本来秋口にかけて流行を拡大させる伝染性紅斑(りんご病)流行に収まる気配は未だない。東京都内では定点医療機関あたりの患者数が、例年が0.1人から0.4人程度であるのに対して、今年は先週(5月25日週)の時点でも1.1人に到達している。発症した場合どのような症状が出るか確認し、同時に万全の対策も立てる必要がある。妊婦のいる家族は特に気をつけよう。
東京都内の伝染性紅斑流行が止まらない
東京都内の伝染性紅斑(りんご病)流行に収まる気配は未だない。
定点医療機関あたりの患者数は、例年が0.1人から0.4人程度であるのに対して、今年は先週(5月25日週)の時点でも1.1人に到達している。
伝染性紅斑の流行状況(東京都感染症情報センター)
また地域別に見ると多摩地方(三鷹市、武蔵野市、調布市、府中市など)では患者が集中し、1.8人~2.0人と群を抜いて発症率が高い状態だ。
伝染性紅斑は本来秋口から冬にかけて流行を拡大させる病気のため、更なる流行に注意が必要だ。
伝染性紅斑の症状は辛く対策が立てにくい
伝染性紅斑とは、頬が赤くなることから、別名りんご病とも呼ばれている。ヒトパルボウイルスB19感染が原因で、10~20日ほどの潜伏期間の後に発症する。
大人がりんご病に感染すると、以下のような症状が現れる。
- 1)最初に38℃以上の高熱となり、めまいと吐き気やだるさに襲われる
- 2)3日程で平熱に下がるが、しばらく強いだるさを感じる
- 3)だるさの後に、頬の赤みや腕・太ももへ帯状の湿疹が現れる
- 4)強い関節の痛みが生じ、手足がむくむ
成人の半数はりんご病に対する耐性が出来ているとは言え、ワクチンがまだ無いため、辛い症状が出てからでは対策の打ち様がない。
最初の発熱から特徴的な症状が現れるまで、一週間以上かかるため、隔離による伝染予防も困難なのが現状だ。
また女性のうち特に妊婦がりんご病に感染し、胎児の異常(胎児水腫)や流産が起こりやすくなってしまう。
妊婦のいる家庭では、母親だけではなく父親も感染しないように万全の対策を取る必要がある。
過度に発症恐れる必要ないが万全の対策を
では伝染性紅斑(りんご病)に罹らない為にはどうすれば良いのか?
伝染性紅斑は、潜伏期間中にウイルスを飛沫感染によって拡散してしまう感染症である。伝染性紅斑は感染力が弱い為、短期間で大流行するような感染症ではない。
特異的な治療方法はないが、基礎疾患がない患者は、一般的に治った後は問題ない。関節が痛い場合には鎮痛薬が必要となる。
もし心当たりがある場合は、病院で病原体診断や血清学的診断をする方がよさそうだ。
伝染経路は、経気道的な飛沫感染である為、電車の中や、人が多い所へ行く時などは、マスクをするなどをお勧めする。