遊びは仕事。仕事は遊び。ビジネスに邁進される方なら、遊びの中にも仕事に役立つ気づきを日々吸収されていらっしゃることでしょう。特に、ビジネス系映画の鑑賞は、ストーリーを楽しみながら経済の知識やモチベーションを得られる最高の遊びです。そこで本稿は、敏腕ファイナンシャルプランナーが“仕事に効く”5本の映画を厳選してご紹介します。
1度観れば2度おいしい、それがビジネス系映画の醍醐味!
子供の頃からの映画好きで、いまだに暇があればアマゾンプライムで面白い映画を物色してしまうファイナンシャルプランナーの赤井です。
アクション、SF、ミステリーなど、あらゆるジャンルの映画を観てきましたが、社会人になって改めて好きになったのは「ビジネス系の映画」です。
宇宙人も恐竜も不死身の警官も出てこないのに、終始ドキドキのしっぱなし。そして観終わった後には、経済の知識や仕事に対するモチベーション、人生観までもちょっぴりバージョンアップしてしまうという、2度おいしいビジネス系映画。
今まで観てきた中でも特におススメしたいビジネス系映画を5作品、選んでみました。
おもしろくてタメになる、必見のビジネス系映画5選
大逆転
エディー・マーフィー主演の「先物取引コメディー」。
一見複雑な先物取引という題材ですがわかりやすく描かれており、またエディー・マーフィー&ダン・エイクロイドの軽妙な掛け合いのおかげで、投資未経験者でも抵抗なく観ることができます。
青年実業家ルイと黒人ホームレスであるビリーが、とある大富豪兄弟の余興で立場を入替えさせられてしまう。
ルイは没落し、復讐に燃える一方で、急にリッチな生活を与えられるホームレスのビリー。
天性のカンでビジネスマンとして成功していくが、双子の酔狂でいずれは捨てられると知ると、ルイと結託。協力し、冷酷な双子兄弟を懲らしめるための策を練る。
安く買って高く売るために投資家が血眼になるのは、先物取引も株式も一緒。最後のマーケットでの売買シーンは手に汗握ります。
ウォール街
若く野心家の証券マン、バドは、ウォール街で成功する投資家、ゴードン・ゲッコーに心酔。彼に取り入るためにインサイダー情報収集に手を染める。
最初は敏腕に見えたゲッコーだが、付き合いを深めていく中で彼の強欲さ、冷徹さに気付いていき…。
30年前の映画ですが、ストーリーやテーマに全く古さを感じさせません。
バドを演じるのはチャーリー・シーンですが、実父であるマーティン・シーンも父親役で登場。親子共演を果たしています。
社会派映画監督の第一人者、オリバー・ストーンとチャーリー・シーンのコンビは、プラトーンに続き2作目。
マージンコール
アメリカのリーマンショックをモデルにした、比較的硬派な映画です。リーマンショックを描いた作品は多数ありますが、その「発覚前夜」だけを舞台にしているのが興味深いです。
1人の若き金融エンジニアが突き止めた、「サブプライムローンを含んだ金融商品を多数保有していることで、会社が債務超過に陥る可能性が高い」という極秘情報。
金融界全体を揺るがす事件に繋がりかねない状況を前に、自らの保身に躍起になる役員達。
会社が下した決断とは…。
舞台がほぼ同じビル内であり、また時間設定が一晩の間の出来事に集中しているため、派手な演出は全くないにもかかわらず緊張感&臨場感がスゴいです。
自主製作にもかかわらず、ケヴィン・スペイシー、ジェレミー・アイアンズ、サイモン・ベイカー、デミ・ムーアなど豪華ベテラン俳優陣の演技も見どころ。
プラダを着た悪魔
ちょっと経済映画とは違いますが、「自分にとって仕事とは何か」「自分のしたい事は何なのか」と考えてしまっている時に、モヤモヤを吹っ切るには最適の映画かもしれません。
ジャーナリスト志望のアンドレアは、ファッション雑誌「ランウェイ」の編集長アシスタントの職を得る。しかしボスのミランダは、業界の誰もが恐れる「鬼編集長」だった。
昼も夜もなく奴隷のようにコキ使われ何度も辞めたいと思うアンドレアだが、将来のキャリアのためにと頑張るうちに、少しずつミランダの信頼も得ていく。仕事が充実していく一方で、友人達や恋人との関係は崩れていくのだった。
キャリアを選ぶか、恋を選ぶか…という女性目線がアメリカでも支持され大ヒットした映画ですが、キャリアの選び方、仕事に取り組む姿勢など、男女にかかわらず「ハッとする」シーンが満載です。
はじめは野暮ったいのに、だんだんファッションに目覚めていくアン・ハサウェイの美しさも見どころですが、一切の妥協を許さず誰よりも働き、そして誰よりも孤独なトップを演じるメリル・ストリープの凄味ある演技もさすがです。【マンマ・ミーア】のノーテンキおばちゃんと同一人物とは思えません…。
デーヴ
これまた経済映画ではないですが、「固定観念にとらわれず、外からの目線を忘れずに取り組めば、既存の業界でもイノベーションは起こせる」ことを学べる傑作コメディーです。
派遣会社を経営するデーヴ。優しいがお調子者で、現職のアメリカ大統領のそっくりさんとしても小金を稼ぐ日々を送っていた。そんなデーヴはシークレットサービスに依頼され、一晩限りで大統領の影武者として雇われる。
しかしデーヴが任務に就いている間、大統領本人が浮気中に脳卒中で倒れ、そのまま継続して替え玉を演じることになる。
実は知る人ぞ知るロクデナシだった大統領。デーヴのおかげで人間味のある施政者として評価が上がっていくが、それを良く思わない人間もいた…。
その業界に慣れてしまうと、古くからの無意味な慣習やルールに浸かってしまいがちですが、それは政治でもビジネスでも一緒です。「これを変えれば世の中が便利になるのに…」というシンプルな疑問を突き詰める情熱と勇気が、イノベーションにつながります。政治という切り口ですが、デーヴではそれを学んだ気がします。
個人的には、デーヴをただの替え玉としか思っていなかったシークレットサービスのデュエインが、彼の人柄に触れるうちに心を開いていく、その描写がオキニイリです。
次のお休みの日は、普段とちょっと趣向を変えて、ビジネス系映画鑑賞はいかがでしょうか。楽しみながら、自分のスキルアップに繋がる2時間になるかもしれませんよ。