こんにちは島倉です。
NECが新卒に年収1,000万で採用することを正式に決めたようですが、くら寿司さんもファーストリテイリングもそうですが、最近この手のニュースがすごく多いですね。
新卒にいきなり高額な年収を支給しますということで、採用募集が行われていますが、本当のところはどうなのか、本質はどこにあるのかということを今回読み解いてみたいと思います。
新卒に高額の年収を支給する本質とは
そもそもNECの話を聞いたときに違和感を感じました。
私がここ最近、NECという社名を出すときには、45歳以上の早期退職の話でNECという社名をずっと出してきました。
リストラと言うとプライドに傷がつくので、早期退職に応募して、次の会社人生を独立、起業するなり、他の会社に行くなどして頑張ってくださいと言う形で今やっているわけですが、この45歳以上の早期退職 3,000人いるわけです。
新卒に高額の年収を支給する課題
この人たちをリストラしておいて新卒を年収1,000万円で募集するというのは、なにかすんなり受け入れられません。
新卒に1,000万円を出すのであれば、この人たちを再教育したほうが生産性が上がりそうではありませんか。
上がらないかもしれませんが、そういう方法もあるわけです。
でもそれを選ばずに新卒にいきなり1,000万円支払うと言う話ですが、私は非常に難しいと思います。
社員間の嫉妬
年功序列・終身雇用が終わったといえ、特に30歳以上の多くの方たちは、その考え方が染み付いています。
そういう企業文化がある中で、新卒にいきなり1,000万を支給したところで、本当に全員に受け入れられるのかということです。
1,000万円得たのはいいけれど、嫉妬やいじめが起きるかもしれませんし、社内から見続けられるということで、なかなか厳しいと思います。
よほど抜本的な人事評価制度を変えていかないと意識も変わらないし、最初にこれに該当した人が相当厳しい立場に追い込まれるのではないかと思います。
新卒に1000万円の年収を支払う本質
まだうまくいくという感じがあまりしないのですが、そもそもこの本質はどこにあるかと考えたときに、新卒1,000万円というところではないと思います、
アドバルーン的な意味合い
それでは何がこの本質なのかというと、おそらくNECでは新卒でも1,000万円もらえるということをアドバルーンとして上げているだけで、本当に優秀な人を何人か雇いたいということもあるでしょうが、それよりも競合他社に優秀な人材を取られないためにこういった魅力的な数字を挙げて、メディアにアドバルーン的に情報を流しているだけではないかと思います。
競合他社に優秀な人材を取られたくない
ユニクロも、くら寿司も、ソニーも年収を上げて採用すると言っています。
ですから、これだけの年収を出さないとIT系の優秀な人材は採用できません。
人工知能関連の研究開発が今は急務で、またシステムが大きく変わろうとしています。
デジタル・トランスフォーメーションが進んでいく中で、絶対にシステムに関する情報系知識を持った人が必要になっています。
そういう中で、他社に取られないためにこのような魅力的な数字をあげないとどうにもならなくなったというのが現状だと思います。
最近では東大を出たら官僚になるのではなく、外資のコンサル会社で1,000万円、2,000万円をもらうという方が当たり前になってきています。そうなると今までのように新卒で1年目は300万円とか360万円ぐらいの年収では優秀な人材が取れないわけです。
デジタルトランスフォーメーション時代に必要な人
40代あたりの世代はデジタルトランスフォーメーションにはなかなか厳しい世代です。
45歳の方たちは大学に入った時にWindows95がようやく出てきたくらいだったので、この情報系に疎い人たちには早期退職してもらって、新卒で最先端の IT技術をもった人を採りたいということです。
特別に優れた人がいればOKで、さらに広くいろいろな高い能力を持った人を集めたい、競合他社よりも優秀な人材を採用したい、ということでこの年収で募集するのだと思います。
1,000万円支給されると正直に信じて応募しても、該当する人は少ないか、もしくはいないかもしれません。
該当して採用されたとしても、働き続けられないということも十分考えられると思います。
年収1,000万とか2,000万という魅力的な数字が報道されていますが、基本的には売り手市場の中で、各社は優秀な人材を確保したい、という中でこういう記憶に残りやすい数字を出しながら、いかに優秀な人材を囲い込むかということに注力している段階ではないかと思います。
というわけで、新卒でいきなり年収1,000万円というプレイヤーががんがん出るという話にはならないというように私は思っています。