口は出すけど手は出さない、文句は言うが周囲に協力もしなければ、結果も出さない。挙句の果てに、部下へは高圧的で、取引先は怒らせる。社内環境を整備して、配置転換など希望を聞き入れてきたけれど、もう会社に居場所が無い。こんな社員はいませんか?この場合、「辞めてくれて大丈夫だ。」と退職勧奨するのは良いですが、退職勧奨する前にやるべきことがあります。詳細は記事にて。
人間関係でトラブルばかり起こすしょーもない社員はいませんか?
貴方の職場には、「こいつ、本当にしょーもない。」と感じる問題な社員はいませんか?
口は出すけど手は出さない、文句は言うが周囲に協力もしなければ、結果も出さない。
挙句の果てに、部下へは高圧的で、取引先は怒らせる、といった具合です。
最初は貴方もこの社員の言うことを聞き入れ、社内環境を整備して、「この仕事は合わない」と彼が言う度に、その配置転換など希望を聞き入れてきましたが、そろそろ限界です。
この前も、「この会社は既に腐りきっている。私が会社を変える。その代わりに給料を出して」と言ってきましたが、心のなかで経営者は彼の顔をグーで殴りたい気持ちでいっぱいです。
勘違いな彼の居場所はもはやこの会社にないのです。
果たして、今回の事例のような、どうしようもない社員を抱えている時に、本音で彼に対して、「キミの居場所はここにもうないんだ。辞めてくれて大丈夫だ。」と伝えることは正しいのでしょうか?
無策に「辞めてくれ」と伝えれば損害賠償のおそれが生じる
確かに、問題の社員に対して本音を伝えることは可能ですが、一度雇用した社員は労働契約法によって強力な保護を受けています。
労働契約法第16条には、
労働契約法 第16条(解雇)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
とあり、「客観的に合理的な理由」と、「社会通念上相当である」ことが認められない限り、解雇は出来ないことになっています。
今回の事例の社員についても、空気を読めない、社内の輪を乱すなどの行為は見られますが、何か刑事犯罪を起こしたり、他の社員に対して危害を加えたという訴えが起きているわけではないため、解雇を行うのは相当難しいでしょう。
従って、「辞めてくれて大丈夫だ。」ということは、会社側が退職勧奨を行っていることになります。
退職勧奨とは、会社側から会社側の都合で社員に退職するよう勧めることであり、もしもこの勧めに社員がのった場合、会社側は助成金を半年間受け取れないなどの不利益を受けることになります。
また、何度も「辞めてくれて大丈夫だ。」といえば、これは退職を強要することとみなされ、もし社員が心的外傷を負ったなどと訴えれば、損害賠償請求を争う裁判に発展する可能性があります。
トラブル無く退職勧奨を実行するために抑えるべき点
このような事態を避けるためには、問題となる行動を起こす社員がいる場合には必ず、
- 問題行動によりトラブルを起こした時はメモ・レコーダー等で記録を残す
- 繰り返しトラブルを起こすなら反省文・始末書など、本人側にも記録を残させる
などにより、会社として退職勧奨する「客観的に合理的な理由」を保持する必要があります。
それと同時に、当該社員が不当だと訴えるようなこと、たとえば、
- 残業代を支給しない
- 有給を消化させない
- トラブルの時に感情を荒立てて相手を責め立てる
というような行為がないようにすることも大事になるでしょう。
また、追い出し部屋などの手口を使って、社員が心的ストレスを抱えたなどとなれば、元も子もありません。
専門家と協動して、本人にも出来る限り納得のいく形となるよう、退職勧奨する必要もあります。
これらを踏まえて、どうしても問題のある社員に退職してもらいたい場合は、退職勧奨というセカンドベストも視野に入れ、負の連鎖を断ち切る必要があります。