アップル節税阻止 ヨーロッパの伝統的価値観

企業分析

 欧州委員会はアイルランドの米アップル社への法人税優遇措置が、EUの競争法に違反していると主張した。アップル社への追徴課税も視野に入る。EUは国際司法の中心であり多くの規範を作り出してきた。ノブレス・オブリージュという伝統的価値観を元に、国際的な節税阻止の動きが始まる可能性がある。

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絶体絶命のアップル 節税対策は違法判断

 欧州委員会がアイルランドの米アップル子会社への法人税優遇措置は欧州連合(EU)の競争法に違反していると主張し、数十億ユーロ単位で追徴課税を求めていることがわかった。
 
 アップルは現在アイルランドにある子会社へ国際事業で得た利益の60%を集めている。同社は税率12.5%に対して支払い2%の優遇措置を受け、実質非課税状態で運営されていた。違法判決がくだされれば業績への影響は甚大である。
 
 国際司法を司る裁判所は全てEU圏にあり、ヨーロッパは国際法の権威・リーダーとして大きな権力を持っているため、一度アップル社の節税が違法とされれば、判例を通じて、芋づる式に巨大企業の節税が阻止される可能性もある。
 
 なお、アイルランドには他にもアマゾン、フェイスブック、ツイッター等の国際的なIT企業が集積しており、アップル同様の恩恵を受けている。

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EUの伝統的価値観 ノブレス・オブリージュ

 今回の節税阻止の判断背景には、ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige:仏語)というヨーロッパの伝統的な価値観が大きく反映されている。
 
 この言葉は和訳すると「高貴さは義務を強制する」という意を持つ。高貴で特権を持つ人間は、それを持たない人間を養い、カバーする社会的義務があるという価値観である。
 
 具体的な例をあげると、皇室の方々が全国を慈善活動で回られはじめたのも、ヨーロッパの伝統的価値観を見習ってのことだ。
 
 古くはローマ帝国時代から育まれた価値観で、ローマ法がヨーロッパ諸国の法律の源流となっているため、ノブレス・オブリージュはEUの共有価値観といえる。
 
 欧州委員会は、アップルが自分たちの利益を最大化することに目がくらみ、ヨーロッパの高貴な価値観からあまりにも逸脱した節税対策をしているとして、看過しなかったのだ。

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背景にある価値観を理解し賢く節税せよ

 アイルランド及びアップル社は今回の違法措置という判断に否定の見解を示しているが、法規に対して大きな影響を持つ欧州委員会の主張が通った場合、国際的に租税環境が厳しくなる可能性もある。
 
 時代と共に税法は慌ただしく変わるが、法律の背景にある基本価値観を理解し、あからさまではなくバランスのとれた節税対策を取るよう各企業に注意が求められる。

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