グロースハックとは、ユーザーの動向を客観的に分析し改善策をスピーディに実行し、より多くのユーザー獲得や収益向上を成功させ、企業の成長が加速度的に進むことを示す概念である。日本テレビ「さまーずのちょっとだけ変えてみよう」は、いつもの常識を少し変えるだけで、物事をうまく進めるグロースハックの考え方を鍛えることが可能な番組だ。
さまーずのスポット番組に多くの学びあり
「さまーずのちょっとだけ変えてみよう」という番組が3月31日(火)に、日テレで放映された。
以前深夜枠で何度か放送されており、ゴールデンタイムへ初登場となったものだ。
番組のテーマは「世の中の当たり前をちょっとだけ変えれば、もっと暮らしやすくなるのでは」というもの。
内容がとても秀逸で、生活全般について幅広い改善点が投げかけられる、興味深い内容となっていたのでご紹介しよう。
ちょっとだけ変えてみようはグロースハック
番組の「ちょっとだけ変える」内容は、おおげさなものではない。以下のとおりだ。
・行列のできるラーメン屋でテンポの速い音楽を流したら回転率が上がるのでは?
行列の絶えないラーメン店では、行列が長蛇に渡るため周囲から迷惑がられていた。行列を早く回転させるための方策として、同番組は1日中、運動会の徒競走でおなじみの「天国と地獄」「剣の舞」などを流した。結果、回転率のベースとなる1日の合計客数は48人増加し、売上高は前日比116%となった。1時間あたり4.2人増加しているため、飛躍的に回転率がアップしていることもわかった。
・ポケットティッシュの代わりに広告が印刷されたマスクを配ったら宣伝効果が上がるのでは?
番組がある居酒屋の店名と店舗地図、そして「ビール1杯無料」と書かれたマスクを作成した。比較のために同じ内容を書いたティッシュと別日に配布したところ、マスクを配布した日の売り上げは1.5倍になった。ティッシュを配布した日の来店客数42人のうち25人がティッシュを持参していた。一方でマスクを配った日には、マスクを持って来店した人の数が30人に達し、ティッシュよりも5人多いという結果になった。ただし、身に着けているマスクを見たという来客者数は0で、経費は15万円以上とティッシュよりも多くかかっている。人に見せたくなるデザインを考えること、大量生産とデザインにより経費が大幅に減少できれば、新たな販促ツールになるかもしれない。
このバラエティ番組を見ると、実は「グロースハック」の考え方が鍛えられる。
グロースハックとは最近話題になっている言葉で、Growth→成長、Hack→取り組むを合わせて「成長に取り組む」という直訳だが、ツイッター・フェイスブックなど数年の間に数億人のユーザーを獲得し急成長したサービスには、このグロースハックを担う”グロースハッカー”が存在している。
一般的に言われる具体的なグロースハックの手順はこちらだ。
- 1.現状を計測する
- 2.分析・仮説立てを行う
- 3.優先順位をつけて作業する
- 4.デザインする
- 5.実装する
- 6.実装後の効果を計測する
簡単に言い換えると、ユーザーの動向を分析し改善策をスピーディに実行し、より多くのユーザー獲得や収益向上を成功させ、企業の成長を目指す、ということである。
「さまーずのちょっとだけ変えてみよう」における実験も、ある問題に対して改善策を取り上げ、実際に検証し、その結果を計測する、という点において、グロースハックの考え方が実行されている。
大事なのは消費者心理を読み取れる洞察力
グロースハックの典型例としてあげられるのが、ツイッターやフェイスブックのように、仮説と検証を重ねて、何億人ものユーザーを持つサービスに成長させることだ。
そしてグロースハッカーとして注目されるのが、サービスを作るプログラマー達である。
よってグロースハックにおいてはテクニックがどうしても重視されがちだが、一番重要なのは、消費者心理を読み取る洞察力を持っているか否かである。
いくら様々なサービスを作っても、消費者にとって役に立たないものはいつまで経ってもヒットしない。
どんな仕事でも、消費者や取引先など相手側の心理を考えて、”ちょっとだけ変えてみよう”を前提に、改善と実行、検証を行うことで、誰しもがグロースハッカーになることが可能だ。