エアコンメーカーと知られるダイキン工業は、小惑星探査機「はやぶさ」の省電力技術をエアコンに応用する研究を始めることを発表した。はやぶさの技術を容易に獲得し、話題性+製品力・機能の両方を獲得することで、「コバンザメ商法」の良い例と言えよう。中小企業も自社の強みがあれば、コバンザメとなることでチャンスを見いだせる。
ダイキンがはやぶさの技術をエアコンに活用
今年1月、エアコンメーカーと知られるダイキン工業は、小惑星探査機「はやぶさ」の省電力技術をエアコンに応用する研究を始めることを発表した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、はやぶさの技術を無償で公開しており、ダイキン工業ははやぶさの「電力ピークカット制御」を採用することで、同月末に行われた「新電力EXPO」でテスト製品やブース公開を行った。
これは「コバンザメ商法」と呼ばれるマーケティングで、効率良く製品のブランド力や収益性をアップさせる良い例だと言える。
はやぶさの技術を容易に獲得し、話題性+製品力・機能の両方を獲得できたからだ。
コバンザメ商法は優れたマーケティング手法
コバンザメ商法とは、「集客力がある店舗や事業所、観光施設などの近くで商売を行う商法」のことである。大型の生物に吸着して移動して身を守りながらおこぼれを狙うコバンザメにちなんでこのように呼ばれている。
「コバンザメ商法」と聞くと、どうしても”金魚の糞”、”虎の威を借る狐”のような良くないイメージが抱かれやすい。
しかし、コバンザメ商法は小さな企業が大と為すために利用できる、立派なマーケティング手法の1つだ。
人、技術力、お金、時間などの限られた資源を効率よく活用する必要がある中で、すべての資源を潤沢に保有している会社は少ない。
ないものは”他人のふんどしで相撲をとらなければ”中小企業にとっては、リスクばかりが増えることになる。
例えば、今でこそチーム名が浸透している、楽天やDENAによるプロ野球球団の買収もコバンザメ商法の1例と言える。
1から球団を作り選手を育て、リーグ登録をする、という気の遠くなる作業を行うのではなく、すでに出来上がっている成熟したチームを買収することで、ほぼ一夜にしてプロ野球チームのオーナー会社となった。
もちろん、関わる人間の努力は並大抵ではないとは思うが、各社の一般社会への浸透が進むため、効率的なマーケティング手法と言える。
コバンザメになるなら得意分野を見極めよ
単純にコバンザメとなったところで成功するのは容易でない。
社内の資源を効率的に活用し、大なるものに自らを委ねるのであれば、そこに「自分のイズム」がなければ飲み込まれてしまう。
そのために、全部を他人に頼るのではなく、自社の強みは何か、得意分野(コアコンピタンス)は何かを把握し、どのような位置でコバンザメとなるか、を主体的に決定したい。
宇宙工学を自社の強みであるエアコンの性能差別化へ取り入れた、ダイキン工業の成功例をぜひ参考にしたい。