何らかの理由により忘年会に参加できない社員がいた場合、その社員をねぎらうために経営者が代わりに金券を渡すことがあります。しかし、後になってから、社員に「◯千円もらったはずなのに、お金が差っ引かれています!」と言われてしまいました。なぜでしょうか?実は忘年会経費を金券で渡すと税金がかかるのです。詳細を説明します。
参加しない人に食事券を渡すという方法はOK?
年に一度の忘年会ともなれば、社員みんなで一年の労をねぎらいたいところです。
しかし、社員が小さな子供を抱えたママであれば、夜遅くなる忘年会への参加は難しいですし、師走の多忙な時期ゆえ業務が重なってしまえば、参加できない社員がいても仕様がありません。
それならば致し方無いのですが、なかには「あんまり飲み会とか好きじゃないんだよね~」と、適当な理由を付けて参加しない人もいたりします。
確かに、プライベートな時間を割いて開催する忘年会ですから、ムリヤリ参加させるのは賢明ではないかもしれません。
ただ、経営者の立場として、
今年はみんな頑張ってくれたから、参加できない人にもなにかしてあげたいなぁ・・・
なんて、粋な心遣いをするような方もいるかもしれませんね!
また、スタッフの立場から言えば、
忘年会なんてやらなくていいから、その分ボーナスちょーだいよ・・・
なぁんて思っている人も多いかもしれません。
そんな風に思われていたら社長もかわいそうですが、それでも「参加できない人にも何かしてあげたい!」と社長が考えたとしましょう。
あるしゃちょーさんが、こんなサプライズを考えたとします。
そうだ!参加できない人には5,000円分のクオカードをあげよう!
それなら自分たちの都合のいい時に飲みに行けるだろう!
忘年会の1人当たりの飲食代相当額を参加できない人に食事券としてあげるということです。
これならば、参加した人も出来なかった人も公平になっているような気がしませんか?
ただ、このような措置を行った場合は、チョット税金がかかってしまうので注意が必要なんです。
食事券を与えることはボーナスと同じ扱い=所得税がかかる!
会社の忘年会にかかった飲食代を会社が負担した場合、その費用は福利厚生費となるため「会社の経費」となります。
参加した人は会社のおごりで飲み食いできるわけですが、おごってもらった部分については何もしなくて大丈夫です。
思う存分に楽しみましょう。
ただ、忘年会に参加出来なかった人が、あとで飲食代相当額の食事券を貰った場合、それは福利厚生費ではなく、ボーナスと同じ扱いになってしまいます。
「ボーナス=賞与」ですので、お給料と同じように所得税の対象となってしまうんですね。
忘年会に不参加の代わりにもらった金券へなぜ所得税がかかるの?
え? だって忘年会行った人と同じ分しかもらっていないよ!
と思う人も若い人中心にいるかもしれませんが、所得税がかからないようにするためには、会社サイドとして福利厚生費の基準をクリアしていないとダメなんです。
そもそもクオカードのような食事券は、金券ショップに行けばお金に変えることもできますし、食事に使わなくてもコンビニなどで別のお買い物用途で利用が可能です。
特定のお店限定でしか使えないような食事券であっても、会社の行事として食事に行くわけではありません。
このようにお金以外のもので会社から受け取るものは、「現物給与」と呼ばれています。
食事券も現物給与となるので、所得税がかかってしまうのです。
社員の皆さん、ぜひ忘年会に参加しませんか?
最近は会社のイベントとして忘年会をやらずに、飲食代相当額だけスタッフに渡す会社も増えています。
スタッフの方にとってみれば、そのほうが気楽かもしれませんが、その分はボーナスと同じように“税金がかかる”ということを知っておきましょう。
社長や上司抜きで忘年会をやった方が、スタッフの立場としては盛り上がるかもしれません。
ただ、経営者としては日ごろの労をねぎらってやりたいという気持ちもあるんですよ~。
年に1回くらいは気持ちよく会社におごられてあげませんか?
きっと、いつもと違った社長のイチ面を見ることが出来るはずですよ!
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