12月1日から始まるストレスチェックの義務化まで、残り約8か月となった。インターワイヤードのリサーチによると、「仕事が原因でストレスを感じているか」という問いかけに対し、中間管理職が圧倒的な割合で「はい」と答えた。経営者のビジョンを実行するプレイヤー達を束ねるコーディネーター、中間管理職のためにストレスチェック対策を行う必要がある。
心の病は国民病 ストレスチェック今年施行
12月1日から始まるストレスチェックの義務化まで、残り約8か月となった。
メンタル系の精神疾患に悩む人が急増しているため、50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を設置し、最低でも年に1回のストレス診断の実施が求められている。
今クールから始まった日本テレビ系ドラマ「Dr.倫太郎」は、堺雅人演じる敏腕精神科医が主人公となり、心病む人々を救うヒューマンドラマだが、第1回放送の冒頭では、総理大臣が専用車内で診察を受けるというシーンもあった。
これは大げさな表現ではない。
心の病は今や、国民問題にまで発展しているのが現状だ。
職場で一番ストレスの自覚がある中間管理職
リサーチサイトを運営するインターワイヤードは、「ストレスチェックに関するアンケート」と題する調査を行った。
「仕事が原因でストレスを感じているか」という問いかけに対し「はい」と回答した割合は、役職別に以下のとおりとなった。
- 経営者:42%
- 部長:40%
- 課長:58%
- 係長:70%
- 主任:66%
- 役職なし:47%
調査の結果、経営者や部長といった経営陣よりも、中間管理職の係長や主任、課長がストレスの自覚症状が高いことがわかった。
また係長、主任、課長の回答のうち、「かなりストレスを強く感じている」と答えている割合は、係長37%、課長24%、主任26%にも到達した。
ストレスチェック制度の認知度については、約半数が「知らなかった」と回答しており、同じく半数以上が「受けたい、受けても良い」と回答している。
反対に「ストレスチェックを受けたくない」と回答した人も中にはいる。理由として「相談した内容が人に知られてしまうかもしれない」「結果が悪かったときの処遇が不安」という意見が多かった。
経営陣の決めた会社方針に合わせ、一般社員を動かすコーディネーターとしての役割と、数字にも責任を持たなければならない立場が、中間管理職に重度のストレスを与えている状態が浮き彫りとなっている。
社長が車体なら中間管理職は会社のエンジン
企業における各役職の役割を自動車に例えると、会社のビジョンを描く社長や役員が車体なら、中間管理職はそのビジョンを実現させるために動くエンジンである。
幾ら見た目が良い自動車でも、エンジンがボロボロでは走ることができず、よっぽど希少性の高いフォルムを持つ車体でなければ、観賞価値もないため、いずれはスクラップと化す。
同じことが会社に対しても言え、中間管理職が経営者のビジョンを反映し、ストレスを物ともせずイキイキとしている会社は強く、中間管理職が疲弊している会社は往々にしてショックに弱い。
企業は中間管理職の社員向けに、早急なストレスチェック対策を行うべきだ。
以下、今から取れる対策を提示する。
1) 産業医を見直す
社員のメンタルヘルスケアを専門とする精神科医(産業医)を選任する。
2) 就業規則を改定する
長期休業となる社員の扱いを明確にしておくために休職制度の内容をもう一度見直す。
3) ラインケア体制を作る
経営者と役員が精神障害を持った人間に対する対応方法を学習しておく。
4) 専門家に相談する
社労士、弁護士、メンタルヘルスケア対策を専門とする企業などから、広く情報を収集し、自社に最適な運用体制を整える。
5) 中間管理職の適正があるか見極める
中間管理職がストレスを感じる理由の多くは、多くの場合当事者が中間管理職に適していないからだ。もし極限の状態に当事者が達していると感じている場合、降格処分だとしても適材適所な部署や役割へ異動させることも1つの手段だ。
6)中間管理職の価値を認め賞賛する
バリバリ働く係長や課長へ、ときどきで良いのでねぎらいの言葉をかけてみるのはいかがだろうか。難しい立場で立ち振る舞う彼らの功績は、賞賛するに値する。
ストレスチェックで中間管理職が引っかかり、会社から強制退場させられる前に、きちんとしたケアを行おうことが節約につながる。