事業主が直近で対応すべき課題に、「ストレスチェック」があります。12月1日より50人以上の従業員がいる事業主は、「ストレスチェック」を実施しなければなりません。そこでよくある疑問をQ&A形式でまとめました。この制度は決してメンタルダウンしている社員が在籍する企業を罰するものではなく、企業の組織的なメンタルヘルス対応を促すものであることがわかります。
年末からいよいよ実施・ストレスチェック
マイナンバーとともに、今事業主が対応すべき課題に、「ストレスチェック」があります。
12月1日より、改正労働安全衛生法が実施され、50人以上の従業員がいる事業主は、「ストレスチェック」を実施しなければならないことになっているからです。
ところがこの制度、国の説明もわかりにくく、「具体的に、どうしたらいいの?」というご質問が、非常に多いです。
そこで本日は、ストレスチェック制度によくある疑問にQ&A方式で答えていきたいと思います。
ストレスチェック制度関係 よくあるQ&A
Q1:ストレスチェックおよび面接指導の費用は誰が負担する?
法令で企業にストレスチェックおよび面接指導の実施の義務を課していることから、企業が負担すべきであると考えられています。
Q2:ストレスチェックや面接指導を実施している時間の賃金支払は?
労使で協議して決めることになっています。しかしこれも、企業にとって従業員の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、賃金を支払うことが望ましい、とされています。
Q3:「かかりつけ医」での受検は有効?
企業には、法令で定期健康診断の実施が義務づけられていますが、健康診断は企業が指定した医療機関とは別に、従業員本人が希望するかかりつけ医での受診が認められています。
しかし、ストレスチェックについては、企業が指定した実施者において実施することが必要とされており、従業員本人が希望するかかりつけ医で受検したとしても、ストレスチェックを受けたことにはなりません。
Q4:受検しない従業員への対応はどうなるの?
ストレスチェックは、企業にその実施が義務づけられている一方で、従業員には受検義務はありません。そのため、従業員に強制的に受検させることはできず、また受検しないことで懲戒処分を行うこともできないとされています。
ただし企業としては、従業員が健康で安全な環境で働くことができるようにする安全配慮義務を負っていることから、従業員に受検するよう促すことが求められています。
どの程度の勧奨を行うかは企業の状況によって異なるため、その方法、頻度などについては衛生委員会等で調査審議して決めることで問題ないとしています。
Q5:労働基準監督署への報告は必ず必要?
ストレスチェックは実施後、労働基準監督署への報告をすることになっています。これは、ストレスチェック実施後、面接指導の対象者として選定された従業員が面接指導を希望しなかった場合であっても、必要です。
なお、50人未満の事業場でストレスチェックを実施した場合にはこの報告義務はありません。
Q6:負担を補助する助成金は企業におりる?
上記のとおり、50人未満の事業所には、義務はありませんが、ストレスチェックを実施する場合は助成金があります。
企業の自発的なメンタルチェックを後押し
そもそも、制度導入に背景には、メンタルダウンする労働者が多数に上る、ということがあります。
つまり、社員のメンタルヘルスを気遣うことについて、企業に組織的な対応を促すことが制度趣旨であり、「誰がメンタルに問題を抱えているか」というようなことを調査するものではありません。
50人未満の事業所で実施する場合は、Q&Aでもお伝えしましたが「ストレスチェック」実施促進のための助成金が使える場合もあります。
メンタルダウンする人が多くなっているのも事実ですから、積極的に対応し、未然に予防する措置が必要でしょう。