時代が求める商売は?飲食業界「外食から内食」へ

ビジネス

組織活性化プロデューサーの南本です。

最近外食業界の業績不振の報道がすごく多くなっています。
それに伴って消費者の考え方というか心理がすごく変わってきているなと感じます。
少子高齢化ということもあるのでしょうが、食や外食に対して求めるものがどんどん変わっているのではないかと思って今日はこういうテーマを解説します。

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「食」へのニーズの変化

まずは3つの会社の事例を紹介します。

「ほっともっと」の例

「ほっともっと」が2019年2月に赤字転落という記事がありました。
その原因がアルバイト人件費高騰、人手不足で商品開発の不発、いろいろと商品開発をして広告費を打ったのですが、それに見合う収入がなかったということです。
デパ地下やコンビニ弁当などにお客さまをものすごく取られてしまっているということです。

私もたまに「ほっともっと」のお弁当を買いに行くのですが、ものすごく待たされます。
下手すれば、20分は待たされますから、それであればコンビニ弁当を買って、自宅でチンすればもっと温かいごはんが食べられます。
味も「ほっともっと」で買ったものというのはサクサクパリパリですごく美味しいというわけでもありません。
結局お弁当が出来上がった時は温かいのですが、家に持って帰って10分、20分経ってしまうと、しなっとなっていますから、コンビニ弁当やデパ地下のお弁当の方がよっぽど美味しいという心理が生まれるわけです。
ですから、この時間を頼まれてすぐに出すような吉野家さんレベルの料理の仕組みを作らない限りは個人的にはもうお弁当屋さんは厳しいと思います。

大戸屋の例

大戸屋も大幅売上減というニュースが出ていましたが、販売と人件費高騰と人手不足のところにもってきて、大戸屋さんはバイトテロで変な写真をSNSにアップされたために、ダメになってしまいます。
また700円代のランチがあったのですが、同時期に値上げして800円ラインになってしまいました。
原価や人件費高騰でどうしても値上げせざるを得ずに、値上げしてしまったために、売り上げが大きく下がってきているということです。

いきなりステーキの例

もう1つはいきなりステーキです。

いきなりステーキは、2017年から2018年で店舗数を倍増させたそうです。
アルバイトと人手不足は変わりませんが、店舗数を2倍に増やしたので、自社競合といって自社の店舗同士でお客さまを取り合っているということになってしまいました。
それで売り上げが下がって、原材料がすごく上がってしまったために、値上げをし、いきなりステーキは安くて美味しい肉が食べられるから行っていたお客さまが、他のゆっくり食べられるお店と変わらないのならゆっくり食べられるお店で食べますという感じになってしまっています。

また、店舗が急増して、都市はもう満杯になってきたので、新鮮味がなくなってきて、地方に展開するのですが、1号店は人気が出ても、ロードサイド店で2号店、3号店となると新鮮味がなくなってしまいます。

結局同じことをやると飽きられるわけです。
急激に展開したことで、人手不足も相まって人材育成もままならぬという状態ですから、計画的に出店していかないと人手が追いつかないのはもうどこの業界も一緒です。

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外食から中食、家食へ

私の考えですが、これからは外食から中食、中食から家食という風になっていくと思います。

「来い」から「伺っておもてなし?」の時代

これから高齢化していくので、なお一層その傾向が強いのではないかと思います。
飲食、外食業は家が起点となり、「来い」から「伺っておもてなし」の時代に突入します。

今の外食は、立派な飲食店を構えて、徒歩や電車または車で「来い」というスタンスです。

おもてなしという時代に徐々に変わっています。
お客さんが求めているのも外食ではなく、中食です。
中食というのはコンビニ弁当、デパ地下、お弁当、惣菜などを指しますが、ごはんから惣菜からおかずまで全部揃うので、自宅の帰り道に買って帰って、自宅で一人で食べたり、子供に食べさせたりするというそんなシーンです。

これがもう足が動かないという高齢の人たちが増えてきたら、もう「伺う」しかありません。自分の商品を買ってもらうためには、飲食の人は、まず「伺うしかない」という発想レベルまで持っていてもいいのではないかと思います。

通常はコンビニ、デパ地下弁当・惣菜・おかずで済ませ、たまに外食する

たくさん人を入れようという発想が大概の飲食店には多いので、私が中食になってくると思っています。

外食は面倒

外食は面倒です。
基本、服装がジャージや短パンでは行けません。
子供連れの方も横のお客さんに迷惑をかけてしまうのではないか、というお母さん心理やお父さん心理があって、行きづらいのです。

車で行くお店では飲酒ができない

行き帰りにビールを飲みたいけど、運転できるのがお父さんだけだったりすると、お父さんはビールを飲めませんし、電車で行くとなると、雨が降ったら傘をささないといけないとかとてもめんどくさいです。

お店が騒がしい

それから横のお客さんがうるさいです。
食べ物は静かに、ちょっとおしゃべりしながら食べるのはいいのですが、団体客が入っているとお金を払う気がしません。
飲食業界は個室をきちんと提供できていればいいのですがなかなか提供できていません。

以上のような理由から外食というのは廃れて行くと思います。

その店でしか堪能できないこだわりのお店は流行っている

しかし、超有名シェフの作る超美味しいフランス料理やイタリアンなど、また、寿司のネタが超新鮮でもう予約が取れないような外食は今でも流行っています。
そこでしか堪能できないし、とても静かで、子ども連れなどはいないわけです。
そういった外食は伸びていきます。

