2015年7月に上海で起きた株価暴落と、それに対応するため8月に行われた3回に及ぶ中国人民元の切り下げ措置は、世界に大きなニュースとして報道されました。11月の中国貿易統計によると、輸入は前年同期比-6.8%、輸出は-8.7%と足元の経済減速は未だ悪化の一途を辿っています。これ以上に注意しなければならないのが、中国不動産市場の急速な悪化です。
日本企業を直撃したチャイナショックから半年
2015年7月に上海で起きた株価暴落と、それに対応するため8月に行われた3回に及ぶ中国人民元の切り下げ措置は、世界に大きなニュースとして報道されました。
いわゆるチャイナショックです。
中国で起きた信用収縮は、日本企業をも巻き添えにしました。
4月には売上の約70%を中国に依存していた江守グループホールディングス(化学品、合成樹脂、電磁材料関連の商社)が、約711億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請することになりました。
更に9月には第一中央汽船が約1,196億円の負債を抱えて、民事再生法の適用を申請しました。石炭や鉄鉱石を輸送するばら積み船やコンテナ船は中国経済に依存しており、中国の景気減速と共に同社の業績も急速に悪化しました。負債総額は前年の199億2,200万円から10倍増という驚愕の数字となってしまったのです。
チャイナショック後も中国経済の減速止まらず
これらのニュースからしばらくの時間が経過しましたが、中国経済は現在どうなっているのでしょうか?
11月の中国貿易統計によると、輸入は前年同期比-6.8%、輸出は-8.7%と足元の経済減速は未だ悪化の一途を辿っています。
12月の日銀短観でも、「大企業・製造業」の業況判断指数(DI)が前回9月調査から横ばいとなる一方、3か月後の見通しは大幅な悪化が避けられないとし、その要因として「中国向けの輸出減速」を提示しています。
東京商工リサーチの調査によると、2015年1-11月における「チャイナリスク」を要因とする倒産累計件数は67件となり前年同期の45件から約5割(48.8%)増加した。
特にチャイナリスクは、アパレル関連の業種を直撃しており、これらアパレル関連業種での倒産件数は合計28件、実に全体の4割(41.7%)を超えています。
中国の不動産は2億人分の不良在庫を抱える
急速な信用収縮が日本の実体経済へ与えた影響は計り知れないものがありますが、これ以上に注意しなければならないのが、中国不動産市場の急速な悪化です。
中国国家統計局が12月に発表した11月の主要経済指標によると、今年1〜11月の不動産開発投資は前年同期比1・3%増となりましたが、この伸び率は1〜10月の2.0%から大幅に縮小した数字です。
なおかつ分譲住宅の15年末における在庫面積は、約7億㎡弱に及ぶと言われており、中国メディアの「騰訊」は、これを「2億人分の住宅供給をまかなう不良在庫」に相当すると指摘しています。
日本も1987年のブラックマンデーによる株価の大幅下落を経験後、不動産価格が下落し、「失われた20年」と言われるデフレの時代を過ごさざるを得ませんでした。
不動産が売れなければ不動産ディベロッパーは資金を回収できず、経営状況も悪化することになります。
中国がくしゃみをすれば日本はインフルエンザにかかるという外部要因を、私達は引き続き認識する必要がありそうです。
画像:See-ming Lee