経営者になると全責任が自分に降りかかると感じ、失敗することを避けガチになるものです。しかしキミアキ先生は、自分が責任を取れるからこそ、経営者には失敗する特権があると言います。失敗を経験することはなぜ大事なのか?失敗の手ほどきを解説していただきました。
社長さん達の特権は沢山の失敗ができること
社長さんというのは、自分で失敗しても自分で責任を取れば良いので、そういう意味では完璧に許されているわけですよ。
ですから、この失敗が許される立場を、みんなもっともっと楽しんで行こうじゃないか!と、今日はそんな話をしてみたいと思います。
実は、私どもコンサルタントが社長さん達をコーチする時は、基本的に失敗してもらうことをベースにして、一緒に取り組ませていただいてます。
とりあえず社長さんにまずやってもらって、失敗したらまた修正すれば良いわけです。それでまた失敗したら、また修正すれば良いだけ。
成功するまで、失敗を繰り返していくだけなんですね。
失敗する前提として自学自習の考え方を持とう
「なぜそんなに失敗せにゃならんのだ!」という話なのですが、要するに実践したのか、しなかったのか。この差はやっぱり大きいわけですよ。
そうすると我々のようなコンサルタントは、毎月必ず1回は社長さんにお会いして、それをチェックしていく。
別に失敗したって、何てこと無いです。なんて事無い。
問題があるとすれば、動かないことが1番マズイので、動いて失敗する方がよっぽど、よ〜っぽどマシなんですね。
でも、動いて失敗する際に、1つだけ基本的な方針を共有していただいています。
それは、まず「自学自習の考え方」を持ってもらうことです。
この自学自習の後に、自らが実践して、自ら失敗するっていう事につながって行くんですけれども。
自学自習の考え方が失敗する上で大事な理由
なんで自学自習の考え方が大事かと言うと、実は私は30歳を過ぎるまで、大手の資格学校で簿記の先生をやっておりました。
簿記の先生に、受講生が何を求めているかっていうと、「簿記の試験に合格したい」ってお金を支払って、学校にやってくるわけですよ。
あくまでも「簿記がわかりたくて」来ているのではなく、「簿記の試験に合格したい」と。
ところが、私がどんなに良い授業をしたところで、それだけでは試験には絶対に受からないんですね。
でも実は、受講生さんを受からせる方法というのがあります。それは、とにかく問題を解かせて、いっぱい間違えさせるという手法です。
実際に、失敗しながら体に染み付かせて行く手法だと、だいたい全国平均の3倍くらいの合格率が出るんです。
全国平均の合格率が30%を超えてくると、受講生のほぼ全員が受かります。
これは、私がいっくら教えたって本当にムダで、自分たちで間違って、間違って、間違って…それで掴んでいくんですね。
だから、私は先生として生徒が失敗するために、いっぱい失敗するよう背中を押すのが、仕事だったりしたんです。
私は18歳の時に、妻と簿記1級のクラスで一緒だったんですが、当時私の妻が早解きの方法を考え出しまして。
周りは妻の名前をとって「あさよちゃんスペシャル」って命名したんですが、その早解き方法で、通常は40分以上かかる問題を10分くらいでカァーッて解いてしまうっていう。
これも自学自習によって、自分たちで編み出して考えて行く、そういう所から生まれました。
失敗していない経営者には低評価しか付かない
そして、難しいこと、新しいことをやったら、失敗してあたりまえなんですよ。
ところが、従業員さんはどういう仕事するかっていうと、簡単な仕事しかやりたがりません。
難しい仕事や新しい仕事を取ってきて、誰がやる?ってなると、みんな必ずうつむきますよね。
「自分のところに回って来ないように…(願)!」
っていう感じがあるじゃないですか(笑)
事業者でも同じでして、とにかく何もしない社長さんというのは、同じ事業者側からすると絶対評価は下がるんですよ。
特に優秀な事業者ほど、何もしない社長さんに対しては低い評価しか下しません。
優秀な方と付き合っていきたい時に、何もしてない、チャレンジしない、新しいこと難しいことを、自分で手を挙げてやらないとか、もうそれだけで”アイツ駄目なヤツ”ってなっちゃいます。
だから、自学自習の上で、チャレンジして失敗する過程ってのを、成功するまで繰り返さないとならないのです。
難しいことをやって失敗することの効用とは?
