60歳になってからビジネスにチャレンジするなんて「無理ゲー」。世間の常識はもしかするとこんな感じかもしれません。自分自身も今までの人生を振り返ると後悔だらけの人が多いことでしょう。しかし、人生は終わってなどいません。60歳からの15年間は“黄金の15年間”だからです。
50歳、60歳「自分の人生とは何だったのか?」
年齢を重ねていき、節目の年、特に50歳、60歳になった時、多くの人はこれまでの人生を振り返り、こんなことを考えます。
自分の今までの人生は何だったのか?
これからの人生をどう生きれば良いのか?
あと何年生きられるのだろうか?
愕然とした思いとともに、こんな疑問が次々と心に浮かび、漠然と生きてきたことへの反省の念を感じたりする方もいるかもしれません。
しかし、人生は終わってなどいません。
歳を重ねてこのような後悔を感じたなら、その人にとってそれは大きなチャンスです。
今までは漠然としかできなかった人生の逆算を、より具体的に、より現実的に行え、次の新たな人生のステージに立てるからです。
60歳からの15年間は“黄金の15年間”
というのも、大抵の人は60歳を過ぎてなお快活であり、75歳くらいまでは今までと何も変わらず元気に生活できます。
そして、この期間は別名、“黄金の15年間”とも呼ばれています。
睡眠時間や食事時間などを除くと、1日の自由になる時間は11時間、これが最長の15年間で計算すれば6万時間あります。
21歳から60歳までの40年間の総労働時間は8万時間だと言われているので、6万時間がいかに多くの時間かが分かりますよね。
しかも、この6万時間はそれまでの8万時間とは異なり、家族を養う責任など多くの制限要因が大抵軽くなっていきます。
この6万時間をどう過ごすかによって、60代からの元気な時間が、黄金の15年になるのか不毛の15年になるのか変わってきます。
では、どうすれば60歳からの15年間を黄金の15年間とすることができるのでしょうか?
ビジネスベースで考えると答えは簡単で、自分が一番したかったことにチャレンジしてみることに尽きるでしょう。
ところが、中高年で起業する人の多くは自分が今までやってきた仕事を選んでいます。
本当に自分がやりたいことならば良いのですが、それしか出来ないからと今までの延長で仕事を選んでしまう人は非常に多いのが現実です。
ここからは残りの人生の逆算経験を経た後、好きなことをビジネスにして、60代からの時間を有意義に過ごしている方達をご紹介します。
人生を逆算し黄金の15年間を迎えた人々
石油業界の営業畑から鍼灸師に転身
50歳にさしかかる頃、サラリーマン人生の先行きが見通せるように感じたA氏が、自分がやりたいことに思いを巡らせ、行きついたのが東洋医学です。
その夢を叶えるために、彼は在職中の53歳から鍼灸学院の夜間部に通い始めました。
54歳の時には早期退職に踏み切り、会社から割増の退職金をもらい、そのお金を原資にして56歳の時に国家試験に合格しました。
しかし、50代半ばの彼を雇ってくれる鍼灸院はありません。
自分で独立してやっていくしかありませんでした。独立するためには、もっと奥義を極める必要があります。
そこで北京中医医院に留学し、中国語を習いながらの臨床の勉強です。
帰国した彼は、念願の治療院を開設しました。本場で培ったノウハウと集客が実り、彼の治療院は今や予約の絶えない人気の治療院となっています。
メーカーの部長から美容師へ
楠木新さんの「定年後」という本には、メーカーの部長から介護ができる美容師に転身した事例が紹介されています。
この本には、
- NHKの放送記者から落語家
- 信用金庫支店長からユーモアコンサルタント
- 通信会社の社員から提灯職人
- 損害保険会社の社員からトマト農家
- 地方公務員から耳かき職人
など、様々な黄金の15年間を過ごしてきた人たちの先例が紹介されています。
私の知人にも、アパレル業界の部長職から庭師に転身した人がいますが、やはり楽しみながら収入を得ることに成功しています。
60歳から黄金の15年間を過ごすには、本当に自分がやりたいことで起業するために、50歳頃から何をやるのか、どんな準備をすればいいのかを考える必要があります。
つまり、自分の人生を逆算して、いつから何を始めるのかを考えることが求められます。
人生が終わるにあたって「いい人生だったな!」と満足して死ぬためには、どうしても必要なことです。
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