しかし、大半のフランチャイズとか、大手の系列店とかは多分でおそらく減少することを予測しておかないとダメです。

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飲食のデリバリー化が進む

ですからデリバリー化が進むだろうと思います。
航空権などいろいろな権利があるので詳しくはわかりませんが、ドローンは国の方で整備し始めていますし、ドローン宅配は2、3年もすれば当たり前に飛んでいるかもしれません。

移動・出張レストラン

私が飲食の方に目をつけてほしいのは移動出張販売です。

超豪華なバスの内装を変えて、駐車場に停めておもてなしをするような本格的な移動出張レストランをやっていかないといけません。
自分の家の近くまで来てくれれば食べますし、または自分の家でプロの職人が料理をもてなしてくれれば注文するかなと思います。

飲食業で味に自信があるのであれば、外食から中食そして家食に変わっていくという変遷の中で自分の会社のビジネスモデルをどう変えていくかということを検討してください。

飲食業は異空間プロデュース業になる

飲食業は異空間プロデュース業、コーディネータ業だと私は思っています。そこでしか味わえない高級感、例えば夜景とか花火が見えるとか、そういう異空間のプロデュースを体験するために外食をしに行くのだと私は思います。
ですから、そういったことをどんどんやっていかないとこれからの飲食業は生きていけないと思います。

おひとり様の対応

そして基本はおひとり様への対応です。
4人卓をいっぱい並べている現在のスタイルではなく、4人来店したら1人席を4つ集めて4人席にするような発想を変えていかないと、今はどんどん個人化しているのでおひとり様のお客さまがターゲットになっていくと思います。
10人来たらおひとり様の席を10個並べればいいようなレイアウトを自由に組み替えられるような内装にしておけばいいですね。

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中小飲食業・外食の対応

これから中小企業事業者はどういうふうにやっていけばいいかを私なりにちょっとまとめました。

店舗系(来い)+出張系(伺う)の二刀流を模索

とはいえ、「店舗型、来い型」のビジネスもふっと立ち寄って外食する場合もあるので必要です。
そして出張系の「伺っておもてなしをする」という二刀流をビジネスの柱として考えていく時期に来ているのかなと思います。

異空間体験提供事業に変貌する

異空間体験提供事業に変貌していってもいいと思います。

家にお伺いしてと言いましたが、基本的には家には来てほしくないものです。

我が家は3LDKですが、もし息子が2人ともいなくなったら2つ部屋が空くので、その部屋に映像スクリーンをセットして、ミラノの背景があって、イタリアンの歌が流れて、イタリアンビールなどを飲ませてくれたりするととてもよくないですか。

私だけの勝手な妄想ですが、外食というのは、そもそも美味しい料理を食べたいという理想はありますが、例えばコンビニ弁当とかスーパーの冷凍食品でもそんなに味が変わらなくなってきています。
それぐらい冷凍食品の技術が上がっているわけです。

料理を提供するだけでなく、おもてなしをする

ですからあとは何を楽しみたいかというと、その時にしか飲めないワインを飲むとか、イタリア人に接客してもらってフランクにおしゃべりできるとか、超一流のシェフが解説してくれるとかそういうことにお金を払うわけです。

音楽とか映像とか料理とかのおもてなしをひとしきり自分の部屋に来てやってくれて、飲食だけではなくて、事前に掃除もしてくれて、料理もしてくれる、片付けもしてくれる、映像のプロデュースもしてくれる、音楽も流してくれるなどの全てを用意してくれて、いくらとか言われたら払いますね。

雰囲気が出ないかもしれないけど、出かけなくてもいいので、ジャージでイタリアンを食べてもいいのです。
そういった「来い」と「伺う」という二刀流で絶対していかないといけないと思います。

もう家まで入り込んでいくようなそういったビジネスモデルを究極まで考えて、たぶん異空間プロデューサーという肩書きを持った人たちが飲食業からどんどん出てくるんじゃないかなと思います。

高級感や付加価値を提供する

大手のフランチャイズ系は売り上げが両極端です。
いいところはいいのですが、人件費や材料費が高騰しているので、そうであれば、VIP層というかお金を持っている人に対して、どう高級感や付加価値の高いものを提供していくかということを考えてもいいのかなと思います。

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飲食業は「来い」から「お伺いする」ビジネスへ

「来い」というビジネスは限界にきている

今回は飲食業の話をしました。
世の中は「来い」から「お伺いする」というビジネスに変わってきています。
もう小売業も通販も含めて全部「お伺い」しています。
小売店で来いというお店はほとんどなくなっているではありませんか。
そういうことを考えると、他の業界でも応用が効きます。

「来い」と言うビジネスは限界があります。
ですから「お伺いする」というビジネスをどうやってアプローチするか、それぞれ物流などを整備するか、それともどこかに委託するのかということを真剣に考える時期が今だと私は思うのでこのテーマで解説させていただきました。

 
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南本 静志

和歌山生まれ。株式会社紀陽銀行入行。銀行業務を2年程度経験後、システム部へ異動。

システムエンジニアとして銀行オンラインシステムや情報系のマーケティングシステムの構築で活躍する。

30歳代の後半には日本ユニシスに出向し、金融機関向けCRMマーケティングシステムの業務設計のリーダーを任される。その後、コンサルタントとして独立、現在は東京千代田区で経営コンサルティング会社と社会保険労務士事務所を設立し、代表に就任。

中小企業診断士及び社員を持つ経営者としての立場で、幹部社員(部長、課長、係長等)を次期役員に昇格させるようなマネジメント系の人材育成プログラムに強みを発揮している。また、初級管理職(主任や中堅リーダー)に対するモチベーション研修や自己発見研修も得意。

アールイープロデュース 

適性検査Cubic(キュービック)

東京中央社会保険労務士事務所

東京中央給与計算センター

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