どうもみなさんこんにちは。脳科学教育コンサルタントのクロスです。
今回解説する内容は「エスカレートするクライアントの要望についてどうしようかという問題についてです。
コーチコンサルやセラピストであれば、このようなことに悩むことも珍しくないのではないでしょうか。
エスカレートする要望はなぜ起こるか
コーチングを受ける人の中には、超クレーマーや超エスカレートする方はそう多くはないのですが、20人に1人くらいは要望がエスカレートし過ぎる方もいて、それはちょっと範囲が超えている気がするけれど、コーチコンサル、セラピストと名乗っている限りは、何かむげに断るのはかわいそうな気がするし、どうしたらいいだろうと思うわけです。
どこまで受け入れればいいのかということですが、迷っているコーチにはちょうどいい話ではないかと思いますので、ひとつの指針となる私なりの考えを今日は解説したいと思います。
「権利の主張」と「要望」との差はなにか
要望を伝えるということは、実は「権利の主張」によく似ています。
私にはこういう権利があるはずだ、私はこのような権利を受けてもいいはずだという考えです。
いわゆるクレーマー気質の方は、問題となりそうなことをしているとは本人が気付いてないわけです。
「それはよくないことです」と誰かが指摘する必要があるのですが、指摘してくれる方が今までまわりにいなかったか、いたとしてもあまりそのことを聞いていないわけです。
結局は自分の身を守るための範囲を決めないといけません。
要望を伝えることや、権利の主張ということ自体は悪いことではありません。
むしろお互いの成長のきっかけになったり、ビジネスの幅を広げる可能性につながったりするかもしれません。
コンサルやセラピストというのはある程度思いやりも必要になってきますが、エスカレートがすごすぎて、あの人のことを考えるだけでも嫌な思いをするということになるのはあまり良いことではありません。
「権利の主張」に相当する「義務」を果たしているか
ここで1つ言えることは、権利を主張する人は、それに相当する義務を果たしているかということです。
例えば、きちんと追加料金を払っているとか、もしくはお互いにとって、win-winになるようなことを行動で示せているとか、コーチコンサルやセラピストが出した課題をある程度こなせているかどうかです。
要望だけを言うのではなくて、自分も義務を果たさないと釣り合いが取れません。
釣り合いが取れないと、どちらかにストレスが増えてしまって、それを抱えきれなくなったときに他の人たちにも迷惑がかかるということです。
釣り合いのとれた義務を設定する
釣り合いのとれた義務がまだできていない場合、釣り合いのとれた義務を設定することで、その権利を保護できます。
権利と義務の重さがどうしても釣りあわない場合に、それでも受け入れるかどうかは、コンサルやセラピストが決めることなのです。
行政であれば全く釣り合いが取れていなかったとしても、それは税金によって賄われているので、他の人がその負担を負っていることになります。
他の人が負担を負っているから、弱者の救済システムが成立しているわけですが、民間の場合は、国から保証を得ているわけではないので、その義務を果たせない方に対して、どこまでサポートできるかというと、結局はコーチコンサルやセラピストがどこまで対応したいかというところにかかってきます。
無償であっても「ありがとう」の一言がもらえれば十分だという気持ちでいけるのかどうかをコーチコンサルやセラピストが最終的に決めるしかありません。
「自己愛型」の強い人がエスカレートする
ものすごいクレームを言ってきたり、ネットに書き込んでやるというような威圧感をかけてきたり、または「私がこうなったのはあなたのせいです」というような相手に対して罪悪感を利用するような人は、自分で分かっていてやっている人がいます。
いわゆる非常に「自己愛型」の強いクライアントというのはあらゆる手を使ってコーチコンサルやセラピストをコントロールしようとします。
あらゆる手を使ってでもコントロールしたいという欲求が高い人ほど、クレーマー気質になったり、権利と義務の釣り合いが全くとれなくなってくるわけです。
