでしょう。
自動車の被害は…?車両保険だけでは不十分
では噴石が当たって自動車が傷ついた!といった場合、車両保険に入っていれば保険が下りるでしょうか。
答えはNOです。
自動車保険の車両保険も、火災と同様「地震」「津波」「噴火」は免責です。火災保険のように「地震保険」はありませんが、保険会社によっては「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」という特約で補償するものはあります。追加となる保険料との費用対効果を見て、検討しても良いかもしれません。
生命保険は支払われるが、災害割増特約は免責
一方で噴火による死亡は、生命保険の給付対象となります。死亡保険1000万円加入していた方が、火砕流に巻き込まれて亡くなってしまった場合、1000万円が遺族に支払われます。
注意しなければならないのは「災害割増特約」。
生命保険には、災害によって亡くなったり高度障害状態になった場合に、通常の保険金に上乗せした額を受取れる特約があります。「災害割増保険金」「災害死亡保険金」「災害高度障害保険金」などと呼ばれる特約です。ここではこれらをまとめて「災害割増特約」と呼びます。
この災害割増特約が適用になるのは、自然災害に加え、交通事故や溺水などの不慮の事故が対象となります。
しかし、この「災害割増特約」、約款上では「地震」「津波」「噴火」は免責です。
上記の例を引用した場合、1000万円の死亡保険に加え、災害割増保険金にも1000万円加入していたとします。
交通事故や洪水による死亡なら2000万円出ますが、火砕流なら1000万円の主契約のみが給付対象となり、災害割増特約は免責、というのが原則です。
噴火でも災害割増特約が適用になるケースが多い
ただし、約款上では免責となっている「地震」「津波」「噴火」での「災害死亡」ですが、実際は支払われていることがほとんどです。
未曾有の大震災、大噴火で災害死亡が多数出て、保険会社が破たんするようなことがあっては困ります。被害のなかった契約者にも影響が出ることを避けるために免責となっているのですが、逆に言えば保険会社の経営に大きな影響ないレベルなら保険会社は給付します。
御嶽山の噴火、阪神淡路大震災、そして東日本大震災においても、この免責条項は不適用となり、災害割増保険金は支払われました。
参考リンク:【免責条項不適用のお知らせ】
これらを支払ったことによる保険会社の影響は決して小さくはないと思いますが、すべての保険会社の契約者、そしてその家族の生活再建に役立ったと考えると、その判断は素晴らしいことだと思います。
正直言うと、「これだけ払えるなら免責やめちゃえばいいのに…」とも思いましたが笑。
自分の保険は補償内容含め整理しておこう
噴火と保険の関係をまとめると、
- 損害保険 :免責
- 生命保険 :通常の死亡保険は給付/災害割増特約は原則免責だが、給付されることがほとんど
となります。
日本は、台風やそれに伴う洪水、地震や雪災など自然災害の多い国です。防災の意識はもちろん大事ですが、その被害全てを避けることはできません。
万が一の補償内容を常に頭に入れておくのが理想ですが、なかなか日々の生活で保険を意識しておくことは難しいです。
保険証券をまとめておく、エクセルなどに補償の内容を入力しておくなど、いざという時に備えて最低限の整理はしておきたいですね。