米ゼネラル・エレクトリック社のジェフ・イメルトCEOが今年の7月に退任し、55歳のジョン・フラナリー氏がCEOに就任することが決まっています。さて、GEの歴代トップは、社長就任後すぐに着手し始める仕事があります。それは、次のトップ探しです。世界的なコングロマリットとして優秀な人材が集まりやすいGEですら、トップ探しは至難の業ということが理解できます。
米GEの社長を16年務めたイメルト氏が退任へ
先週のはじめに、米ゼネラル・エレクトリック(以下、GE)のトップ交代が大きく報じられました。
GEといえば、1990年代に最も優秀な経営者と呼ばれたジャック・ウエルチが、2001年にその座をジェフ・イメルト(以下、イメルト)に禅譲し、トップのすげ替えに見事成功したことで知られます。
今回も、イメルトは45歳でCEOに就任し、トップとなってから16年が経過した61歳で、すっぱりとトップ交代を決断しました。
来年には全ての役割から退き、実権は次のトップとなる55歳のジョン・フラナリー氏に引き継がれます。
彼も10年単位くらいでトップを務めるのでしょう。
GEの新社長が就任後すぐに取り掛かる仕事
さて、GEの歴代トップは、社長就任後すぐに着手する仕事があります。
それは、次のトップ探しです。
GEのトップになる経営者は、社長就任後すぐに次のトップを決めるため、調査と面談を繰り返すようになります。
なにせ、GEの従業員数は世界全体で30万人を超えます。わかりやすい規模で言うと、日本なら新宿区の人全てをマネジメントするような立場です。
更に、彼らの家族など周囲の人を含めれば、生活がGEによって支えられる人は、この倍にまで到達するでしょう。
このような巨大組織の場合、長期的にトップを任せることの出来る人材はそう簡単に決まらないため、相当長い期間をかけることにより、トップの大きな業務として、次期トップを決めていく必要があるのです。
日本では創業オーナーを除き、こうしたトップを決めることは極めて難しく、期待に応えられる創業オーナー以外のトップ候補の人材も多くは存在しません。
事業承継の問題を抱える企業にとって、即効性のある対応策はありませんが、長い期間をかけて熟慮されるGEのトップ交代は、参考にすべき事例と言えるでしょう。
トップ交代への熟慮は実務の動き方すら変える
これら、長い期間をかけたトップ交代の熟慮は、経営者の実務にも大きな影響を与えます。
たとえば、GEはイメルト時代に、1990年代に稼ぎまくった金融部門を切り離し、更にはエジソンの時代から100年以上続く照明事業も売却しました。
これら2つの事業売却は、しっかりと利益の出ている状態で実現しております。
彼らのM&Aは目先の資源調達とか短期的な売上目標達成とか、赤字部門のリストラというような短期的な視点で実施されていません。
長期を見据えたトップを据え、長期間のビジョンを達成する目的のために、M&Aという実務が行われているのです。
このようなGE歴代経営者の動きはとても参考になります。ぜひ、皆さんも彼らを研究してみてください。
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