仲間の社長へ個人でお金を貸したら相手がお金を返せなくなった!それでも贈与税は生じるか?

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 経営者間では信頼関係をもとに、ビジネスで融通を効かせるため、個人間でお金の貸し借りをすることがあります。ところが、ビジネスの世界は厳しく、時として貸したお金を相手が返せない場合もあります。この場合、個人間の債務免除は贈与とみなされれば、貸した側は贈与税を支払う必要があるのでしょうか?解説いたします。

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経営者仲間にお金を貸したら、相手がお金を返せなくなった!

 厳しいビジネスの世界に生きる経営者の間では、よく個人同士でお金の貸し借りを行う場面に遭遇します。

 会社間でお金の貸し借りをするのが合理的でない場合に、どうしても仲間を助けたくて、自分のお金を出すといった具合です。

  「本当にすまん。この1,000万円貸してくれた恩、一生忘れないからな。」

  「そんなこと言わなくていいから。とにかく頑張ってくれ。」

 こんなやりとりをして、当初は相手も頑張って返済してくれていたのですが、上手く行かなくなり結局はチャラに、というのもよくある話です。

 お金の格言に「貸した金はあげたと思え」とあるように、お金が戻ってこないこと自体は割り切れるのですが、その後の整理が気になります。

 会社間で金銭貸借を行った場合は、貸し倒れとして損金算入すれば良いだけの話です。

 ところが、個人間だと貸したお金が贈与とみなされ、贈与税がかからないか?という疑問が起こります。実際のところ、どうなのでしょうか?

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個人間で債務免除を行った場合は原則贈与とみなされる

 この点、相続税法第8条は、個人間で債務免除を行ったケースについて、以下の取り決めを設けています。

対価を支払わないで、又は著しく低い対価で債務の免除、引受け又は第三者のためにする債務の弁済による利益を受けた場合には、その利益を受けた人が、債務免除等が行われた時にその債務免除等に係る債務の金額を、その債務免除等をした人から贈与により取得したものとみなされます。

引用:国税庁HP

 つまり、個人間でお金の貸し借りを行って、債務者が借金の返済を行えなくなった場合は、債権者が債務者に贈与を行ったとみなされるのです。

 そうすると、一番最初に例示したように、1,000万円を個人間で貸し借りした場合、貸した側が贈与税を200万円以上支払わなければならなくなります。

 しかし、これでは善意でお金を貸した側にとって、少し辛いところがありますよね。

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債務免除を贈与行為とみなされない2つの場合

 そこで国も、このような場合を例外として、以下のように特則を設けています。

ただし、当該債務の免除、引受け又は弁済が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その贈与又は遺贈により取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。

一 債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、当該債務の全部又は一部の免除を受けたとき。

二 債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その債務者の扶養義務者によつて当該債務の全部又は一部の引受又は弁済がなされたとき。

 つまり、

  • 本気で相手にお金が無い時
  • 三親等内の家族によって借金の一部または全部の引受けもしくは返済が行われた時

 この2つの場合においては、贈与が無かったものとみなされます。

 たとえビジネスを通じた熱い友情を育んだ中だとしても、お金の貸し借りには必ずこのように誰かの責任が発生することを念頭に置きましょう。

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