オンラインコミュニケーションはこれからも増えていくことでしょう。だからこそ、大事な営業局面では、会って話をする、言葉できちんと伝えることの重要性が更に高まっていきます。しかし、多くの若手営業マンは、「お客様と何を話せば良いのか?」と会話に悩んでいます。もし、そんなお悩みがあるなら、トップやマネージャーが「3つの挨拶」を自ら実践し、基礎として教える必要があります。
セミナーに参加する若手営業の7割は「お客様と何を話せば良いのか?」で悩む
私は、大手銀行様から中小企業様案件含め、年間で100件単位の組織営業コンサルティングに関わらせて頂いてます。
毎日のように様々な会社に勤める若手営業の方を見ている中で、ここ5年ほど前から強く感じることがあります。
それは、社内における会話、セミナーの営業シュミレーション場面で、対面時の会話ができない方が増えていることです。
単純に、「今の若いものは…」という話ではありません。
確かに、メールやチャットツールによるコミュニケーションはこれからも増えていくことでしょう。
だからこそ、「ここぞ」という繊細な営業場面では、会って話をする、言葉できちんと伝えることの重要性が、これから更に高まっていきます。
社内で会話が続かなければ、営業としてお客様のところではなおのこと。
開催している公開セミナーなどで35歳くらいまでの方々が集まると、7割以上の確率で若い方がお客様との会話に困り、悩んでいらっしゃいます。
会話も「基礎・基本・応用」の基礎から練習が必要
コミュニケーションで若い方にどんなことで悩んでいるのかヒアリングすると、
- ・会話が続かない
- ・何を話したらいいのかわからない
- ・聞き出したい話が聞き出せない
大きく分けて、上記3つの悩みが浮かび上がります。
これでは営業どころではありませんし、会話ができなければ、商談どころではありません。(批判ではなく、あくまでもビジネスとして客観的にですよ。)
もし、このような若手がいるならば、いきなり「やれ!」「なっとらん」と言う話をしても、モチベーションが下がるだけで逆効果です。
物事には基礎・基本・応用がありますが、基礎から教えてあげねばなりません。
スポーツでたとえると、野球の野手の選手は試合前に 素振りをし、トスバッティングをし、そして試合に臨みますよね。
素振りはフォームを固めるためのバッターとしての基礎を作ります。
トスバッティングは、バットの芯でボールの真ん中をミートするためのバッターとしての基本を作ります。
この基礎・基本ができているからこそ、試合でバッターとしての応用が効くようになり、ヒットが打てます。
同じように営業管理者やマネージャーは、若手に対して言葉のコミュニケーションの基礎・基本・応用を教える必要があります。
会話の基礎を成す「3つの挨拶」を知ろう
会話・コミュニケーションの基礎・基本・応用は、以下の通りです。
- 基礎:挨拶
- 基本:会話
- 応用:商談
基本である会話ができない単純な原因は、その一歩手前の挨拶が出来ていないことにあります。
まともな挨拶が出来ないから、会話ができない、ですから商談もまとまらない。
逆に言えば、挨拶ができれば、その後は何とかなるものです。
では、会話につながる挨拶をどう展開すればいいのかということですが、3段階にわかれた「3つの挨拶」を行えれば、概ねの会話は良好につながっていきます。
一の挨拶:きっかけ
おはようございます。〇〇会社の△△です。いつもお世話になっています。
一の挨拶は、きっかけとなる挨拶です。
ただし、この挨拶で終わっては会話など生まれません。ここで終わってしまうと、それで?となるだけだからです。
しかし、実際に現場を見させていただくと、ここで挨拶を終えている若手営業の方が殆どです。
ここで詰まった営業は何をするのか?
本人は何の悪気もないのですが、何を話せばいいのかわからないので、いきなりキャンペーンのチラシを出す始末です。
これでは、お客様から敬遠されて当然です。お客様はキャンペーンの押し売りをされているのと同じですから。
二の挨拶:時候ネタ・時事ネタ
朝晩ずいぶん冷えてきましたね。または、TPPの交渉も佳境に入ってきて、日本の輸出産業にも大きな影響が出そうですね。
二の挨拶は、時候ネタ、時事ネタです。
時候ネタは話せたとしても、時事ネタは社会のトピックスですから、情報を集めないと話せません。
しかし、実際は時事ネタが話せません。なぜか?新聞やインターネット等で情報を取り入れてないからです。
通常、ビジネスに携わる人は常に情報収集しています。
つまり新聞等は、お客様との共通ネタの宝庫なのです。これを読まずして営業に出るなどもってのほかです。
三の挨拶:相手を主人公とする挨拶
「腰の具合いかがですか?」「沖縄旅行はいかがでしたか?」
三の挨拶は、相手を主人公にした挨拶で、相手のプライベートに触れる挨拶です。
人間にとって高位の欲求は、「承認の欲求」です。人は誰しも他者に認められること、気を遣われることにより、前向きに話をしたいと思うものです。
近年の営業はお客様のことを知らなさ過ぎ、特に個人的なことを知りません。知ろうともしません。知る必要性を知りません。
従って、会話が淡白になってしまいます。
3つの挨拶をトップや上司が自ら実践して毎日みせよう
上記で紹介した3段階にわかれる、3つの挨拶さえすれば、お客様と必ず良い会話につながります。
しかし、トップがこの論理を知りません。訓練をしません。ですから、若手が永遠に会話で悩み続けます。
営業の現場でこの3つの挨拶をスムーズに行って会話につなげるには、まずは社内で訓練しなければなりません。
先輩、上司、トップが率先して、毎朝3つの挨拶をする時間を作り、若手に対して実践して見せてみませんか?
間違いなく朝から会話が生まれ、活発なコミュニケーションが行われます。組織が活性化し、営業に活力が生まれます。
その継続が、モチベーションのアップにつながります。
以下のような形です。
部下:「おはようございます」
上司:「おー、おはよう。(一の挨拶)
朝晩寒くなってきな~(ニの挨拶)
おまえのところ赤ん坊生まれたところだろ、風邪ひかすなよ!(三の挨拶)」
上司がこのような対応をすれば、部下はどう思うでしょうか。
自分のことをよくわかってくれて、自分の子供にまで気遣いをしてくれる上司に、ついていきたいと思うのは当然です。
しかも、子供の話題で会話が生まれ、コミュニケーションが生まれます。
営業だけでなく、従業員の皆さんが毎朝3つの挨拶を継続するだけで、組織のモチベーションが向上します。楽しい気持ちになります。
営業にとっては、社内でできないことはお客様の前でもできませんから、社内を練習の場として活用することです。
営業力を向上させ、社内を活気づける3つの挨拶は、営業にとってモチベーションアップの特効薬です。
お客様も全く同じだということです。