9月11日に、安倍首相が経済財政諮問会議で日本の携帯電話の料金が高すぎると発言して、大手通信会社の株価が軒並み下落しました。政府による携帯電話各社への値下げ要請が一気に始まった背景には、海外と比較して割高な日本の携帯料金や、家計の可処分所得を増やそうとする内閣の目論見など様々な要因が絡んでいるようです。通信手段も多様化した今、格安SIMへの変更なども一考の余地があります。
安倍発言でソフトバンクの時価総額が1兆萎む
9月11日に、安倍首相が経済財政諮問会議で日本の携帯電話の料金が高すぎると発言して、大手通信会社の株価が軒並み下落しました。
例えばソフトバンクの時価総額は9月11日時点で7.8兆円程度であったのに対して、9月29日には6.4兆程度と萎み、わずか半月で時価総額が1兆円以上吹き飛んだ計算になります。
安倍総理の発言に呼応するように総務省も、携帯電話料金の低廉化を検討する「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の第1回会合を10月19日に開催することが決定しています。
一気に始まった政府による携帯電話各社への値下げ要請。はたして日本の携帯料金はそれほど高いのでしょうか?
シンガポール携帯料金は日本の半分程度で済む
私が現在シンガポールで契約している「Singtel」に支払ってる通信料金は月額で概ね35ドル(3,000円前後)です。この金額は私が日本で支払っていた料金の半額以下になります。
シンガポールではwifiが至る所で利用できるため、電話会社のデータ通信をあまり使うことがないという事情を考慮したとしても、やはり日本の通信料金は高いと思います。
それでは日本の携帯料金はなぜこれほど高いのでしょうか?
日本の通信料金が高止まりしている要因のひとつに、長年、モバイル端末にSIMロックが掛けられてきたことが挙げられます。
端末を購入しても、「SIMロック」のせいで他の通信会社のSIMカードを使うことができないため、通信料金が多少高くても、他のMVNO(※1)と呼ばれる格安通信事業者を利用することができなかったからです。
日本以外の国でSIMロックを認めてきた国はあまりないと思いますので、日本で最近になってやっとSIMロックが解除されたこと自体が、政府による大手通信会社の保護と見られても仕方がないと思います。
因みに、ソフトバンク・KDDI・NTTドコモの2015年3月期の営業利益はそれぞれ、9,827億円・7,412億円・6,390億円となっており、かなりの利益を上げています。
安倍首相がいう「日本の携帯料金は高すぎる」という指摘は、あながち間違いではないでしょう。
しかも、通信費は家計の支出に占める割合が大きいため、これを抑えることが出来れば、家計改善効果が大きく、可処分所得を増やすことが可能になります。
おそらく、保険の見直しと同様の家計改善効果が期待できると思います。
これを機に格安SIMへ変更検討で節約効果も
今やコミュニケーションの手段は、これまでの、電話やメールから、LINEやSkypeなどに移ってきています。
これまでのように電話番号やメールアドレスを変更することへの抵抗感も少なくなってきているように思います。
日本でもやっとSIMフリーの端末が買えるようになりましたので、この際、格安SIMへの変更を検討してみてもいいのかもしれません。年間で見ればかなりの効果が見込めると思います。
注釈※1
Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略。携帯電話などの無線通信インフラを自社で持たずに、他社のインフラを借りて音声通信やデータ通信のサービスを提供する事業者のことをいう。