昨日に引き続き、2015年に起きることが確定している経済に影響あるイベントを本日は、後半編でご紹介したいと思う。日本郵政の上場、上海ディズニーランドのオープン、ASEAN経済共同体の発足、日本の年末プライマリーバランスが出す結果、ヨーロッパ諸国の問題顕在化が、経営にも大きな影響を与えそうだ。
日程が未定でも重要イベント目白押し
昨日の2015年経済に影響あるイベント5選〜前半編〜に続き、2015年経済に影響あるイベントの後半編をお送りする。
https://setsuyaku.ceo/post/141/2015%E5%B9%B4%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%81%AB%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%81%82%E3%82%8B%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%885%E9%81%B8%E3%80%9C%E5%89%8D%E5%8D%8A%E7%B7%A8%E3%80%9C
年後半の重大イベントはまだ正式な日程が決定していないものが多いが、いずれも日本経済ひいては自社にも影響を及ぼすであろうイベントが多い。
2015年経済に影響あるイベント5選〜後半編〜
1)日本郵政グループが株式を上場 9月頃
日本郵政グループの日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険が2015年9月頃に新規上場する予定だ。時価総額はNTTドコモが1998年に付けた約9兆円に迫るだろうと言われ、主幹事証券会社は11社にも及ぶ。2014年3月期の連結純利益は約4,790億円で、日本郵政は約1,550億円、ゆうちょ銀行も約3,550億円と大きく利益を出しているのに対して、かんぽ生命と日本郵便はそれぞれ、約634億円、約330億円しか利益を出していない。上場することによって、短期で利益を上げることや、不採算部門の切り捨てを株主に求められることから、流通業界にも大きな影響を及ぼすことは必須だ。
2)上海ディズニーランドがオープン 2015年末
2015年末には上海にディズニーランドがオープンする。建設費用は日本円で4,300億円を超える。パーク自体の広さは116ヘクタールで、世界一狭いディズニーパークになるため、地元メディアでは上海ディズニーランドを『ミニ・ディズニー』と呼んでいる。日本との関連では、2014年に顕著な伸びを見せたインバウンド消費が上海ディズニーランドができることで、どのように変動するかだ。今年日本へ来た外国人は1,300万人に到達し、そのうち台湾と中国を合わせると30%を超える450万人に達する。彼らが日本へもたらした強大な消費力が国内へ還流してしまうのか、それともうまく棲み分けが進み、インバウンド消費が伸び続けるかが、注目されるだろう。
3)ASEAN経済共同体(AEC)が発足 2015年末
ヨーロッパEUのASEAN版である、ASEAN経済共同体(AEC)が2015年末に発足する予定となっている。統一通貨がなく、人の行き来にも一定の制限がある点は、EUとは異なるが、人口6億人に到達する経済圏が統一されることは、世界に一つの大きなパワーができることを意味する。日本のTPP交渉にあたっても大きな影響を及ぼすことが予想される。更に、東南アジア主要国(インドネシア、マレーシア、ベトナム、タイ、シンガポール、フィリピン)ではミドルアッパー層(中流家庭)が増えていることから、日本のビジネスチャンスが拡大する。
4)日本はプライマリーバランスで黒字化する? 2015年末
アベノミクスが成功したか否かを判断する大きな材料として、年末のプライマリーバランス(基礎的財政収支)が黒字化するか否かに注目したい。2013年末に安部首相が発表した経済財政運営の基本方針いわゆる「骨太の方針」では、「国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字を15年度までに対GDP(国内総生産)比で10年度に比べて半減させ、20年度までに黒字化する」との従来の健全化目標を明記している。もし赤字のままであれば、アベノミクス3本目の矢「民間投資を喚起する成長戦略」が失敗に終わることになる。2016年以降に控える、扶養控除の撤廃、消費税増税にも当然影響が生まれることであろう。
5)ギリシャ・ロシアなどヨーロッパ諸国問題の顕在化 2015年後半
2011年に顕在化したギリシャの経済破綻問題、今年起きたロシア通貨危機が、来年の冬に再燃する可能性があることを頭の片隅に入れておきたい。ギリシャでは現在も緊縮政策が続けられており、2014年末にEUの支援プログラムが終了する。しかし、来年の3月に行われる選挙では急進左派連合(SYRIZA)が第一党になる可能性も考えられている。この場合、経済政策が緊縮方向から変更される可能性があるので注意が必要だ。今年末に通貨危機に陥ったロシアの経済数値にも注意が必要だ。現在のところ、豊富な外貨準備金を有しているため、当面をしのいでいるが、国際的な発言力の低下やパワー減退により、GDPがマイナス成長になるようなことがあれば、まさかのリーマンショックのような出来事も想定される。
世界と自分は繋がっている
世界の政治やイベントは一見自分と関係無いように思えて、密接なつながりを持っている。
起こりうること、起きることが確定しているイベントを、対岸の火事として見るのではなく、自分自身にどのような影響をもたらすか噛み砕いて考えることで、主体的な経営の選択を行っていこう。