明らかに社員が犯罪を起こしそうだと感じる時
長く事業経営を営んでいると、雇用した社員について「こいつ何か問題を起こしそうな雰囲気あるぞ…」という社員に遭遇することがあります。
たとえば、女性関係の遊びが派手で、冗談を飛ばし合う中でも過激な性的発言が繰り返され、異常な性癖の持ち主だと感じる社員がいるかもしれません。
仮に、その社員が本当に痴漢事件などを起こしてしまうと、まず矢面に立たされるのは本人ですが、批判の矛先が会社に向かうことも考えられます。
社内管理体制の甘さ、社員の質の低さなど、会社の体質自体が事件を生む温床となっていると、残念ながら世の中はそのように見る傾向があります。
犯罪を起こしそうな社員を予防解雇できるか?
では、社員が問題を起こしそうな雰囲気を持っている時に、企業側が「事件を起こしそう」という理由で、予防解雇を行うことは可能なのでしょうか?
雇用した後で、社員が問題を起こしそうな人間だと判明することは、どの会社でもありうる問題です。
実は、私自身も以前、顧問先から「ある従業員が、悪い友達と付き合い出し、いかがわしいアルバイトを始めたみたいで、このままでは、会社に悪影響を及ぼす可能性があるから解雇したい」といった相談を受けたことがあります。
しかし、労働法の世界では、このような予防的な解雇は認められていません。
労働法の世界では、事件を起こして初めて処分が可能となるのです。
「問題を起こしそう」という経営者の一方的な主観により解雇権を行使でれば、労働者保護に欠けるとみなされているからです。
就業規則で問題の種を未然に防ぐ対策が必要
このようなリスクを軽減するには一体どうすれば良いのでしょうか?
まず一番のリスクヘッジ策は、採用時に人物をよく見極める作業に力を入れることです。
採用に最善を尽くすと共に、常に社員教育を行っていく必要もあるでしょう。
とはいえ、問題を起こしそうな人間は、ここまで採用・教育に力を入れても、ゼロとすることは出来ません。
そこで重要になるのが、就業規則などにおける懲戒処分を事細かに設定することです。
最終的に刑事事件を起こす人間は、その前に大きな問題行動を起こす前の兆候が見られるので、この時点でペナルティを与え(客観的な証拠も残しましょう)、改善しないならば解雇の手続きを踏めるようにするというのも有力な手となります。
人を雇う際にはあらゆるリスクを踏まえなければならないのです。