私が常に「起業するのは簡単だ」って言っているのは、世の中では「難しい仕事」は、山程余っているからなんです。
中小企業はどこも似たような問題を抱えておりまして、従業員を食わせていくためには、従業員のレベルに合った仕事しか取れないわけですよ。
そうすると、だいたい簡単な仕事ばかりをどこも取り合いをして、難しい仕事っていうのは、実は本当に置き去りなんですね。
難しい仕事ってのは、難しい分だけ失敗もしやすい。その代わり、難しい仕事を手を挙げて請けると、質の良い経営者の方々と付き合うことが出来ます。
私どもの会計事務所の中で難しい仕事といったら何だろう?というと、たぶん経営相談が1番難しいです。
社長さん達と話し合うやつですね。これはうちに勤務している税理士先生なんかも、まず絶対出来ません。
そのくらい難しい仕事は余っているんですよ。
どうせ失敗するなら本を読もう。それでも…
いや〜、それでも失敗はあまりしたくないなぁ…という方にお勧めしているのが、1番安い投資とも言える読書です。
本で、先人の失敗を知識として知っておくんですね。
それこそ本なんか沢山出版されていますし、まずは手当たり次第に読んで良いです。
私もビジネス書を1,500冊位は読んできましたけれど、やっぱり読むことによって、先人の成功・先人の失敗ありますけれど、先人の失敗を知っておくだけでも価値があります。
自分はこういうやり方でやってみよう!あ、や〜っぱり先人と同じように失敗した…と。
大体は失敗すると。だけど、それで良いんですよ。
事業者なんて、いっくら失敗したってね、その失敗した分の投資を必ず取り戻せます。
そんな失敗なんてね、繰り返し修正し続けることを諦めなければ、いつでも10倍になって戻ってきますよ。
ということで、本で先人の失敗を知っているだけでも、全然違います。
失敗することを許す環境に自分の身を置こう
あと、いっぱい失敗するために、環境というのは大事です。
付き合う人と付き合う会社が、失敗を許す文化を持っているのか?それとも失敗を許さないような文化にいるのか?
これは、かなり重要です。
私の経験上やっぱり、質の高い社長さん方は、みんな失敗を許しますよ。
「あっ、ウン百万すったの?!でもさ、その程度なら、どうってことねぇ〜じゃ〜ん。」みたいな感じでね。
貴方が一生懸命やっていたら、魚を直接くれることはなくても、「こうやって竿は投げるもんだよ!怖がらないでもっと投げまくれ!」って一生懸命教えてくれます。
要するに「何かをする」ことが大事であって、それが上手くいくか上手くいかないかなんて、どっちだって良いんですよ。
上手くいったら「おぉ〜!良かったね〜っ!」みたいな感じで、仲間になってくれた社長さん達って、素直に喜んでくれるんですね。
自分の懐にかすめ取ろうなんてしないで、うまくいくように手を貸してくれます。
失敗を楽しむ文化みたいなものがある輪の中にいると、本当に何ってこと無い!と思えるようになっていきますから。
ですから、そういう輪の中に自分たちが入っていくには、どうすれば良いのかと考え続けましょう。
失敗とは成功に向かう途中の段階でしかない
それではおさらいです。
- まずは勉強しよう
- それから必ず実践しよう
- 失敗の後は自学自習で学んで、そこから更に自分で実践して、自分で失敗してみよう
これを繰り返すと、失敗って悪いことでは無いんだと、失敗はただ単に成功するための段階に過ぎないんだ、と思えるようになります。
それこそ事業を始める前に、こういうことを知っておくだけで、随分と気は楽になります。
失敗を楽しむ余裕のある人たちの中だと、「会社を2,3こ潰してやっと1人前だ」とかそんな風に言われますから(笑)