あなたの会社の営業マンは新規取引先をどんどん開拓していますか?
あなたの会社が新規営業を十分に行えていないなら、その理由はこれからあげる5つのどれかに当てはまるはずです。
組織営業のプロフェッショナルが問題点と解決策を提示します。
ほとんどの企業が新規営業に注力できてない
営業が自ら積極的に新規案件を探して日々活動していれば、何も言うことはありません。
どんどんやってもらいましょう。顧客が増えれば、時間と共に売上・利益共に増えていくはずです。
しかし、あなたの会社における営業の実態はどうでしょうか?
もしもそうなら、この先の国内市場縮小傾向を考えると、あなたの会社は大問題を抱えていることになります。
これまで大企業から中小企業に至るまで、数多くの会社の組織営業をコンサルティングしてきた私の経験・体験で申し上げますと、営業はほぼ新規顧客開拓は行っていません。
新規営業に行っていたとしても、訪問件数の比率で言いますと10%未満。しかも窓口担当部署、担当者に会えている率を勘案しますと、5%未満というのが実態です。
これは商談ベースではなく、面談ベースでの実態です。
これから国内市場がますます縮小することが明らかな中で、これで売上維持・向上が実現するでしょうか?
私には甚だ疑問です。
新規営業ができてない理由は5つに分類される
この点については、「行わない」のではなく、「行えない」事情があります。
「行えない」事情は、ほぼ以下にあげる5つのいずれかに当てはまります。
- 既存顧客の対応で精一杯
- クレーム対応で振り回されて新規顧客開拓どころではない
- どこにアプローチすればいいのかターゲットが明確化できていない
- そこそこ売上が上がっているので、将来に対する危機感がない
- 新規顧客開拓のやり方がわからない
もし、あなたの会社が新規顧客開拓ができていないなら、上記5つのいずれか、もしくは複数の問題を横断的に抱えているはずです。
しかし、解決策はあります。問題毎にお話していきましょう。
新規営業できない理由1:既存顧客の対応で精一杯
これは惰性営業の最たるもので、営業のやり方を放任している結果が現れた状態です。
もしもあなたの会社が既存顧客の対応で精一杯なら、顧客の購買規模と自社の客内シェアから顧客の格付けを、まず行う方法があります。
営業活動を重点化すべき顧客とそうでない顧客の仕訳を行い、売上の上がりそうな、売上拡大余地のある顧客に営業活動を集中させる必要があります。
しかしながら、営業は自身の行きやすいところ、話が弾むところに足が向きます。
会社にとって重要な先と営業が行きやすい先が一致しているならばいいのですが、実際は全く逆です。
営業は同じ先ばかり回って、既存顧客の対応で精一杯になるのです。
重要な先との関係を改善して取引の拡大を目指すなら、トップも最初は付き添って営業するというのも1つの手でしょう。
新規営業できない理由2:クレーム対応で振り回されて新規顧客開拓どころではない
クレーム発生が考えられる商品・製品を市場に出さないというのは、本来ならば品質管理部門の仕事です。この管理体制や管理システムが緩いのです。
クレーム処理を営業が主体となって処理をするというのは、社内の機能分化に問題があります。
当然のことながら、クレームが発生しますと初期通報は営業担当者に入るでしょう。
しかしながら、その処理活動を営業が主体となって行っていたのでは、営業が営業ではなくなってしまいます。
クレーム処理が営業の仕事になっていては、営業が本来の営業活動ができない言い訳を作っているのと同じです。
前向き営業・後ろ向き営業で分業化することで、この問題を解決していきましょう。
新規営業できない理由3:どこにアプローチすればいいのかターゲットが明確化できていない
これは、会社としての方針明示の問題です。
経営者にしてみれば、「ターゲットくらい自分で考えて行動しろ!」と言いたいところですが、その前に、
- 自社の将来像がどこにあり、自社が優位的立場に立ちたい市場はどこなのか?
- どの機種でどの市場を攻略したいのか?シェアをどれくらい確保しておきたいのか?
これらの方針を社内で明確に提示できなければ、営業メンバーにはターゲットが見えてきません。
営業は目の前の手っ取り早い先にしか行きません。
営業がターゲットを明確にできていないのは、会社としての営業戦略がないからです。
現在取引があろうが無かろうがアプローチを行う先がターゲットです。
「ターゲットは拾い出しましたが、全てアプローチするわけではありません」と営業が言ってるなら、それはターゲットではないのです。
会社の将来に対する方針を明示し、営業戦略でターゲットに狙いを定め、全数アプローチ先をリスト化し営業にあたってください。
リストのターゲット全てを回るよう、営業担当者に行動させなければなりません。
新規営業できない理由4:そこそこ売上が上がっているので、将来に対する危機感がない
もし、「そこそこ売り上げ上がってるし、今は新規営業なんて必要ないよ」という空気が会社に充満しているなら、それは、まさに目の前の案件探し、目の前の刈り取りが営業活動になっている証です。
このような会社は、たまたま何らかの要因で、目標までたどり着けているだけで、この偶然を必然と勘違いし、日々の忙しさだけで満足してしまっています。
営業担当者の中で、市場全体、業界全体の動向を把握して営業活動をしている担当者がどれくらいいるでしょうか?
顧客は必ず償却されていきます。従って、企業は新規営業なくして存続することができません。
これを否定している人は、森を見ず木しか見ておらず、近視眼でしか営業活動を見ていないのです。結果として発想も近視眼的なものとなります。
これからどんな市場を攻略し、どういうポジションを確保するためにどの顧客をターゲットに攻略するのかを明確にし、攻略ターゲットに対する訪問頻度を設定と既存顧客とは別枠で訪問計画を組ませる必要があります。
新規営業できない理由5:新規顧客開拓のやり方がわからない
「新規顧客開拓のやり方がわからない」これはまさに教育に値する問題です。
新規開拓リストはあるものの、そのリスト顧客に対してどのようにアプローチすべきなのか、どんな話をすべきなのか、どんな情報を収集すべきなのかが、一切わかっていません。
このような状態にあなたの会社があるならば、まさに提案営業の教育が必要です。
今まで取引のないお客様に対して
- 人間関係構築
- 現状把握
- ニーズ把握
- 提案
- 契約
といった営業のプロセスを駆け上がっていくためには、その各プロセスにおいて行わなければならないこと、そのために必要なスキルというものがあります。
それを持ち合わせていないが故に、行動を起こせないのです。
営業教育がこの問題解決の一助となることは間違いありません。
案件を創出する力と仕組みが無ければ企業はジリ貧になる
刈り取る力を持った営業がいたとしても、案件がなければ数字につながりません。
案件を創出する仕組みが営業組織に備わっていなければ、間違いなく売上はじり貧になります。
おそらく5年後には、ウェブを活用した案件創出活動の仕組みが、BtoB(企業間取引)ビジネスの中心になっていると考えられます。
ただし、ウェブ活用も手段に過ぎず、自社に新規営業を行う仕組みが無いならば、何一つ効果は出ないことでしょう。
まさにこの瞬間、今、新規営業ができていない理由を見極め、これを解決しながら、これらのツールを導入していく必要があります。