経営者には「お金を稼ぐ」能力に加えて「お金を管理する」能力が求められる。しかし一般的にはどうしても「稼ぐこと」に注力し、「管理すること」が疎かになりやすい。企業の資金管理でも重要なのは「キャッシュ・フロー」の管理であるが、普段の生活で電子マネーを利用したキャッシュ・フローの意識付けは、実務にも効果的なので一度試してみてほしい。
経営者にはお金を稼ぎ管理する能力が必要
経営者には「お金を稼ぐ」能力に加えて「お金を管理する」能力が求められる。
しかし一般的に経営者はどうしても「稼ぐこと」に注力し、「管理すること」を全て経理へ任せがちになりやすい。
普段の管理は経理に任せてよいが、いざという決済を下す必要がある時には、経営者自身にお金を管理する能力が必要になる。自分自身にお金の管理能力があれば、必要以上に経理の人間が会社へ影響力を及ぼす抑止効果も生まれる。
ただし忙しい合間を縫って、会計基準や計算に精通するほど勉強する時間がないのも経営者の実情だ。
会社にとって一番重要な指標は「キャッシュ・フロー」である。赤字でも黒字でもキャッシュが会社にどれだけあるか、きちんと把握できていれば、会社が潰れる可能性は低くなる。
逐一自分自身で会社のキャッシュ・フローをチェックする環境にないならば、「普段の生活でキャッシュ・フローを意識する練習」が効果的だ。
そこで本稿では、「電子マネーを利用してお金を管理する能力を身につける」ことをおすすめしたい。
使用する電子マネーは
- ・東日本や首都圏ではSuica・PASMO、西日本や関西ではICOCA・PiTaPaなどの交通系電子マネー
- ・楽天Edy、nanaco、WAONなどの買い物系プリペイド
など、現金チャージが可能な電子マネーで、読者の皆様が一般的に利用しているものだ。
電子マネーでお金の管理能力を磨く方法
電子マネーを利用してお金を管理する能力を磨く方法は、驚くほど簡単だ。
- 1)チャージする金額と使用する期間を一定に定める。
- 2)資金の使途を一定の範囲に狭めるルールを決める。
- 3)期間終了時に自分の電子マネー利用状況を検証する。
これだけだ。
具体的な練習方法の例をあげると以下のとおりである。
- チャージ金額3万円・使用期間は1ヶ月
- 使途は通常の交通費+コンビニ使用代金
- 期間内に、チャージすれば自分の想定が甘く、チャージがなければ適正なキャッシュ・フロー管理ができている。チャージした場合は何が支出増の原因だったか検証し、予算を増やすべきか?節約できるか?を次回の入金時までに考察する。
電子マネーの残額がなくなったらその都度チャージする方も多いと思うが、それでは1か月で自分がいくら使ったかの把握が難しくなる。
実はこの行動、会社の資金管理を個人の最小単位にしただけで同じ行動なのだ。
交通費やコンビニなどの支払金額は少額とはいえ、「電子マネー内のお金=会社のキャッシュ」「電子マネーの支払額=会社で使用する経費」と考えれば、取るべき行動は変わらない。
お金の流れを明確にし、予実管理を行っていく、予算と実績の差異を極力抑えるための「意識付け」を行えば、お金の単位が大きくなっても同じことが行えるようになる。
クレジットカードと連動すれば検証が楽に
とはいえ忙しい経営者にとって、予算と実績を照らし合わせる作業を細かいお金で行うのは億劫な場合もある。
そんな時は、法人契約(個人でも良い)しているクレジットカードと電子マネーを連動させることで、支払い明細を一括チェックすることが可能になる。
しかも電子マネーで使用するチャージ金額などはすべてクレジットカード払いとなり支払は翌々月となり、キャッシュアウトも有利になる。(利用日とカードの締日による)
ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがだろうか?