5万円ケチって最大で300万円の損 労災保険に入らないリスク

労務

 日本には、雇用保険・健康保険・厚生年金保険・労災保険という、4種類の保険制度があります。この中で労災保険と、他の3つの保険には加入対象の部分で決定的な違いがあります。労災保険は、如何なる業種・企業規模・労働条件にあろうと、全ての労働者が対象となっていることです。未加入の企業で労災案件が生じると、大きなリスクが生じます。労務のプロに解説していただきます。

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労災保険と他の保険には決定的な違いがある

 経営者の方が、事業を始めて従業員を雇用するようになった場合に、関係してくる保険制度は大きく分けて4つあります。

  • 雇用保険
  • 健康保険
  • 厚生年金保険

 そして、今回お話する「労災保険」です。

 なぜ今回労災保険に着目するかと言いますと、労災保険は他の保険制度と、決定的に違う点が1つあるからです。

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雇用・健康・厚生年金保険は加入対象外企業も

 まず、労災保険以外の保険制度は、加入できる労働者について要件が定められています。

 雇用保険に加入できる労働者は、1週間で20時間以上労働し、31日以上雇用予定がある労働者です。

 また、健康保険や厚生年金保険は、目安として1週間で30時間以上労働する場合に加入できます。(正確には1週30時間と定められてはいないのですが、目安として1週30時間以上とさせていただきます)

 また、健康保険や厚生年金保険は、法人であれば対象となる者が1人でもいれば業種問わず強制加入となりますが、個人事業主の場合は、労働者数が常時5人未満であれば、加入する必要がありません。

