個人型の確定拠出年金であるiDeCoという商品は節税のメリットや将来の年金の不安から人気を多く集めています。
iDeCoには掛け金、運用益、年金の受け取りそれぞれに対して節税メリットがあることから、iDeCoに興味のある方も多いのではないでしょうか?
しかし、iDeCoにはメリットだけでなくデメリットもあるということを覚えておく必要があります。
そこで今回は、iDeCoのデメリットやiDeCoをおすすめできない人の特徴について解説していきます。
iDeCoの種類
まずは、iDeCoで運用できる商品の種類を解説していきます。
iDeCoの運用商品には、元本確定型の商品と投資信託の商品があります。
それぞれの商品について、簡単にみてみましょう。
元本確定型商品
iDeCoの商品の中には、元本が保証されている商品があります。
元本とは元になるお金のことなので、元本確定型商品は元手を下回らない商品というわけです。
具体的には、次の2つが挙げられます。
・定期預金
・保険
元本確定型は元本が保証されている分、利息や配当などのリターンは少ないです。
そのため、なるべく損をしたくないという方は元本が保証されている商品を中心に運用するとリスクが少なくなります。
投資信託
iDeCoの運用商品の中には、投資信託もあります。
投資信託とは、金融機関が顧客からお金を集めて、運用を行い運用結果を顧客に分配するという投資商品です。
iDeCoを投資信託で運用した場合、iDeCoの掛け金を使って株や債券などに運用されます。
iDeCoで利用できる投資信託には次のようなものがあります。
・国内株式
・国内債券
・外国株式
・外国債券
・バランス型
それぞれの運用商品によって、リスクやリターンが異なります。
一般的には債券より株式の方がハイリスクハイリターンで国内よりも外国の方がハイリスクハイリターンになります。
また、それぞれの投資先にバランス良く投資するバランス型もあります。
バランス型で運用された場合はリスクを抑えつつ高いリターンを期待することもできます。
iDeCoのデメリット
iDeCoは節税効果が期待できるというメリットがありますが、デメリットもいくつかあります。
ここでは、iDeCoのデメリットについて、解説していきます。
元本保証ではない
iDeCoは自分で掛け金を拠出して、自分で運用商品を選ぶという商品です。
運用商品の中には、元本が保証されている定期預金などもありますが、投資信託のように元本保証がないものもあります。
そのため、将来受け取れる年金額が掛け金を下回るリスクもあるので注意が必要です。
もちろん、運用の成績によっては掛け金以上の年金を受け取ることも可能ですので、どのくらいのリスクに許容できるかを考える必要があるでしょう。
手数料がかかる
iDeCoには次のような手数料がかかります。
・加入時にかかる手数料
・毎年の運用にかかる手数料
・お金を受け取る際にかかる手数料
・投資信託商品の信託手数料
iDeCoの運用で利益が出たとしても手数料の支払いによって元本を下回る可能性もあります。
また、リスクの低い商品のみで運用してしまうとリターンも少ないため、手数料で赤字になる可能性は高いです。
そのため、運用によって大きくリターンを稼げなければそもそも損をしてしまうので注意が必要です。
途中で解約できない
iDeCoは原則60歳になるまで解約できません。
途中でお金を引き出したくても引き出すことはできず、掛け金は60歳まで運用し続けることになります。
そのため、iDeCoの掛け金は余裕のある資金で行う必要があります。しかし、場合によっては急な出費が発生する可能性もあるので、iDeCoで掛け金を拠出しているのはリスクになります。
iDeCoをやっても得する人
iDeCoのデメリットについて紹介しましたが、iDeCoは絶対におすすめできないという商品ではありません。もちろんiDeCoをやって得する人もいます。
ここからは、どのような人がiDeCoで得をするのか、解説していきます。
投資の知識がある人
iDeCoの運用益は非課税です。
そのため、運用で利益を出せば出すほど節税効果が大きくなります。
通常の投資商品の場合は運用益に対して20.315%の所得税等がかかります。
投資に関する知識がたくさんある人や投資の勉強ができる人であれば、iDeCoの商品運用で利益を出して節税することができるでしょう。
同じように運用益が非課税になる仕組みとしてはNISAやつみたてNISAなどが挙げられますがどちらも1年間に運用できる額が制限されています。
投資に自信のある人はiDeCoやNISAなどの節税メリットをたくさん受けられるのでおすすめです。
退職金の少ない会社員
iDeCoの年金は一時金として受け取れます。iDeCoを一時金で受け取った場合には退職所得控除が適用されます。
退職所得控除は会社員、会社役員のみに適用される所得控除で、勤続年数に応じて次のように控除額が変動します。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
退職所得控除はiDeCoの一時金と退職金を合算して控除されます。
そのため、退職金があまりもらえない会社員はiDeCoを利用して退職所得控除の恩恵を受けられるということになります。
iDeCoに向かない人
iDeCoで得する人がいれば、iDeCoをおすすめできないという人もいます。
ここでは、iDeCoに向かない人の特徴について、解説していきます。
運用商品について考える時間のない人
iDeCoは自分で運用する商品を考える必要があります。
そのため、投資に関する知識のない人や運用する商品について考える時間のない人はおすすめできません。
「販売窓口の金融機関でおすすめを聞けば良いのでは?」と思うかもしれませんが、金融商品の販売では運用商品の優劣をつけて説明することは禁止されていますし、そもそも誰もがおすすめできる運用商品なんてものはありません。
商品ごとにリスクが異なるため、自分がどれだけのリスクに許容できるかによって適切な運用商品は異なるのです。
そのため、iDeCoで運用する商品についてはじっくりと考える必要があります。
退職金のない自営業
iDeCoの掛け金を受け取る際に節税効果が期待できますが、自営業の場合にはあまり節税が期待できません。
会社員の場合は一時金として受け取ることで退職所得控除を適用することができますが、自営業には「退職金」という概念がないので、一時金を受け取っても退職所得控除は適用されません。
iDeCoは年金として受け取ることもできます。年金として受け取った場合には、公的年金等の控除が適用されます。これは、国民年金などの公的年金等と合算して適用される控除制度です。
公的年金等の所得控除では65歳未満の場合は最低でも60万円、65歳以上の場合は最低でも110万円は非課税になります。
この控除は年間の控除枠になるので国民年金の受取額が110万円以上の場合にはiDeCoの節税メリットはないということになります。
そのため自営業はiDeCoのメリットをあまり受けられないということになります。
退職金と年金額が多い会社員
退職金と年金の受取額が多い会社員はiDeCoの掛け金を受け取る際の節税メリットがありません。
iDeCoは一時金として受け取る場合に退職所得控除、年金の場合には公的年金等の所得控除が適用されますが、そもそも退職金と公的年金が多い場合には控除されるものがありません。
iDeCoの掛け金や運用益は非課税となりますが、節税を最大限活かすことができないという点に注意が必要です。
まとめ
今回は、iDeCoのデメリットについて解説しました。
iDeCoの節税メリットは大きいですが、iDeCo自体で損してしまうこともあります。
また、節税メリットを活かせない人もいるので利用する前にしっかりと把握しておく必要があります。
iDeCoについてしっかり理解し、最適な運用を心がけましょう。