鳥貴族が鳥二郎を提訴する不正競争防止法とは?

労務

 自社のロゴや内装などを真似したとして、焼き鳥チェーン店大手の「鳥貴族」が株式会社秀インターワンが運営する「鳥二郎」を訴えた。ブランドである店名ロゴの商標登録をしておらず、それを他社に真似されたことが事態を複雑化させている。鳥貴族は不正競争防止法による訴えを起こして、鳥二郎を排除すると思われる。不正競争と認められる要件をおさらいしよう。

スポンサーリンク

節操ない鳥二郎 責めるには法的壁あり

 「節操がない」という言葉には「信念がない、一貫していない」という意味がある。

 この言葉を表しているかのような事件が今話題となっている。

 自社のロゴや内装などを真似したとして、焼き鳥チェーン店大手の「鳥貴族」が株式会社秀インターワンが運営する「鳥二郎」を訴えたのだ。

 具体的に鳥貴族が鳥次郎に停止するよう訴えているのは、

  • 焼鳥ネーミング:鳥貴族「ジャンボ焼鳥」鳥二郎「じゃんぼ焼鳥」
  • ビールメニュー名:鳥貴族「うぬぼれ生」鳥二郎「プライド生」

 といった表記内容である。

 また、大阪の一部店舗では、鳥貴族が入居しているビルに、あとから看板が並ぶのを意図したかのように鳥二郎が出店している。

 しかし鳥貴族には悩ましい問題がある。「商標登録」の件だ。

 ”鶏をかたどったロゴマーク”を含む店名について、鳥二郎は昨年9月に商標登録が完了している。

 一方で、鳥貴族はそれから遅れて昨年12月に商標登録を行った。店名だけを登録した鳥二郎に対し、鳥貴族は店名以外にも”鶏をかたどったロゴマーク”自体も別途登録を行っている。

 店の顔、ブランドである店名ロゴの商標登録をしておらず、それを他社に真似されたことが事態を複雑化させている。

スポンサーリンク

不正競争防止法とは?鳥貴族は守られる?

 ロゴや商品を、万が一商標登録していなかったとしても、自社の権利を守る法律があるのはご存じだろうか。「不正競争防止法」である。

 不正競争防止法を一言で説明すると、まねしたり、嫌がらせしたり、情報を隠したりズルして商売したらいけないよ、正々堂々やんなさい、というもの。

 もう少し詳細をご説明しよう。
 
 どんな事象が不正競争と認定されるかというと、今回関連している点では2点ある。

1)「周知表示混同惹起行為」

 「周知表示混同惹起行為」とは、需要者の間に広く認識されている他人の商品等表示と同一または類似の商品等表示を使用し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為である。例えば、一般的に「マックバーガー」と言う言葉は「マクドナルドのハンバーガー」と幅広く認識されている。もし個人が営業するハンバーガーショップが商標登録されていない「マックバーガー」という名前で商品をを販売したとすれば、マクドナルドは不正競争防止法で相手方を訴えることが可能だ。(ちなみに「マックバーガー」はマクドナルドにより商標登録済み。)

2)「著名表示冒用行為」

 「著名表示冒用行為」とは、他人の著名な商品等表示と同一または類似のものを自己の商品等表示として使用する行為である。過去の判例では、「シャネル」という名前で飲食店を経営した行為が、不正競争防止法を根拠に差し止められた。「フリーライダー(ブランド価値へのタダ乗り/便乗)」を排除する判断基準と言える。

 今回の一件も上記2つの基準で不正競争か否か判断される可能性が高い。

スポンサーリンク

どんなに小さなブランドでも商標権は取ろう

 一度自社が作り上げたビジネスモデルが成功すると、周囲には必ず真似をするライバルが現れる。 

 商標登録を怠って、万が一にも既に別の会社が、商標を横取りし事業を展開すると、逆に自社が損害請求を起こされる可能性もある。

 転ばぬ先の杖、ではないが、会社やブランドを立ち上げたら、どんなに売上規模が小さくても一番最初に行うべきことは、商標を取ることである。

労務
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
編集部

起業、経営を応援するWEBマガジン編集部です。

編集部をフォローする
節約社長