接客の7割をロボットが務める、その名も「変なホテル」が、長崎県佐世保市・ハウステンボス(HIS子会社)で7月17日に開業した。日本初であることはもちろん世界でも例を見ない、このユニークな取り組みが目指しているのは「生産効率の向上」である。コスト削減とエコをロボットの利用により実現する未来のホテルに注目が集まる。
ハウステンボスに突如出現した変なホテル
接客の7割をロボットが務める、その名も「変なホテル」が、長崎県佐世保市・ハウステンボス(HIS子会社)で7月17日に開業した。
入り口でコンシェルジュとして宿泊客を迎えるのは、なんと受付嬢の女性型ロボットと蝶ネクタイをつけた恐竜型ロボットら3体である。
受付嬢の女性型ロボット
蝶ネクタイをつけた恐竜型ロボット
これら二体のコンシェルジュロボットは、日本語はもちろん英語で対応することもでき、海外から来た宿泊客にも対応することが可能だ。
部屋まで荷物を運んでくれるポーターも運搬用ロボットが対応し、有料ロッカーへのスーツケース保管業務もクローク係のロボットが全自動で行ってくれる。
部屋でのコンシェルジュは、ハウステンボスのメインキャラクター“ちゅーりーちゃん”が務め、目覚ましや天気予報をお届けしてくれる。
といった具合に、変なホテルでは全ての業務をロボットが行ってくれるのだ。
ロボットが節約と生産性向上をホテルで実現
日本初であることはもちろん世界でも例を見ない、このユニークな取り組みが目指しているのは「生産効率の向上」である。
ハウステンボスは、1992年に「環境未来都市」を目指し開業したが、園内には水や電力、ゴミのリサイクルシステムなどを完備し、現在に至るまで自然の生態系を守るための挑戦を続けてきた。
同ホテルでも電力コスト削減・資源のムダ削減を削減するため、室内に冷蔵庫は無く、アメニティーも必要最低限の備え付けしかされていない。
先述のロボットも顧客対応の作業効率化を図るために導入されたものであり、72室のオペレーションをマネジメントする「本物の人間」従業員はわずか10人ほどしかいない。
驚くことに室内にはエアコンがなく、代わりに「輻射パネル」という装置が設置されている。
輻射パネルは熱が暖かいところから冷たい所へ移動する特性を生かして作られており、室内を一年中快適な環境に保つ。
従来概念を変化させる意味でも「変なホテル」
ロボットを利用した業務の効率化と、人の手をできるだけ省くことによる徹底的なコスト削減を行ったことで、ホテルは9,000円〜(1泊)泊まることが可能だ。
現在の予約方法は入札形式で、1人1,000円から入札が可能で一番高値をつけた人が宿泊予約できる形式としている。
来年にはもう一棟が新築される予定であるため、更に新しいロボットを利用したホテル展開が見込まれている。
「変なホテル」の「変」という言葉には、日本の将来を見据えてビジネスの生産性をあげ、「変化」することを恐れないHISの姿勢が現れていると言える。