代表者印、銀行印、認印、角印…印鑑による押印で契約を成立させる日本では、会社に様々な印鑑が存在します。しかし、印鑑はそれぞれ持っているけれど、どの印鑑にどのような重要性があって、どのような場面で使えば良いのか?といきなり聞かれると、誰もが一瞬わからなくなるものです。そこで本稿は、法人が活用する4つの印鑑それぞれの重要性と活用場面をおさらいします。
あるあるネタ〜仕事の場面別で使う印鑑の種類がわからない
年に何度か、忘れた頃に問い合わせを受けるのが『仕事の場面別にどの印鑑を使ったら良いの?』という相談です。
会社の印鑑として代表的なものには、代表者印、銀行印、認印、角印などがあります。
形や大きさ、印影やデザインなど、それぞれの用途によって異なりますが、どれも会社の意思が書面に正しく反映されていることを証明する、大切なものとして使用する必要があります。
そこで本日は、会社で使う4種類の印鑑について、それぞれの用途をご紹介したいと思います。
会社で使用する4つの印鑑・それぞれの意味
1)代表者印
代表者印とは、会社などの法人・団体の代表者の印鑑で、いわゆる会社の「実印」のことを言います。
「実印」は、法人の設立登記を申請する際に法務局に届け出た印鑑であり、会社にとって最も大切な印鑑となります。
個人事業主の実印も、これに相応し、市・区役所などに届け出て印鑑登録したうえで活用する大切なものです。
2)銀行印
銀行印とは、その名のとおり、銀行口座を開設し利用するため、その銀行に届け出た印鑑です。
預金の払出しにも必要ですし、手形や小切手を発行する際などにも必要となります。
3)認印
認印とは、特別に登録・届出をすることはありませんが、一般的には、次の「角印」よりは上位にあるとして、押印権限者を限定し、日常取引の際に会社の意思を表示するものとして使用されます。
4)角印
角印とは、会社名を彫った“四角い”印鑑です。
使用目的は、丸い「認印」とほぼ同じですが 一般的な社内押印手続きでは認印よりも簡略な手続きが求められるケースが多いです。
たとえば、経理の方が日常的に発行する請求書、領収書、納品書などに使用されます。
会社印の中では、最も使用頻度の高い印鑑だと言えるでしょう。
会社での印鑑使用でよく聞かれる4つの質問
ここからは、印鑑について頻繁にもらう4つの質問と、それに対する私の回答をご紹介しましょう。
Q1:角印+代表者印・認印って効力が強くなるの?
契約書締結の際、会社名の上から角印を押し、代表者名の横に代表者印または認印をセットで押すケースを見かけることがありませんか?
この場合の角印は特別な意味というよりも、「見た目重視」の感じがありますね。
もちろん、二種類の印鑑が押されていることは、“その書面にそれだけ信用性がある”、ということも言えるでしょうが、判断は個々が行うものとなるでしょう。
Q2:4種類の印鑑は役職だと誰が保管するのが適当?
また、会社にもよりますが、経理部長などが管理を任されるのが「銀行印」で、総務部長が管理するのが「会社印(実印)」と「認印」、各所属長に「角印」を任せていることが多いような気がします。
角印は 会社の中に複数個存在することが多いですね。
私も企業の時代には、必要がある都度都度、大金庫を開けて実印や認印を取り出して押印していました。
面倒かも知れませんが、机上に置いておくような種類の印鑑ではありません。
誰でも勝手に押すことができるようにしていること自体、その押印を許しているということになります。
印鑑の保管責任は、会社や管理責任者が取ることを忘れてはなりません。適当な保管は絶対に行ってはなりません。
Q3:印鑑を兼用して使用することは可能?
こちらは、可能です。
実印を銀行印として兼用したり、認印を銀行印にしたりすることも珍しくありません。
Q4:部門長の印鑑の効力はどこまで及ぶの?
会社内部の決裁印として、「総務部長之印」などの「役職印」を作成している大企業さんもよくあります。
その印鑑でも、対外的な書面に使用された場合は、部長など一定の職務権限を持った人が決裁したことを示すことになりますから、“会社を代表した押印”ということになります。
従って、部門長に印鑑を持たせる場合は、その使用権限について、しっかりとルール決めを行う必要があるでしょう。
印鑑は会社の意思決定を公的に認める重要な道具です。扱い方一つで、ときには会社を潰す要因とさえなります。
ぜひ、取扱には気をつけましょう。