個人事業主にとって確定申告のある3月は、税金の負担を感じる1ヶ月です。ところが確定申告書をよくよく見てみると、それ以上に大きな支出となっているのが、国民健康保険や労働保険である場合のほうが殆どではないでしょうか?これに鑑みれば、個人事業主がある程度の収入を得るようになった時は、法人成りする良いタイミングと言えるでしょう。
個人事業主の現実〜負担が大きいのは税金より国民健康保険
小規模な個人事業者にとって、ことの外大きな負担となるのが、税金以上に「国民健康保険」の支払いです。
サラリーマンの場合には給料から天引されるものが健康保険と言いますが、自営業者の方の場合は国民健康保険になります。
サラリーマンの健康保険の場合、本人の給料などの収入金額(標準報酬)に基づいて負担額を計算しますが、国民健康保険の場合には、
- 収入割⇒本人の収入にもとづくもの
- 資産割⇒本人の有する不動産(土地や建物)にもとづくもの
- 均等割⇒世帯の人数にもとづくもの
というように、収入以外のものも加味されて金額が決定します。
また、国民健康保険には仕事を辞めて収入の無い高齢なども加入しているので、どうしても働いている人の負担が多くなってしまうのです。
だいたい、年収400万円くらいだと、ざっと年間25万〜45万円くらい、年収600万円くらいになると60万円以上の負担になります。
ちなみに奥様や子供が多いと負担も増えます。
確定申告書をご覧になってみてください。税金よりも大きな負担となっていませんか?
専業主婦の奥さんがいると年金負担も2倍に…
サラリーマンの厚生年金の場合、奥様が専業主婦や収入の少ないパートだと「第三号被保険者」に該当するので、奥様の年金負担はありません。
ただ、国民年金にはその制度が無いので、たとえ専業主婦やパートだったとしても、奥様は年金を支払わなければなりません。
といっても、専業主婦の奥様に国民年金を支払う財源がありませんから、結局はご主人が負担することになります。
現在、国民年金の年間保険料は187,080円ですから、二人分だと374,160円にもなります。
更には、厚生年金と違って上乗せ部分(報酬比例部分)がありませんので、受給できる金額もそんなに多くありません。
20歳〜60歳まで40年間国民年金を払ってきた方でも、受給できる基礎年金は年780,100円です。
しかも、その額も将来的にはもう少し減る可能性があります。
従業員がいれば労働保険にも加入義務が生じる
また、個人事業主とは言えども、従業員がいる場合には労働保険に加入する必要があります。
労働保険は、通勤中や勤務中の事故を保障する労災保険と、失業などに備える雇用保険の二つからなります。
社会保険ほど金額負担は大きくありませんが、加入は義務ですので気を付けましょう!
ちなみに、労災保険は事業主の全額負担、雇用保険は従業員との折半で支払い義務が生じます。
ある程度の収入になったら法人成りも一つの手
これらの年金や健康保険は払うことが義務となっています。
「自分は病院に行かないから払いたくない」
「将来年金がもらえるかどうかわからないから払いたくない」
支払がキツイと、つい、こう思われる気持ちも分からなくはありません。
ただ、これらの支払いにより守られている方も少なからずいらっしゃいますし、収入があるのに支払いをしないでいると、強制的に財産を差し押さえられることもあります。
金額は少なくないので支払いは大変ですが、計画的に納付を行っていくことが大事ですし、ある程度の収入になった方は事業を法人化してしまうのも一つの方法です。
法人化により社会保険料を減らす方策もありますので、悩まれている方がいらっしゃるなら、お気軽に近くの税理士へご相談されることをお勧めいたします。