ホリエモンの「オープンイノベーション」による特許制度批判は矛盾している

時事

 任天堂のコロプラに対する特許侵害訴訟、ラーメン「一蘭」の特許による自社防衛についての記事を受け、堀江貴文氏が特許制度を批判しています。この際に堀江氏が特許制度がオープンイノベーションを阻害すると指摘していますが、オープンイノベーションとは一体どんな概念なのでしょうか?また、オープンイノベーションは堀江氏の主張を後押しする概念なのでしょうか?簡潔に考えてみたいと思います。

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堀江貴文氏が特許制度を20世紀の遺物と批判

 ゲーム大手の任天堂がオンラインゲーム大手のコロプラに対して、同社が運営する「白猫プロジェクト」の特許侵害による運営差し止めを求め、損害賠償額44億円にのぼる訴訟を起こしました。

 任天堂の訴状によると、白猫プロジェクトでは、タッチパネル上でジョイスティック操作をする際に使用される特許技術など、5件の特許侵害が行われていると主張しています。

 これに対しては業界関係者からも様々な意見が出ていますが、元ライブドア社長の堀江貴文氏は今回の訴訟について、以下のように任天堂を批判しました。


 更には、弁護士ドットコムの“ラーメン「一蘭」の特許「味集中カウンター」、何が法的に保護されているの?”という記事に対しても、特許制度について以下のような批判を展開しました。


 このように、堀江氏は特許制度を批判するにあたり、オープンイノベーションという概念を引き合いに出しています。

 よく耳にする言葉ですが、意外と意味がわからない方もいらっしゃることでしょう。オープンイノベーションとは一体どのような概念なのでしょうか?

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特許制度を批判する根拠とした概念、オープンイノベーションとは?

 オープンイノベーションとは、2003年当時、ハーバード大学の教授であったヘンリー・チェスコブロウ氏が著書の題名として使用し、提唱し始めた概念です。

 チェスコブロウ氏はオープンイノベーションの定義を、「企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を想像すること」としました。

 現在、モノづくりの現場では、日々加速度的な進化を遂げる技術に対応し、消費者に求められる新商品を提供することが迫られています。

 しかし、社内ですべての技術を内製化しようとすると、開発費が巨大化してしまい、意思決定の速度も遅くなり、結果として商品を世の中に出す頃には、その商品自体が陳腐化してしまうことが多々あります。技術の進化による不確実性の高まりがこれを一層助長します。

 一方で、自社内だけですべての技術を賄おうとせず、自社に必要とされるが内製化されていない技術を、外部に求めて適正な対価を支払いながら協業すれば、内製化するよりも早く商品を市場に投入し、競合に先駆けたマーケットインによる先行者利益の獲得、早期のキャッシュインが可能になります。

 そうであるなら、自分たちで賄うにはあまりにも不効率な技術があるなら、それは外部から補ったほうが利益につながる、そう考えるのがオープンイノベーションの考え方です。

 簡単に言えばオープンイノベーションとは、「商品の開発(R&D)の過程で全てを内製化せず、規模の大小を問わず優れた技術を持つ他社と協同しながら、素早く優れた商品を開発し、マーケットに投入することを是とする概念」と言い換えることも可能な考え方です。

 従って、オープンイノベーションの概念を採用する現場では、「全ての賢い人が、私達の会社のために働いているわけではない。」という価値観が醸成されます。

 世界で見れば、P&Gやフィリップスといった企業がオープンイノベーションを導入し、一定の成果を集めており、日本企業にも徐々にこの概念が浸透しつつあります。

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オープンイノベーションの概念にタダ、無許可で使用するという考えは無い

 かなり端折ってオープンイノベーションの考え方を説明しましたが、堀江氏が特許制度の批判にオープンイノベーションを採用したことを当てはめるとどうでしょうか?

 ちなみに、オープンイノベーションの概念は、下記のステップを踏むことが、世界的なフレームワークとして認知されています。

  • Want:社外に求める必要がある技術を選定する
  • Find:自社に必要な技術を社外に出て探索する
  • Get:社外で見つけた技術を適正に評価して導入条件をまとめる
  • Manage:社外の技術を自社に導入する

 確かに、オープンイノベーションの概念の捉え方には、様々な意見がありますが、いずれにしても外部の技術を「評価する」ステップがあります。

 つまり、他社の技術を合意無しに使用する、不透明なものを無許可で使う、という考え方は、オープンイノベーションの概念には相反します。

 オープンイノベーションとは、他社の技術を尊重し、敬意を払い、これを合意の元でブラッシュアップするのを推奨する概念だからです。

 特許を取得した技術に対する合意や許可のない使用に対して抗弁する企業を批判する堀江氏の考え方は、オープンイノベーションという言葉をやや曲解しているのではないでしょうか?

 今回の氏の主張をそのまま鵜呑みにし、コロプラ同様の事態に陥れば、トータルで見た時、ビジネスにプラスでつながるとは考えにくいです。

Photo credit: 360photo.tw on VisualHunt / CC BY

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