ドローンを規制する法案を日米で比較してみよう

政治

 ドローンの先進国であるアメリカで、2月15日にFAA(運輸省連邦航空局)がドローンの利用に関する法案を告示した。アメリカはもちろん、日本もドローン利用に向けて法整備を進めているが障壁はまだまだ多い。ただしハード(機体)の開発は進んでいるため、中小企業にとって空に広がるフロンティアは無限のビジネスチャンスを生み出すだろう。

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米ドローン活用拡大するが規制もかかる

 ドーロン(無人ヘリ)を使ったビジネスのイノベーションが日本でも加速している。

 かたや、ドローンの発祥地であるアメリカでは、2月15日に、FAA(運輸省連邦航空局)がドローンの利用に関する法案を告示した。※1

 FAAによると法案をたたき台に意見を集めるとのことだ。また、規制は新興産業に過度な負担を与えずに、航空安全を維持するレベルとしたいとコメントしている。※1

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日本国内ドローン規制 現状どうなってる?

 米FAAが発表した、ドローン規制法案の主なポイントおさらいすると現時点では以下になる。※2

  • 人間の目で確認できる範囲の飛行
  • 関係地域以外の頭上に飛行させてはならない
  • 夜間の飛行禁止
  • 最高速度は時速100マイルまで(約160キロメートル)
  • 最高高度は500フィート未満(約150メートル)

 一方で日本国内の現状はどうだろうか。

 すでにセコムや綜合警備保障、コマツ、ヤマハがドローンのビジネスへの導入を決める中、NTT東日本もドローン活用を進めると発表した。今年の3月を目処に6機を投入して設備点検やケーブル敷設などに利用する計画のようだ。

 ドローンの活用に向けた法的な課題の議論も活発だ。

 専門家が指摘する法的に整備すべきポイントをまとめると以下のとおりとなる。

  • 法律で定める現在の最高高度に250メートル未満の制限がある(航空法99条の2第1項)
  • 他人の土地の上空を飛行させることによる所有権侵害の恐れがある(民法207条)
  • 公道上の飛行は現時点で難しい(道路交通法77条1項)
  • 墜落、荷物の落下、怪我や損害などの損害賠償責任が未定(民法709条)

 その他にも空路を正確にトレースする装置、衝突防止装置の義務化、も解消しなければならない問題である。

 今年に入って日本政府が公開した「ロボット新戦略のポイント」においても、この先の積極的なロボット産業の方向性を打ち出しおり、ドローンの普及に向けた法整備も進める必要があるとしている。※2

 その中でも特に注目すべきポイントは「国際標準化への対応」として定義される、”品質・安全の保証(安全性、認証取得)”だろう。

 日本の基準が標準化されるかどうかは技術力と同時に、高度な政治力も必要になる。

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上空は新たなビジネスフロンティアとなる

 上述の通り、アメリカ・日本共にドローンを商用利用するには、超えなければならない壁が幾つもある。 

 しかし、ドローンの普及が進めば、今まで活用されなかった上空の土地空間は、アメリカの西部開拓時代や、日本の北海道開拓時代のように、大きなビジネスチャンスを与えてくれる。ドローンはサービスや運送、公共事業の分野だけではなく、製造業を含む経済全体の活性化に対して更なる武器となる。

 独創的アイディアがあれば、ハードとなる機体の進化と普及が進んでいるため、比較的少ない投資資金でリターンを得やすいからだ。

 ドローン市場のこれからに、しばらく目が離せない。

参照元

※1 FAA “Press Release”
https://www.faa.gov/news/press_releases/news_story.cfm?newsId=18295

※2 内閣府「ロボット新戦略のポイント」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/robot_point_150210.pdf

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