労働基準法は正社員もパートタイマー、アルバイトも全て、同じ「労働者」という立場でみなしています。それでは労働日数が少ないパートタイマーやアルバイトがいる場合でも、同じ有給日数をあげないとダメかと言えばそれは違います。労働基準法が制定している「比例付与」を活用して、勤務日数に応じた有給日数を与えれば良いのです。計算方法をご紹介します。
パートタイマーやアルバイトは造語!正社員と法律上は変わらぬ立場
多くの方が労務問題で勘違いしている点の一つに、パートタイマーやアルバイトが法律用語である、というものがあります。
しかし、パートタイマーやアルバイトは、従業員の雇用形態について区分を付けるため、社会的に便宜上使われている言葉に過ぎません。
労働基準法の中には、「パートタイマー」や「アルバイト」といった言葉は、1つも出てきませんし、正社員という言葉も使われていません。
労働基準法で使われている言葉は、「労働者」という言葉だけです。
そうです。
労働基準法上は、正社員もパートタイマー、アルバイトも全て、同じ「労働者」という立場なのです。
立場が同じである以上、休暇について与えられる権利も原則は同じ
労働基準法で与えられている立場が同じである以上、権利についてもパートタイマーやアルバイトには、正社員と同じ権利が与えられています。
その代表的なものが、「有給休暇」です。
たとえば、従業員が入社して6ヶ月が経過した時点で、一定の条件を満たした場合には、有給休暇が発生します。
この権利は全ての労働者に発生するものです。
つまり、パートタイマー、アルバイトであっても、入社6ヶ月を経過した時点で、当然に有給休暇を取得する権利が発生します。
これは、法律が定めている権利であるため、アルバイトが有給休暇の取得を申し出て、事業主がそれを拒否したら、それは労働基準法違反となってしまいます。
労働時間が短い労働者には有給休暇を「比例付与」で与えることが認められる
ただし、この状態だとフルタイムで働いている労働者との間で、不公平が生じてしまいます。
これを是正するために労働基準法では、パートタイマーやアルバイトといった、労働時間や労働日数が少ない労働者に関しては、「比例付与」と言う形で、通常より少ない有給の付与日数を定めています。
有給休暇の付与日数は通常、入社後6ヶ月経過した時点で、10日間付与され、1年経過毎に11日、12日、14日と付与されていきます。
しかし、
- 1週間の労働時間が30時間未満であり
- 1週間の労働日数が4日以下(又は、年間の労働日数が216日以下)
という条件で働く労働者に対しては、有給休暇の付与日数が、比例付与に応じた日数を与えれば良いこととなります。
計算式は、国が定める年次有給休暇日数×比例付与対象者の週所定労働日数÷通常の労働者の週所定労働日数(現在は5.2日)となります。
たとえば、入社して6ヶ月を経過した比例付与の対象者がいて、週に2回働いている場合は、10日✕2日÷5.2日=3.8日の有給休暇を与えれば良いことになります。
上記を踏まえて、パートタイマーやアルバイトの方にも有給を与えれば、労務トラブルも起きにくいでしょう。