起業家にとって失敗の経験は多くの学びを得られるものです。しかし起業から10年後の生存率が1割であることを考えると、起業で成功する人と失敗する人がいることも看過ならざるものです。そこで本稿は、多くの起業家を見てきた税理士の目線から、起業してもうまく行かない人に共通する3つの特徴を紹介していただきます。
起業は失敗の連続!失敗例から学ぶことは多い
新しくビジネスを始める、俗にいう「起業する」はとてもワクワクする反面、「失敗したらどうしよう・・・」という不安になってしまう部分も多いですよね。
私自身、ちょうど二年前に独立開業して起業したわけですが、そのようなワクワクとソワソワの両方の気分を味わいました。
ただ、自分自身で「まったく先が分からない状況でビジネスをスタートする」という経験をしたコトで、そういった経験をする前よりも起業する方と同じ目線で話をすることができるようになりました。
いろいろなことを経験してきましたが、失敗してしまった経験から得たものは非常に多かったと思っています。
実際、独立して開業する前から色々と考えていたことがありました。
- ホームページを作って集客していこう
- 異業種交流会などに参加して人脈を作っていこう
- サービスレターやDM、チラシなどを作れば集客できるんじゃないか
私は「税理士」という資格を基本にした士業ビジネスですが、開業したばかりのころの集客については、他のビジネスと何も違いはありません。
どのように商品を作って、どのようにお客さんを集めて、どのように売っていくか
この商売の基本というモノは、全てのビジネスに共通していることです。
ただひとつだけ言えるのは、15年近く税理士という職業をしてきたこともあって、人がやってきたビジネスのスタートアップの現場を良く見てきたということですね。
- どういうやり方をした人が成功したか
- どういうやり方をした人が失敗したか
実際に事例として現場で見てきたので、自分が独立して開業した時の大きな参考になったと思います。
特に参考になったのが「どういうやり方をした人が失敗してしまったのか」ということです。
私が今まで見てきたお客様のなかで、失敗してしまった人に共通することがいくつかあるので、本日はこの点について紹介したいと思います。
うまく行かない起業家に共通する3つの特徴
1)お財布の中身の金額を知らない人
今、自分のお財布の中にいくら入っているかすぐに答えることができますか?
もし、スグに答えられない方は要注意です。
お財布のなかにいくら入っているか答えられない人は、「お金の管理がズサンな人」が多いという統計があるのです。
ビジネスの究極の目的は、「利益を上げるコト=自由に使えるかお金を増やすコト」だと思います。
ですので、実際に自分の持っているお財布(現金や預貯金)が今の段階でいくらあって、そしてその金額のうち自由になるお金が幾らあるのか把握しておくことは、ビジネスでもとても大事なことです。
手元のお財布にいくら入っているかも答えられない人が、自分の預貯金や資金繰りの状況を理解できるはずもありません。
最終的にどんぶり勘定になってしまい、一体いくら利益が出ているかもわからない状況に・・・。
税理士に頼んで決算してもらったけれど、「え?こんなにお金なんて残ってないよ!」という結果になってしまいます。
当たり前です。
お金が残っていないのは、お金を管理できていないから、余計なトコロに使ってしまっているんですよ!
お金の管理は非常に大事なので、いつでもお金を管理できるようにしておきましょう。
そういう意味ではリアルタイムで情報を確認できるクラウド会計がオススメです!
2)税金を払いたがらない人
ビジネスがうまくいくことは、売上が上がって利益が増えていることを意味します。
利益が増えると同時に増えてくるのが税金です。
税金は「利益(所得)×税率」というカタチで計算されるので、利益が増えればそれに伴って税金も増えていきます。
ただ、税金を払いたくなっていう人はスッゴイ多いんですよ。
分かります。分かりますよ。
税理士の私だって、税金なんて払わなくていいものであれば払いたくないです。
税理士という立場上「正しく納税しましょうね~」とは言いますが、お金が出ていってしまうことは誰でもイヤなものだと思います。
ただ、やっぱり正しく計算して算出された税金であれば、キチンと払うのが国民の義務です。
その税金によって成り立っているものもありますから、払うとなれば気持ちよく払いますよ。
ただ、1円でも税金を減らしたいと言う人も多いのが現実です。
税金を減らすためには、その計算の基本となる「利益」を減らす必要があります。
利益を減らすためには経費を増やす必要がありますので、
- 本当は必要のない高額な買い物(クルマや保険、会費など)をしてしまう
- 必要以上に生活レベルを上げてしまう
- 経費でない個人的な支出も経費にしてしまう
というようなコトをしてしまいます。
結局、税金の金額を減らすために、自分自身で自由に使えるお金も減らしてしまいますし、本当に必要な出費が生じた時に備えられないことも。
税務調査などで、後で痛い目を見るのはこういうタイプの人たちです。
3)人の意見を気にし過ぎる・人の意見を聞かない
「あの人がこう言っていたから・・・」
人の意見ばかりを気にしすぎて、振り回されてばかりいる人は上手くいかないことが多いと感じています。
人の意見を聞くのは良いことなのですが、だからと言って人が言っていた通りにしか動けない人はダメです。
ちゃんとまわりの意見を自分の中に取り入れて、自分なりに解釈をして行動に移すことが大事だからです。
サラリーマンだった人が独立開業して失敗するパターンは、こういうタイプの人が多いですね。
マニュアル本に頼ったり、先輩たちの行動を真似するのは悪いことではありませんが、いざ実際にやってみると起こるトラブルは人によって異なります。
ですので、多少なりとも自分流にアレンジしていくことは必要です。
人の意見を気にしすぎるのも良くないですが、もっと良くないのは「人の意見を全く聞かない」タイプの人です。
絶対にこの方法ならうまくいくはずだ!・・・と強い決意は素晴らしいと思います。
ただ、やはりまわりの意見に耳を傾けるのも大切なコトです。アタマは柔らかくしていくことが必要ですね。
起業家にとって失敗は成功に向けたステップ
自分自身、独立して開業してから紆余曲折がありました。
うまくいったこともあれば、失敗してしまったかなぁということもあります。
ただ、どちらの方から多くを学べたかと言うと、やはり「失敗してしまったコト」のほうが自分にとってプラスになったことが多いかもしれません。
「成功と失敗があるのではない。成功と成長があるのだ」
という格言もありますので、どんどん新しいことにチャレンジして成長していきましょう!