ですから、このようなことを理解した上でどこまで受け入れるのかというのはコーチコンサル、セラピストが自分で決めるしかありません。
要望を受け入れる価値観は「結果」より「プロセス」を見る
私の場合は、1つの価値観として「プロセス7、結果3」という評価方法を価値観として持っています。
つまり、結果良ければ全て良しではなく、そのプロセスも見ます。
その人がどのようなことを通じてどのようなことを目指しているのか、例えば10個のアイディアのうち、1個でも実行しているかとかいう行動やプロセスを見ると、プロセスに価値を感じられずに、一発逆転ばかり狙っている人というのは、「自己愛型の強い人」であったりします。
自己愛の強い人には義務を設定する
自己愛型が強くてあまり義務を果たしていないのに、権利の主張が目立つ場合、こちらから義務を設定します。
それが受け入れられない場合は仕方ありませんが、他をあたってもらうようにします。
国がいくらでも無料の良いサービスを提供しています。
例えば、家庭内暴力で悩んでいる奥さんや女性がいる場合は、DVシェルターなどがあります。
このシェルターは、他の人が何らかの方法でそのコストを支払っているわけです。
ボランティアかもしれませんし、国の税金によって賄われているのかもしれません。
しかし、民間の場合、誰かにそのコストを賄ってもらうことが難しい以上、結果だけでなく、プロセスに対しての評価が重要です。
義務と権利の4つ関係性
義務と権利の関連性を考えた上で4つに分けられます。
- 義務はしっかり果たしていて、権利もしっかりと主張している人
- 義務はしっかり果たしているが、権利の主張がほとんどない人
- 義務はほとんど果たしていないが、主張もほとんどしない人
- 義務を果たしていなくて、かつ権利の主張が目立つ人
この4つから考えて、自分はどういう人と関わりたいかというのはコーチコンサルやセラピストそれぞれの価値観によって違うと思います。
義務はしっかり果たしていて権利もしっかりと主張している人
私の場合は、まずは、「義務をしっかり果たしていて、権利も主張しているグループの人たち」は高い野心と行動力を持っています。
こういう人たちは方向性を決めたくてたまらない状態の人なので、しっかりと積極的に伝えます。
義務はほとんど果たしていないが主張もほとんどしない人
2番目には「権利の義務はそんなに果たせてはいないけれど、権利の主張もほとんどしていない人」。
この場合は大きく分けて2つのパターンなのですが、ゴールを見つけて、今そこに向かって突き進んでいるか、もう1つは、今変化と落胆の時期にあってすごく苦しんでいる状態かの2パターンです。
変化に落胆していてどうすればいいだろうと迷っている場合、本人は焦りや不安があるかもしれないので、「大丈夫ですか、最近どうですか」と語りかけます。
変化と落胆にかかっているのであれば、だいたいほとんどの人が3ヶ月から半年で切り抜けられます。
逆に「サポートしても駄目でした、切り抜けられませんでした」という人もいますし、「サポートしなくても切り抜けられました」という人もいます。
義務はしっかり果たしているが権利の主張がほとんどない人
権利の主張がない人たちは自立できているので、「もう大丈夫ですよ。」「しばらく自分の好きなようにやらせてください」と言える状態です。
こういう人の場合は定期的に、「大丈夫ですか。最近何かわからないことはありませんか、何かあったら言って下さい。」というサポートです。
2番と3番はすごく難しくて順序が逆になるということもいくらでもあります。
義務を果たしていなくて権利の主張が目立つ人
こういうグループの場合は申し訳ないのですが、「今は満杯の状態で、入れる隙間があまりありません。まず最低限の義務を果たしてください」としか言えません。
とにかく権利を主張する人はそれ相応の釣り合いのとれた義務を果たしているかどうかがまず判断基準になります。
権利と義務の重さが不釣り合いなのであれば、受け入れるかどうかは、誰かが決めるのではなくて、コーチコンサルやセラピストが自分で決めるしかありません。
以上「エスカレートするクライアントの要望にどこまで応えるか」について解説しました。