相続手続きを進める際など重要になる書類が、戸籍謄本です。戸籍は最寄りの自治体で入手することが可能ですが、個人情報が記載されているため、通常は閲覧できる人は親族などに限られています。ちなみに本籍地を私達は様々な場所に置くことが可能です。しかし、次々と本籍を変えると思わぬ面倒が…戸籍にまつわる意外と知らないことをまとめます。
戸籍謄本は個人の歴史を語る重要な行政書類
戸籍とは,その人の出生から死亡するまでの親族関係を表したものです。
その人の親は誰なのか、妻や夫は誰なのか、子供は誰か、養子はいるのか、といった内容が分かるようになっています。
従って、戸籍を追っていけば、その人と血のつながりがある人や姻戚関係のある人が分かるようになっています。
戸籍は市区町村単位で管理されています。
もし戸籍の内容をあらわす書類(戸籍謄本や戸籍抄本といいます)が必要であれば、各市町村の窓口で申請すれば取得することが出来ます。
戸籍謄本や抄本の取得にかかる費用は自治体によって異なりますが、だいたい1通当たり500円前後と言うところが相場。
私が拠点を置く小田原市、南足柄市、大井町、松田町、箱根町あたりであれば「広域証明サービス」という制度があるので、この地域に住んでいる方であれば5市町の役場で戸籍を取得できます。
例えば箱根に本籍がある人は、小田原市の市役所でも戸籍を取得することが出来ますので、うまく活用してみて下さい。
戸籍謄本を取得できる人は基本的に制限される
ただし、戸籍は誰でも簡単に取得できるわけではありません。
それこそ個人情報のカタマリのようなものであるため、行政も取得できる人に一定の制限をかけています。
具体的には
- 戸籍に記載されている本人
- その人の配偶者
- その人の父母、祖父母などの直系尊属
- その人の子、孫などの直系卑属
以上のつながりを証明出来なければ、戸籍を取得することは出来ません。
離婚した相手方の戸籍や、兄弟姉妹などが戸籍を取得する場合には、その戸籍を取得する理由を文書にして説明しなければなりません。
「相続人を確定するために必要」「離婚後の親権の確認に必要」というような具体例が必要です。
また、税理士や弁護士、司法書士や行政書士など、行政手続や司法手続に戸籍の取得が必要になる場合には、各士業の職権で取得することも出来ます。
その際には「戸籍等の職務上請求書」というものを添付して、各市区町村に戸籍取得を申請しますが、その時にも取得の理由を明記しなければなりません。
スカイツリーもディズニーも!本籍を置く場所はどこでも大丈夫
さて、私達は日本国民である以上、自分自身の戸籍のある場所を定めなければなりませんが、自分の戸籍が置かれている場所を「本籍(地)」と呼びます。
本籍は自分の住んでいる場所に置く場合が多いですが、厳密にいうと住んでいない場所を本籍地として指定することも可能です。
例えば、小田原に住んでいるのに本籍地を皇居のある「東京都千代田区千代田1-1-1」にしてもOK。
東京スカイツリーやディズニーランド、富士山山頂などを本籍地にすることもできます。
ちなみに千代田区民の方は、皇居を本籍にしている場合も多いようですね。
ただ実際に戸籍が必要になった時には、そこまで実際に足を運んで申請するか郵送で請求しないとならないので、住所地にしておいた方が無難です。
多くの方は、住所地もしくはご実家のある場所を本籍にしているケースがほとんどですね。
実務者サイドの意見を言わせていただくと、本籍をコロコロ変えるのは避けた方が良いです。
相続手続きなどでは、生まれてから死ぬまでの戸籍が必要になるのですが、本籍地が変わるたびに、その場所での戸籍を取得する必要が出てきます。
皇居のある千代田区役所に行って、富士山のある富士吉田に行って、ディズニーランドのある浦安市役所に行って・・・なんて想像しただけでもゾーッとします。
以上は生きている方の戸籍のお話です。
亡くなった方の戸籍もとることができますが、それらは除籍謄本、原戸籍と呼ばれるもので扱いがちょっと異なってきます。
そのお話についてはまた別の機会に・・・。