大企業の重役はなぜ運転手付きの車で出勤するのでしょうか?
単純にステイタスの部分もあるかもしれませんが、お話をお伺いしていると、
- 1)安全性を確保し、緊急事態に対応する
- 2)時間を十分に確保する
という2つの理由があるようです。詳細は当記事にて。
常務以上に運転手付きの車を用意する大企業
つい先日、金融系の大企業で重役に就かれている方と会食する機会があった。
その方の会社では、今でも常務以上のポストのため、運転手付きの車を用意し、通勤・移動する決まりとなっているという。
ひと昔前は自社で運転手を雇っていたようだが、今ではコスト削減のために某大手タクシー会社と年間契約となっている。
ただし、出勤・移動は常に黒塗りのハイヤーで行うことが奨励されているようだ。
大企業の重役が運転手付きの車で出勤・移動するワケは?
1つ疑問に思ったのが、なぜ重役出勤が未だに残っているのか?ということである。
率直にお伺いすると、その会社では2つの理由で未だに重役の出勤・移動に、運転手付きの車を用意しているという。
たとえば、自分が運転して何か事故が起これば、その立場ゆえに企業リスクが生じる。
また、BCP案件のように、突然の天災を始めとする未曾有のリスクに対応し、すぐに本社へ移動し、指示に移れるというメリットもある。
自前で運転手を雇っていた頃は、女性問題をはじめとする、役員の素行調査を兼ねる部分もあったようだ。
役員の一時間あたりの時給(付加価値)は人件費だけで数万円。
たとえば、通勤や商談などで移動に要する時間が1日に3時間あって、役員の時給が3万円だとすれば、1日に9万円が細々とした窮屈な空間(電車・自前の運転)での移動に費やされることになる。
このうち、移動に要する費用を4〜5万円/日費やしたとしても、その時間を役員が自由に使えれば、そっちのほうがトータルでオトクと言うわけだ。
経営者ほど移動時間に費やすコストを常に意識しよう
今回の会食終了後も、その方は車で千葉のマイホームに帰って行かれたが、「ヒラの時代に買った小さな家の前に黒塗りの車を停められて、ちょっと恥ずかしいんだよね。」と、はにかみながらおっしゃっていたのが印象的だった。
毎朝7時にお迎えが来るという。
今の時代、重役出勤という形を取る企業は少なくなっているが、会社の近くに経営者が住むケースは増えている。
社員に対してさえ、通勤時間を短くするため、近隣住宅手当を支給する企業が増えているのではないだろうか。
形は変われど、移動時間が大きなムダを生み出すことを知っている企業は、このような移動コストを削減する手はずを時代に合わせて取る。
自分の身体や頭を自由に動かせない手段による移動は、肉体的、精神的、金銭的な制約を生み、そのコストは見えないところで垂れ流される。
企業の大小関係なく、経営者ほど、移動時間とこれに費やすコストを意識し、時間あたりの付加価値を高めるべきだろう。