日本国内全体で深刻な人手不足が進んでいます。厚生労働省が発表した2017年6月の有効求人倍率は1.51倍と、1974年以来43年ぶりの高水準となりました。このような状況下で、外国人労働者の活用に企業が注目しています。特に優秀な留学生を雇用したい企業は多いようですが、留学生を雇う際は特殊な滞在目的ゆえに、労務上2つの注意点を念頭に置く必要があります。
深刻な人手不足で熱視線集める外国人労働者
労働人口の減少により、日本企業では深刻な人材不足現象が発生しています。
厚生労働省が発表した2017年6月の有効求人倍率は1.51倍と、1974年以来43年ぶりの高水準となりました。
また、正社員に限定した有効求人倍率も、2004年の統計開始以来はじめて1.01倍に到達し、文字通り国内では働く人が不足しています。
多くの中小企業様から労務関係のご相談を受けるのですが、皆様悩みは「求人広告を出しても全く人が集まらない」というところで共通しています。
このような状況下で、外国人労働者の活用が人材不足解消の有益な1つの方法として、企業の注目を浴びているのも自然な話です。
ただし、簡単に外国人労働者を雇えるかといえば、それはまた別の話。
外国人が日本に滞在するには在留資格が必要で、しかも企業に雇用されて労働できる在留資格は、永住者、定住者、日本人配偶者等に一部の資格に限られているからです。
中でも、優秀な人材が多い「留学生」を雇用する際には細心の注意が必要となります。
留学生を雇う際の注意点1:『資格外活動』の許可を確認せよ
というのも留学生は、あくまで教育を受ける目的で在留資格で国内に滞在しているため、留学の在留資格のみを使って日本国内で就労することが原則的に出来ません。
しかし、日本人の学生ですら多少のアルバイトで収入を得なければ生活できない人が殆どです。
いわんや、日本政府も留学生に対して、勉学に支障がない範囲で「『資格外活動』の許可を受けた場合のみ」アルバイトを認めています。
資格外活動の許可の手続きは、留学生自身が行わねばなりませんが、留学生をアルバイト等で雇用する企業は、その留学生が資格外活動の許可を受けていることを確認することを義務付けられています。
資格外活動について無許可の留学生を就労させた場合には、留学生はもちろん、善意の会社であろうとも処罰の対象となります。
「本人が許可を受けていると言ったので、それを信じた」というような言い訳は通用せず、必ず資格外活動許可書の提示を求める必要があります。
なお、ちなみに、これは留学生に限ったことではなく、外国人労働者を雇用する場合には、その労働者が、日本国内で就労することができる資格を有しているかを確認することは、会社側の義務とされています。
留学生を雇う際の注意点2:留学生が就労できる時間は一週間で28時間以内
留学生をアルバイト等で雇用するなら、もう1つ注意すべき点があります。
それは、資格外活動の許可をもらったとしても、留学生が就労できる時間は一週間で28時間以内と決められていることです。
この規則は、学校が長期休暇の場合でも1日8時間以内と決められています。
拘束時間にこのような縛りがついている理由は、彼らが学生であり、勉学に勤しむために日本に滞在しているからです。
もし、学生に「お金が足りないのでもう少し働かせてほしい」と頼まれて善意で引き受けても、留学生が上限時間を超えて労働したならば、雇用主である会社も処罰の対象となります。
留学生として日本に滞在する人材は、非常に優秀な人が多いですから、ついつい色んなことを頼みこみたくなるものです。
しかし、留学生を雇用するなら、必ず労働時間の管理は厳格に行うようにしてください。