インターネット黎明期のネットショップは、卸から商品を仕入れて小売するという事業モデルが多かったですが、それから20年近くなった今では家具通販ロウヤのようにヨコ展開・PB開発を進める潮流が出来上がりつつあります。これからのネットショップ運営に求められる能力は、独自ブロジェクトを推進する『発注スキル』、『コーディネイト力』そして『プロデュース力』です。
家具通販のロウヤはヨコ展開で成功している
『家具通販のロウヤなどを運営するベガコーポレーション(本社福岡県、浮城智和社長)の15年3月期の売上高は前期比20・8%増の58億円だった。家具だけでなく、雑貨や家電など生活に関わる商品も販売して事業を拡大している。15年4月には福岡市が進める起業家支援事業にも協賛するなど、成長企業としての存在感が高まっている』(2015/07/24 日本ネット経済新聞)
ベガコーポレーションが運営する家具通販のロウヤというのは非常にユニークな名前で、私のクライアント企業の競合調査の際に何度か見かけていましたが、数年以内にマザーズ上場を目指しているそうです。
このニュースのポイントは家具通販のロウヤは創業時にはインテリア、家具に特化していたがその後・・・
- (1)付随した雑貨や家電などを強化
- (2)冬に家で着る毛布、冷却式のマットレスが売れている
- (3)今期は、ランドセルの販売もスタート
- (4)デザイン性と価格を訴求したオリジナル家電を、「ボルツ」というブランドで展開しコードレスクリーナーなどは毎月1000台近く販売している
- (5)今後は高価格帯の商品の投入も検討している
- (6)デザインの流行などに売れ行きは左右されず、「この商品がこの値段」と納得してもらえる商品が売れ筋となっている
と伝えられています。
プライベートブランドを作れるかが勝負の鍵
インターネットが始まったばかりの1997年当時は、卸から商品を仕入れてそれをネットショップで小売するという事業モデルが多かったですが、それから20年近くなった今ではベガコーポレーションのように、
- ・最初の商材の購入してくれた顧客が次に何を求めているかを予測して取り扱いジャンルを増やす横展開
- ・卸やメーカーから商材を仕入れるのではなく、独自ブランド、プライベートブランドを拡大
- ・商品の差別化が難しくなってきた商材はデザイン性と単に安いというのではなく、この価値がこの値段で買えるという値ごろ感のあるものに変えていく
- ・低単価の商品ではアマゾンや楽天などにはかなわないので高価格帯の商品の投入をする
というような工夫が求められるようになってきています。
しかし、これらのやり方こそ、大手流通のセブンイレブンがプライベートブランド“セブンプレミアム”の開発により、成功を収めてきたやり方そのものでもあります。
『セブンプレミアムの売上高8000億円(前期に比べ1300億円増)を含め、グループ各社のオリジナル商品売上高合計は2兆6620億円(2620億円増)で計画している。』(2014年04月03日 流通ニュース)とも言われており、もはやプライベートブランドこそが売上・利益アップ達成の正攻法になりつつあります。
今後のネット販売はこうした高度な戦略、戦術が益々要求されるはずです。
家具通販のロウヤ、セブングループなどから学べることはたくさんあります。
現在の業績が良い企業は将来のために、業績が以前に比べて落ちている企業は業績回復のために、プライベートブランドの開発、販売を検討してみてはどうでしょうか?
最初から上手く行くことは少ないはずです。しかし、1つのアクションを起こさなくては次の答えは出てきません。
最初の行動を起こして次の答えを見つけ、その先に見えてくるものがまた次のヒントを掴むための方角を教えてくれるはずです。
幸いなことにネットの発展により、今では信じられないくらい安い料金で色々な業務を発注できる「クラウドソーシング」や、海外の工場に発注するためのサポートをするアリババのようなポータルサイトもあります。
ネット販売でこれから求められるスキルとは
それではこれからの時代で、ネット販売をするために企業が求められるのはどんな能力でしょうか?
今求められるスキルは、異なった才能や設備を持つ様々な企業や個人という点と点を線で結んで、独自ブロジェクトを推進する『発注スキル』、『コーディネイト力』そして『プロデュース力』です。
1つ1つは何の変哲も無い従来からあるものでも、組み合わせにより全く新しい価値を作り上げることも可能です。
これら3つの力を養う手助けをしてくれるのが、インターネットのもう一つの魅力です。
サイトのリンク対策競争の時代は終わりましたが、これからは企業と企業のリンク対策の時代なのではないでしょうか?