LINEがカカクコムと業務提携 リクルートをひっくり返すか?

時事

 LINEとカカクコムが、コミュニケーションアプリ「LINE」とグルメサービス「食べログ」のサービス協業で業務提携の契約を締結した。LINEは今年に入り、人材ビジネス、タクシー配車、今回のグルメサービスと、ライフプラットフォームとしてのサービスを拡充し続けている。王者リクルートがどう出るのか?今後の行く末を注視したい。

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LINEとカカクコムが業務提携の締結を発表

 2月5日、LINE株式会社と株式会社カカクコムが、ビジネスアカウント「LINE@」と、グルメサイト「食べログ」における、店舗向けサービスの提供を推進する業務提携を締結したことを発表した。

 LINE@は、飲食・アパレル・美容・宿泊施設など、サービス業の実店舗を対象に、LINE利用者と店舗を繋いで店舗の販売促進をサポートするサービスを全国展開しており、累計店舗アカウント開設数が14万件を突破している。

 他方、食べログは、現在、掲載レストラン約80万件、月間利用者数は6,369万人、口コミ件数も約600万件を超える国内最大級のグルメサイトである。

 具体的なサービス内容は、食べログの有償サービスを契約した店舗が、合わせてLINE@に加入すると、食べログ店舗ページにLINE@の友だち追加ボタンが掲載される。

 また、LINE@アカウントページにも食べログ店舗ページへ遷移する食べログアイコンが表示され、双方の店舗ページでの連携が可能となる。

 店舗は「食べログ」内での掲載を通じた認知拡大、新規来店促進のみならず、ユーザーが「LINE@」で店舗のアカウントを追加することで、初回来店後も継続的な情報発信が可能となり、再来店促進を見込むことができる。

節約社長
LINE株式会社HPより LINEと食べログのサイト連携モデル

 サービス提供開始は2月下旬を予定している。

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LINE次の進出分野を予想 どうするリクルート?

 2014年10月に行われたLINE社の「LINE CONFERENCE TOKYO 2014」では、森川亮社長が、「LIFEをテーマとし、『LINE』がただのコミュニケーションツールでなく、ライフプラットフォームとして活躍できるようなサービスを展開する。新しい体験をお送りしていきたい。」と言及した。

 その宣言通り、LINE社は今年に入って、「LINEバイト」、「LINEタクシー」、と言ったライフプラットフォームとしてのサービスを続々と提供開始した。

 人材市場規模は約9兆円、タクシー市場規模は約1兆円、そして飲食店市場は24兆円※1、といった巨大市場にサッと鮮やかに入っている。

 ところで、先ほどの「ライフプラットフォーム」という言葉で思い出す企業はないだろうか?

 リクルートである。

 リクルートは、ゆりかごから墓場まで、日本人のあらゆるライフイベントに関する情報(ライフプラットフォーム)を提供するナンバー1企業である。

節約社長
リクルートHP 事業構造より

 提供する代表的なサービスは以下のとおりだ。

  • 人材ビジネス:リクナビ/日本NO1 人材情報サービス
  • 飲食分野:ホットペッパーグルメ/日本NO1グルメ情報サービス
  • 美容関連:ホットペッパービューティー/日本NO1美容情報サービス
  • 結婚分野:ゼクシィ/日本NO1 ブライダル情報NO1サービス
  • 不動産分野:SUUMO(スーモ)/日本NO1不動産賃貸情報サービス

 「2位になることは我々にとっての死を意味する。」創業者・江副浩正の言葉の通り、リクルートはあらゆるライフイベントの情報プラットフォームとして1位の座を築いている。
 
 対して、LINEはこれまでのところ、人材ビジネス(業界2位・テンプHD)、グルメサービス(業界2位・食べログ)共に、リクルートと競合する企業と組んでいる。

 今後LINEが美容、結婚、不動産、その他リクルートが支配するあらゆる領域で対抗する企業と手を組んで、業界内へ入り込む可能性は十分にある得る。

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コミュニケーション分野で圧倒的な支配権

 
 リクルートは売上高1兆円超えの巨大企業であり、圧倒的な収益力と資金力、何よりもマンパワーをフルに活かせる組織力がある。そうそう崩れることはない。

 情報を伝える媒体が紙からインターネットに変遷する際に、見事な媒体シフトを成功させた素早さもある。

 またLINEは規模が拡大しているとは言え、売上高1,000億未満で、規模はリクルートの10分の1にも満ちていない。※2

 とは言え、リクルートがLINEに圧倒的大差を付けられており、これから参入しても負ける可能性が高い市場がある。

 コミュニケーション(会話)市場だ。

 コミュニケーション(会話)は、人間にとって最も身近で頻繁に起こるライフイベントである。

 国内5,200万人※3に登るユニークユーザーを得た後、優れたサービスを単体イベント(結婚、就職、葬式)に落とし込むことなど容易である。

「あとでLINEする」、「LINEで送って」、「LINE見た?」、溢れかえるこの日常会話こそ、LINEの圧倒的コア・コンピタンスであり、リクルートにはないものだ。

 規模として圧倒的な差があれど、LINEがライフイベントNO1 を誇るリクルートの牙城を崩す脅威となるのは間違えない。

 リクルートがまさかLINEを買収するようなことがあれば、あっぱれかもしれないが…

 意気揚々と突き進むLINEに、現時点でその予定はないだろう。

※1 一般社団法人 日本フードサービス協会
http://anan-zaidan.or.jp/data/2014-1-1.pdf
※2 LINE ニュース
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/914
※3 LINE 2014年10月-2015年3月媒体資料
file:///Users/taichimitani/Downloads/mediaguide_LINE_2014_10_3.pdf
※トップ画像参照 リクルートHP
http://www.recruit.jp/employment/

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