こんにちは島倉です。
ここ最近、年功序列、終身雇用制度といった日本型雇用制度が崩壊していて、さらに新しい動きが出てきているので、今回はそのことについて紹介しながら私の見解を解説していきたいと思います。
年功序列、終身雇用の崩壊
いわゆる日本型雇用として年功序列、終身雇用というものがありましたが、これはとにかく総合職として人を採用するものです。
総合職は若い人の賃金を抑えるための「なんでも屋」
日本の企業で総合職というのは「なんでも屋」です。
とにかく総合職として雇って、ジョブローテーションをしながら適性を植え付ける。空いているところに配置していくという方法です。
このやり方は採用ともかかわってくるわけですが、当社で働けば年を取るたびに給料を上げます、そして定年まで働けます、ということです。若い時に賃金を抑えながら人を雇って、その代わり最後は退職金でお返しするといった制度が日本型雇用制度としてあったわけです。
年功序列、終身雇用に変わる新しい採用
しかしこの年功序列が崩れ、終身雇用が崩れた今、当然変化が見られるわけです。
若くても成果に見合う報酬を支払う
1つはファーストリテイリングが、入社して3年後は子会社の幹部として採用し、特に海外勤務になれば3000万円出しますという採用をしています。
くら寿司は今、台湾や北米にまで進出しているので幹部社員に1,000万円、そしてソニーが人工知能の専門家を集めるということで新卒で730万円払うという募集をしています。
ソニーが人工知能の専門家に730万円というのは、国際基準からすると安すぎて、これを見てダメだなと思ったのですが、要は新卒で他の社員の給与を超えてしまうと嫉妬が出るので、新卒で730万円以上は出せないのかなという感じです。
しかし、人工知能の専門家であれば、もっと高い給与を出す企業がありますから、多分これもうまくいかないのではないかと思います。
総合職雇用からジョブ型雇用へ
くら寿司やファーストリテイリングでこれだけ給与を出す採用募集をしているわけですが、これは今までの日本型の総合職の募集に代わり、ジョブ型雇用と言いいます。海外の企業では当たり前の方法です。
空いているポストにこういう能力の人を求めます、という採用募集を出すという感じです。
欲しい人材に対して募集をかけているわけですから、もう海外のように日本もジョブ型雇用に変わってきたということです。
ですから年功序列、終身雇用が崩れるということは採用も大きく変わるということなのです。
大学・大学院時代に専門性を高めれば高給を得られる
本当に大学、大学院時代に専門性を高めれば、自分が本当にやりたい専門性を活かしながら高給を新卒の段階で得ることができると言ういい時代になったのではないかと思います。
日本型企業というのはもうフラットな組織になっていくわけです。
今までは終身雇用と年功序列のためにポストを作らなければいけなかったので、ピラミッド型と言っていましたが、最近ではフラット型とか、鍋蓋型と言うように、今後は一部の幹部と専門家だけを雇って、あとはほとんど社員がいないような組織を目指していくと思われます。
つまり、今までは大学または大学院を出たら、総合職として、年功序列で終身雇用を守らないといけないという流れでしたが、これからは卒業したら、ジョブ型で初任給が非常に高い状態、いわゆる専門性を重視した採用になるということです。
ジョブ型採用で非正規社員が増える
ジョブ型の専門性を重視した採用の形では、おそらくほとんどの採用が非正規社員になると思います。
ほとんどの正社員がどんどん非正規になっていき、大学や大学院を出たら正社員になれると思うのは大間違いだということです。
80%は非正規になるというふうに予想されます。
ジョブ型とはそういうことなのです。
専門性がない人とか、すぐに価価値を生み出せるような人間じゃなければいらないというのは今後のトレンドになるわけです。
大学・大学院の過ごし方が大事になる
ですから、いかにこの大学、大学院を有効に過ごすかということが大事になってきます。
偏差値50以下の低い大学に入って、総合職を狙うというのはもう夢物語です。
高卒で営業職になるか、外国語や専門性を極める
ただ無理して大学へ行くよりも、最初から価値を出すのは営業職ですし、営業職は別に大卒の資格などいらないので、高卒でいち早く営業職になることも重要です。
または公務員になるか、本当にいい大学の理科系に入って専門性を磨くとか、その他には例えば英語や中国語、ベトナム語やタイ語といった外国語を極めるなど、今海外進出している地域の言語をいち早く習得するようなことをにらんで勉強していく必要があるということです。
ですから、これからは大学に入って、総合職なり、それぞれの会社に入れる時代はもう完全に終わったと思います。
ほとんどが非正規になるということは大学、大学院に行ってもそれなりに覚悟していなければいけません。
偏差値の低い大学に無理やり入る方がおかしくて、大学生活をのんびりする期間だと構えていたらダメだということです。
就活が変わる
就活に関しては、そうは言っても厳しいという見方があるかもしれません。
ロスジェネ世代でいえば50%が非正規ですから、そういうことを考えるとそんなに厳しい条件でもないわけです。
これが定着してきているわけですから、もう1回大学や大学院で専門性を磨いて、専門性を活かして働ける道を目指すのか、または適当にやって非正規という道を選ぶのか、そういった選択の時代になっていくのかなと思います。
新卒でも大学での専門性が生かして夢を実現できる
しかし、新卒の人には非常に夢があると思います。
初年度から年収1000万円が得られるわけですし、今までは大学でやってきたことが生かせないということは当たり前だったのですが、これからはそれが生かせる時代になってきたということです。
その専門性にもよりますが、大学に進学予定されている方、またそういったお子さんを持っている親御さんたちはただ大学や大学院に行けばいいというものではないということを理解していただいた方がいいと思います。
終身雇用の崩壊でシステムが変わる
終身雇用が変わるということはシステム全体が変わったことです。
日本型のシステムから変わるということで、一つ一つのパーツが連動しているわけですから、採用の部分もついに変わっていくということです。
システムの変化に合わせて大学で学ぶ
こうやって年功序列、終身雇用が変わるということは、今働いている人だけではなく、これから働く人のシステムも大きく変わっていくということですから、こういった流れをにらんで大学、大学院で学んでいただきたいと思いますし、親は子どもに対してそういった指導をしていただきたいと思います。