給与収入が2,000万円以下で、かつ事業所得が20万円以下、つまり副業の売上から経費を引いた利益が20万円以下の場合には、確定申告を行わなくても良い規定があります。しかし、この規定を悪用すると、ワザと赤字を出して所得税の還付を受けることが可能になります。この方法、結構多くの人が行っていますが、非常にリスキーな脱税だったりするのです。
いよいよ2月16日から個人の確定申告始まる
今週、2月16日から個人の確定申告がいよいよスタートします。
給与所得者が確定申告をしなくてはいけない場合をあげてみると、
- ・年間給与が2,000万円超
- ・2カ所以上から給与をもらっている
- ・副業(個人事業、不動産収入など)を行っている
- ・譲渡所得(住居や有価証券などを売却)がある、またはその特例を使いたい
- ・住宅ローン控除の適用を受けたい(初年度)
- ・医療費控除や寄付金控除(ふるさと納税など)を受けたい
etc.etc…といった具合で、実はさまざまな場面で確定申告が必要になります。
給与所得者とは、役員報酬(経営者・役員)、従業員どちらであっても該当しますから、上記のパターンに当てはまる人は確定申告を行う必要があります。
特に、普通のサラリーマン・OLであれば、会社の年末調整で手続きが完了しているため、気にしたことが無いという方も多いと思いますので、この際に念のためチェックをしましょう。
少額の副業収入で赤字を出す節税メソッドとは
さて、確定申告は上記に当てはまっても絶対に必要というわけはありません。
仮に1カ所で働いている人(役員・従業員問わず)が、同時に副業(個人事業)を行っていたとします。
もし給与収入が2,000万円以下で、かつ事業所得が20万円以下、つまり副業の売上から経費を引いた利益が20万円以下の場合には、確定申告を行わなくてもよいという規定があります。
このような方って、経営者であろうとサラリーマンであろうと、結構いらっしゃると思います。
- 経営者でチロっと講演会を始めた
- サラリーマンでせどり販売を始めた
のようなパターンです。
では、「せっかく副業を始めたけど、黒字どころか、赤字が出たから確定申告しなくてもよい」と考えるかというと、それはちょっと早計です。
確かに確定申告の義務はないのですが、申告することで赤字を給与所得と相殺して、税金が戻ってくる可能性があるのです。
50万円の赤字が出て、所得税率が20%とすると、単純計算で10万円の所得税が還付されることになります。
副業で赤字を出し税還付狙う申告は狙われてる
ここまでくると、少し頭の回る人は「個人事業を始めたことにして、家賃や飲食代を経費に入れまくって大赤字にすれば、結構な税金が返ってくるんじゃないか?」と考えると思います。
事実、そうやって還付を受けるのが流行ったことがありました。
ですが4年ほど前に事業実体がないとして否認されたうえ、その方法を指南したコンサルタントが脱税幇助で逮捕されるということが起きました。
サラリーマンや経営者の副業には税務署もかなり目を光らせていますので、税金を戻すためと安易に始めるのではなく、きちんと事業を行っているという実体を整えて確定申告を行う必要があります。