ウェブショップを運営する際は法に抵触せず、自社商品の独自性やこだわりを伝えたいものですが、商品の良さを強調しようと考えると、つい表現がオーバーになってしまったりするものです。景表法に関する規定は年々細分化され厳しくなっています。広告法務のプロが簡単なクイズを通じて、特定の通販広告で起きた表記の問題点を解説してくれます。
ネットで見つけた黄色信号の通販広告
読者の皆様の中でも、インターネットのウェブショップや実店舗を運営し、何らかの商品・サービスを販売されている方は多いことでしょう。
商品の良さやお得感を強調しようと考えると、つい表現がオーバーになってしまったりするものです。マスコミを賑わした楽天市場の二重価格表示問題も記憶に新しいところです。
誇大広告を規制する景品表示法、特定商取引法をはじめとする法律では、監視が年々厳しくなっています。
法に抵触せず、自社商品の魅力を伝えるために、私がネットで見つけた、消費者トラブル・法律違反のおそれのある通販広告をクイズ形式で解説します。
皆さんも、ぜひご一緒に考えてみて下さい。
【問題】今人気の「わけあり商品」の広告表示です。表示の問題点と改善策を考えてみましょう。
1)食品
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ミネラルウォ-タ 500ml × 24本入
(わけありポイント)
通常よりも安い仕入で手に入ったのでこの金額でのご提供です!
わけあり価格:1200円
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2)衣料品
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花柄フリルワンピース
(わけありコメント)
この商品は【アウトレット】品です。
在庫がなくなり次第販売終了となりますので、予めご了承ください。
わけあり価格:3900円
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安さを強調するならば根拠となる事例表示
【解説】
黄文字が問題箇所です。
1)食品
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ミネラルウォ-タ 500ml × 24本入
(わけありポイント)
通常よりも安い仕入で手に入ったのでこの金額でのご提供です!
わけあり価格:1200円
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「通常よりも安い仕入れで入ったのでこの金額」と安さを強調されても、「わけあり価格」と比較できる価格が記載されていない場合、どの程度安いのか、消費者は判断できません。
「わけあり価格」と併せて、「通常価格」や「メーカー希望小売価格」など比較できる価格を正しく併記するとよいでしょう。
※販売価格の安さを強調するため、自社の販売価格に、それよりも高い「比較対照価格」を併記するのが、二重価格表示です。
比較対照価格に用いる商品や内容、表示が不適切な場合、景品表示法、特定商取引法上、不当表示とみなされますので注意が必要です。
文末の【価格表示に関する参考サイト】もご参考ください。
2)衣料品
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花柄フリルワンピース
(わけありコメント)
この商品は【アウトレット】品です。
在庫がなくなり次第販売終了となりますので、予めご了承ください。
わけあり価格:3900円
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「この商品は【アウトレット】品です」とだけの記載では、「型落ち品」「規格外商品(B級品)」「傷や汚れがある」など、安さの理由が分かりません。消費者は安さの理由やその程度を考慮した上で、購入の判断をします。
「アウトレット品」である具体的な理由を明記するとよいでしょう。なお、「在庫がなくなり次第販売終了」の場合は、販売数量や販売残数なども併せて記載してあると親切です。
「ネット通販NG広告クイズ」いかがでしたか。
意外に自分も似通った表現をしていた!と感じることはなかったでしょうか?
ぜひ今後の通販サイト広告表示に、今回のクイズを参考にしていただければと思います。
【価格表示に関する参考サイト】