 つまり、雇用保険や健康保険、厚生年金保険は対象となる労働者がいなければ、加入する必要が無い場合もあるのです。

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労災保険は諸条件に関わらず加入の対象となる

 対して労災保険は、加入すべき労働者について、一切制限を設けていません。

 つまり、1週間に1時間しか労働しないアルバイト従業員であっても、雇用した場合は必ず労災保険の対象となるのです。

 更に労災保険の加入義務は、会社規模や労働条件を問いません。

 また、業種についても農業、水産業等ごくわずかの例外を除いて、ほぼ全ての業種が対象となり、また法人、個人事業の企業形態も問いません。

 農業、水産業等以外のすべての企業は、たとえアルバイト従業員1名でも雇用する事となったら、必ず労災保険に加入しなければならないのです。

 ここに労災保険の注意すべきポイントが生じます。

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労災保険未加入でも労災生じれば労働者保護へ

 実際のところ、企業の中には、「うちは零細企業だから」と言って、労災保険に加入していない企業が現実には多く存在します。

 例えば、通常の保険であれば保険に加入していなければ、保険料を負担する必要が無い代わりに、仮に事故があっても保険給付を受ける事はできません。

 これは、極々当たり前の事ですよね。

 国の制度である雇用保険や健康保険も同じです。

 もちろん、一定の要件を満たしている場合には、加入が法的に義務となりますが、仮に未加入の状態であれば一切の保険給付を受ける事ができません。

 しかし、実は、労災保険はその点が違っているのです。

 労災保険は労働者保護を目的としているため、仮に勤務先の企業が、労災保険に加入していなくても、労災事故により負傷した労働者は、労災保険の給付を受ける事ができます。

 何かおかしな感じがしますが、労働者保護の観点からそのような取り扱いがされています。

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労災未加入でも労災が生じれば企業に支払義務

 ところで、労災保険も保険であるため、当然加入すれば保険料が発生します。

 労災保険の加入の有無に関らず保険給付を受ける事ができるとなると、正規に保険料を支払っている企業との間で不公平が生じてしまいます。

 そのため、当然労災保険に未加入の企業で、労災事故で従業員が保険給付を受けた場合は、未加入企業にペナルティが与えられます。

 労災保険の保険料は、基本的には業種による保険料率と従業員に支払う給料を基に決められます。

 決められた保険料を支払えば、たとえ保険給付の額がいくらになっても、保険料以上の負担を強いられる事はありません。

 しかし、労災保険に未加入で保険給付を受けた場合には、支払われた保険給付額の、一定割合の額を負担しなければならなくなります。

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未加入のペナルティは莫大な額になることも

 例えば、年間の保険料が5万円の場合で労災保険に加入していれば、たとえ保険給付を300万円受けても5万円の保険料を納めていれば、それ以上の負担はありません。

 しかし、労災保険に未加入であった場合には、300万円の最大で100%の300万円が企業に請求されてしまいます。

 負担の割合は、悪質さや状況等によって決められますが、仮に30%としても90万円となってしまいます。

 わずか5万円の保険料を惜しんでしまうと、とんでもない負担を強いられる事態が起こってしまうかもしれないのです。

 経済的な理由で労災保険に加入しないという事は、本当に目先の些細な節約に過ぎないのです。

 つまり、労災保険に加入しないという事は、自分でコントロールできない、大きなキャッシュアウトのリスクを負うことを意味します。

 是非、この点をご理解いただきたいと思います。

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松本 容昌

【業務内容】

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私は、これまで培ってきた経験やノウハウをお客様の事業発展に役立てたい、と同時にいつまでも経営者の方の心強い味方でありたいと思っています。

「従業員」に関するお悩みや「助成金」に関する疑問等、お気軽に何でもご相談下さい。

【経歴・実績】

1966年生まれ 静岡県浜松市出身

立教大学経済学部卒業後地元企業で不動産営業、保険代理店営業に13年間従事後。

平成11年社会保険労務士試験合格後、平成13年社会保険労務士事務所「オフィスまつもと」を設立。

開業後、一貫して労務コンサルティングと助成金業務を中心に業務展開を行ってきました。

多種多様な企業の様々な労務相談に応じており、数多くの労務トラブルの解決に尽力してきました。就業規則の作成実績数は、100社以上に及びます。

これまでの経験を生かし、

労務管理セミナー 

「会社を守るための就業規則作成講座&知らないと損をする労務トラブルを防ぐ5つのポイント」
「パートタイマーの上手な活かし方」  等を多数開催。

☆主なセミナー実績☆

平成21年2月 
労務管理セミナー
「会社を守るための就業規則&知らないと損をする労務トラブルを防ぐ5つのポイント」 アイミティ浜松

平成21年3月 
労務管理セミナー
「会社を守るための就業規則&知らないと損をする労務トラブルを防ぐ5つのポイント」 浜松アリーナ

平成21年6月 
労務管理セミナー
「パートタイマーの上手な生かし方及び助成金活用セミナー」 浜松まちづくりセンター

平成21年7月 
労務管理セミナー
「会社を守るための就業規則&知らないと損をする労務トラブルを防ぐ5つのポイント」 富士交流センター

平成21年10月 
飲食店で成功するセミナー 浜松市福祉交流センター

また、助成金業務に関しては、これまで取扱った助成金の種類は20以上で、申請企業数は100社以上に及びます。

特に、平成22年以降は、独立・開業時助成金を活用しての独立・開業支援を主力業務として、茨城県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、岐阜県、滋賀県にわたって独立・開業支援業務を展開。

申請助成金額平成24年度は、2,000万円以上です。

☆助成金活用事例とお客様の声です☆

http://www4.tokai.or.jp/office.m/katsuyoujirei.html

また、独立・開業支援セミナーも東京都、静岡県を中心に多数開催してきました。

☆主なセミナー実績☆

平成22年2月   第1回独立・開業支援セミナー 静岡県教育会館

平成22年4月   第2回独立・開業支援セミナー 沼津市民文化センター

平成22年10月  第3回独立・開業支援セミナー 東京都江東区商工情報センター

平成22年12月  第4回独立・開業支援セミナー 東京都豊島区市民文化センター

平成23年2月   第5回独立・開業支援セミナー 東京都江東区豊洲文化センター

平成23年4月   第6回独立・開業支援セミナー 東京都江東区商工情報センター

平成23年7月  第7回独立・開業支援セミナー 東京都江東区江東産業会館

☆マスコミ出演☆

平成22年1月29日  SBSラジオ「繭子の部屋へようこそ」

平成22年4月2日   SBSラジオ「第1回独立開業支援室」

平成22年5月21日  SBSラジオ「第2回独立開業支援室」

平成22年6月25日  SBSラジオ「第3回独立開業支援室」 

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