ここ最近、インターネットのリスティング広告では、優れた商品やサービスのブランド名を広告表示で無断使用して消費者を誤認誘導し、その先のサイトも似せたデザインにすることで、消費者に商品を購入させる悪質なケースが増えています。現時点で、これを排除するベストな選択は、商品・サービスの商標登録を行い対抗措置を取ることです。具体的な施策をご紹介します。
インターネット広告で問題視される誤認誘導
Googleなどの検索エンジンで検索を行うと、ページの目立つ位置に広告が表示されます。
これをリスティング広告といいます。
ここ最近、リスティング広告では、誤認誘導の問題が取り上げられています。
誤認誘導とは、他社のブランド名を広告文で使用し、あたかも他社のサイトであるかのように見せかけて自社のサイトに誘導するというやり方をいいます。
悪質なケースでは、A社がシェアを占めているエリアにB社が進出するために、A社の店名をキーワードに設定し、広告文にもA社の店名を使用して広告を表示させます。
さらに、A社のサイトと似たデザインでB社のサイトを制作し、リスティング広告でB社のサイトに誘導します。
消費者は、以前購入したA社のサイトにアクセスしようとA社の店名で検索を行うと、A社の店名を使用した広告文が表示されるので、A社の広告だと誤認してクリックします。
クリックした先のページは、A社のサイトと似たデザインで作られているので、A社のサイトと思い込んでB社のサイトで購入してしまいます。
現在、リスティング広告では、こうした誤認誘導が問題となっています。
Googleが乗り出す誤認誘導対策〜キーワードは商標登録
誤認誘導の問題に対する企業の対抗策としては、自社の店名で検索が行われたときに、B社のような模倣企業の広告よりも自社の広告が上位に表示されるように、模倣企業の広告よりも高い広告単価を設定するという対策を講じることがありました。
しかし、模倣企業も広告単価をつり上げると、結果として広告費が高騰してしまうという事態に陥ります。
そこで、商標登録を活用した対策が有効になってきました。
誤認誘導の問題に対し、Googleでは、商標登録を所有している企業からの申立によって、商標登録されている商標を他社が広告文で使用することを制限する措置を講じています。
参考リンク:Google:商標について
Googleのガイドラインでは、「検索ネットワークのAdWordsテキスト広告での商標の使用について商標権所有者様からGoogleに申し立てがあると、Googleではそれについて調査を行い、商標の使用について一定の制限を課す場合があります。」とされています。
自社の店名や製品名について商標登録を取得しておけば、Googleに申し立てを行うことにより、自社の店名や製品名を使用した広告文を他社が表示するのを制限することができます。
インターネットビジネスを展開する際に商標登録する2つのメリット
それでは、上記を踏まえて、インターネットビジネスを展開する際に商標登録する2つの大きなメリットをご紹介しましょう。
1)広告費の高騰を防止できる
1つ目のメリットは、まず、広告費が高騰するのを防止できるという点です。
模倣企業の広告よりも高い広告単価を設定する必要はないので、広告費が高騰せずにすむというわけです。
商標登録の取得費が、広告単価を上げて対策していたときの広告費の高騰分を下回れば、メリットがあるといえます。
高額商品の場合は、商標登録の取得費を超えた費用対効果があるでしょう。
2)模倣企業を一網打尽にすることが可能
さらに、この対策のメリットは、これだけではありません。
この対策は模倣企業を一網打尽にできるので、模倣対策を非常に効率的に行うことができるというメリットがあります。
通常、商標権を行使して名称の使用中止を要請するには、各模倣企業に対し個別に警告を行う必要があることから、模倣企業が多い場合は対策費用が大きくなってしまいます。
しかし、Googleへの申し立てを行えば、模倣企業が多数あっても自社の店名や製品名の使用を一斉に制限することができるので、個別に警告を行うのに比して対策費用をぐっと抑えることができます。
インターネット上の模倣対策と商標登録は親和性が高い
これまで模倣対策に商標登録を活用する場合は、模倣企業と個別交渉により解決を図り、交渉で解決できない場合は裁判により解決を図るというやり方が通常でしたが、インターネットでの商取引が活発化してきたなかで、Googleのように解決の支援を行ってくれる第三者機関が現れるようになりました。
第三者機関の活用により裁判に至らずに解決できることも多くなり、商標登録の活用の幅が大きく広がってきました。
インターネットを利用したビジネスのボリュームが大きい企業は、費用対効果の高いツールとして商標登録の活用をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。